あらすじ
茶の湯を後世に残す。それが私の復讐だ!
戦国時代、数多の武将を狂わせた茶の湯。その大成者・千利休の志を受け継いだ男は、なんとあの織田信長の弟だった! 戦が苦手でも、出世ができなくても――。兄・信長を恐れ、戦いから逃げてばかりいた男・織田有楽斎が、戦国の世を生き延び、やがて茶の湯を大成して後世に残すまでを描いた傑作連作短篇集。〈解説〉田口幹人
本能寺の変 源五郎の道
本能寺の変 宗室の器
関ヶ原の戦い 有楽斎の城
関ヶ原の戦い 秀秋の戯
大坂の陣 忠直の檻
大坂の陣 有楽斎の戦
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
これは本能寺の変を生き延びた織田信長の弟の物語。
誰々の弟だから、とか嫌でたまらない有楽斎の気持ち、分かるなぁ。
しかも身内は面倒くさいのばかり、茶の湯に逃避する気持ちは痛いほどにわかる(^◇^;)
現代にもいるよぬ、こーいう人……。
別な視点から見ると歴史は変わる。
今回もお見事です、天野先生(^^)
Posted by ブクログ
織田信長の弟・有楽斎が見た本能寺の変、関ヶ原の戦い、大坂の陣。
信長の弟でも、戦が苦手で茶の湯大好きでも良いじゃないか、人間だもの。って感じ。
実際のところはどうかは分からない。もしかしたら信長同様、好戦的な人物だったかも知れない。
ただこの作品で描かれるように、戦場ではヘタレで何度も窮地に陥っては身内に助けられるという面も、早く隠居して茶の湯を心置きなく楽しむために武功を挙げたいと足掻くものの空回りするという面も人間らしくて面白い。
有楽斎から見れば血気に逸り命を惜しげもなく捨てる武将たちなど狂気の沙汰でしかないし、何故戦でしか物事を決することが出来ないのか、馬鹿馬鹿しいことこの上ないと見えるわけで、そこは現代人の私にも共感出来る。
結局、本能寺の変も関ヶ原も大坂の陣も生き延びて、念願の茶の湯三昧の日々に浸れるのだが、そこにはこんな馬鹿馬鹿しい戦などで死んでたまるかという怒りが心の奥底にあったのかも知れない。
他に島井宗室、小早川秀秋、松平忠直の視点もある。
特に現代では良い評価のない小早川秀秋と松平忠直は新解釈で描かれていてなかなか面白い。
それでも後世に伝えられているそれぞれの結末に合わせるためにブラックなテイストになっている。
歴史は後世の人間が都合良く、あるいは面白おかしく脚色している部分があるだけに実際の彼らがどうだったのかを描くのは、これこそ作家さんの腕の見せ所であり楽しいところだろう。
Posted by ブクログ
決戦シリーズの4作品と書き下ろしの2作品。
そういう中身とは知らず、織田有楽斎の生涯を描いたものと思って購入したので、違和感。有楽斎の生涯を読める、と期待してしまった分、読み進めるのが難しくなってしまいました。切り替えでいないのは、自分よくない。
有楽斎、島井宗室、小早川秀秋、松平忠直を主人公にした作品。通じるのは、権力への反骨心なのか。反骨ではあるな。それが向いているのは、権力とは限らない。
己の意を通したい、貫きたい、という精神かな、通じていたのは。
やはり、この時代の人物は「花の慶次」と「へうげもの」の影響が強い。
あの有楽斎の物語。と期待した分、構成に違和感があったのでしょう。決戦シリーズで、単発として読んだ時は感じなかったと思うのだけど。面白かったという記憶がある。だからこそ、天野純希作品を買うようになったのだから。
うぅむ。頭が固くなってきているのかなぁ。