あらすじ
まるで、拷問具をまとったかのような痛々しい肉体の自画像「折れた背骨」――フリーダ・カーロが、血みどろの自分を描き続けた理由とは? 発表当時、貧困の三女神として酷評された「落穂拾い」――ミレーの最高傑作が負った大いなる誤解とは? 歴史の闇や社会背景、画家たちの思惑を基に、名画が孕む恐怖と真実を読み解く20の物語。これまでになかった新しい視点による絵画鑑賞を提案した人気シリーズ、新章開幕!(解説:佐藤可士和)
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Posted by ブクログ
中野京子氏の本は『ハプスブルク家12の物語 』以来だけど、あいかわらず示唆に富んだ内容で面白かった。
「怖い絵」と題されてはいるが、「怖い」の定義を柔軟に変えて読者を飽きさせない。
一見穏やかな風景に見えるミレーの『落穂拾い』も当時のバックグラウンドを踏まえると当時の人には「怖い」ものとして映った。この対比が何とも言えない。
というかやはり、絵画というのはある程度の文脈(知識、背景、観念)があってこそ光るものなんじゃなかろうか。描く者に求められるのであれば、それを見る者にだって求められるだろう。
僕らが行ける美術館や展覧会ってのは間違った説明に恐れてあまり詳しいことは語られない。まぁそれも正しい芸術鑑賞の一つなのだろうけど、「私はこう思う!」と声に出してくれるのも美術鑑賞初心者としてはありがたいなぁと思ったわけでした。
お気に入りはバルデス=レアルの『世の栄光の終わり』
九相図を想起させる詩の無常さは、どこでも同じように見られてた…のかもしれない