【感想・ネタバレ】2050年 世界人口大減少のレビュー

あらすじ

「これは、世界の『未来の年表』だ」
解説=河合雅司(『未来の年表』シリーズ著者・人口減少対策総合研究所理事長)

2050年、人類史上はじめて人口が減少する。
いったん減少に転じると、二度と増えることはない。

名門調査会社イプソスのグローバルCEOらが、世界各国にて
フィールドワークを敢行。統計に加えた貴重な証言をもとに警告する本書。

この震撼シナリオが進むとすると、米中の覇権争いは予想外の展開を見せ
インド、そしてアフリカの台頭も早まるだろう。
世界経済の行方、温暖化や格差・貧困などのSDGs問題、われわれの人生もが激変する。

著者によると、課題先進国・日本の「復活への切り札は一つだけ」
それは、「女性」か「若者」か「若い老人」か「AI」か「移民」か?

【目次より】
序章 2050年、人類史上はじめて人口が減少する
1章 人類の歴史を人口で振り返る
2章 人口は爆発しない--マルサスとその後継者たちの誤り
3章 老いゆくヨーロッパ
4章 日本とアジア、少子高齢化への解決策はある
5章 出産の経済学
6章 アフリカの人口爆発は止まる
7章 ブラジル、出生率急減の謎
8章 移民を奪い合う日
9章 象(インド)は台頭し、ドラゴン(中国)は凋落する
10章 アメリカの世界一は、今も昔も移民のおかげだ
11章 少数民族が滅びる日
12章 カナダ、繁栄する“モザイク社会”の秘訣
13章 人口減少した2050年、世界はどうなっているか

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Posted by ブクログ

ネタバレ

日本やその他先進国、それに中国、アジア。人口減少はこれらの国々で起きていること。でもなぜか将来的には人口増加をなんとかしなくちゃならない。なんだか矛盾した考えを持っていた。

しかし実はアフリカでもそうなるだろうということが実データや各国での聞き取り調査でリアルに実感できた。

キーワードは女性だったのだ。女性が教育を受け、自分で自分の運命を決められる権利を持つ社会では同じことが起きる。これは腑に落ちた。

とすると、フランスなどは人口減に踏みとどまっているように私には見えていたが(大多数の人はそう思っているだろう)、それもあくまで延命措置に過ぎないように思える。

移民を増やすぐらいしか策がない。しかしそれも移民がその国に馴染んでくると、女性が権利を持ち、教育を受けていくと早晩その国の女性と同じように子供を産むことを避けるようになるのだから移民政策も焼石に水、ただの延命措置でしかない。
それにそもそもどの国も人口減少し始めると他の国に移民する必要がなくなる。かくして移民政策も取ることができなくなる。

女性を虐げ教育を受けさせず権利も与えない社会が世界から消え去った時、全世界で同じ状態になってしまうのだろう。

とすると、先日中国で人口子宮システムを開発したとニュースで出ていたが、人類としてはいよいよ真面目に取り組むべき事柄だと実感する。もう人類は人口子宮で種を残すしか道はなさそうだ。SFではありふれた世界だが、その世界でなければならない必然性、理由ができてしまった。ロボットに人間を管理される世の中というテーマではなく人類が種を長らえさせるために必要な技術だったのだ。

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2022年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女性の教育(性教育含む)、都市化、脱宗教化が進むと出生率が下がり、人口置換水準2.1かそれ以下になっていくことを様々な統計や世界中でのヒアリングから論じた本。
・韓国、ケニア、インド、ブラジルなどの中興国〜途上国でも押し並べて出生率が下がっている。
・移民を吸い寄せるアメリカでも、移民二世の出生率は一世より低く、黒人やヒスパニックでと白人の出生率も一般に思われているほどは離れていない。
・田舎では子供は労働の担い手だが、都市では労働力にならず、土地も高く親の求める教育水準も高いため少子化が進む。
・カナダは歴史的に辺境にあり人口が足りないため東欧などから移民を誘致していたことから、元々国のアイデンティティが希薄。加えて、教育レベルが高くカナダですぐに職にありつけるような優良な人材を多く受け入れてきたため、融和的。
・都市化と人口減少は環境負荷を減らす方向に向かう。(ニューヨーク州の一人当たり二酸化炭素排出量は全米で最も低い)

・世界中の女性へのヒアリングが自分の実感と合致する点が多く、納得感のある本だった。
・ムスリムの国ではどうなのだろうか?トルコなどは出生率が下がっていそうだけれど、原理主義的な国は女性への教育を否定しているからまだまだかかるかも。

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2021年09月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

原題は「Empty Planet」。人類史上初めて人口が減少に転ずると説いている。国連は21世紀の最後までに世界の人口がこのまま増え続け110億人に達すると予測しているが、本書で紹介されているようなデータを一つ一つ積み上げていくと、はなはだ懐疑的に思われる。
「ファクトフルネス」の著者で統計学者のハンス・ロスリング氏がYouTubeの動画で言っていたのは、幼児の生存率を先進国並みの100%に近づけることで、女性一人あたりの出生率が下がり、世界の人口は爆発せずに持続可能な世界を保てるとのこと。本書では、女性の教育や社会的、経済的地位の向上が出生率の低下に大きく影響を与えていると強調している。
世界でも有数の低い出生率に悩む日本にも言及しており、今後35年間で人口が25%減り、1億2700万人から9500万人になると予想される。他の国々の例から人口や経済規模を維持するには海外からの移民を受け入れるしか選択肢がないことが分かるが、今の日本社会を考えるとカナダのように全国津々浦々でコミュニティーとして移民たちを受け入れるのは実現が難しいと思われる。
意外だったのは、伝統的にカソリック教やイスラム教信者の多い国々でも、近年出生率が大きく減少しているということ。ブラジル1.8、メキシコ2.3、サウジアラビアは2.1と、既に人口維持に必要な人口置換率2.1に近い。サブサハラや一部の中東国はまだ出生率が高いが、ほぼすべての国々で出生率が減少傾向で上がっている国は1つもない。

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2020年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人口が減る!!ってことには納得した。
人口減少による暗黒の未来を語っている。ディストピア。著者は逆マルサス。
解決策は継続的な移民受け入れしかないぞ!と主張。

『かつて行われた人口増を過剰に恐れての出産抑制政策+核家族称賛宣伝+核家族の増加+貧困の減少+宗教権威の低下+女性の権利上昇+都市化=人口減少』みたいな。

人口減少
先進国では100年前以上から出生率が低下トレンドへ。ベビーブームは偶然も重なった一過性の減少。人口減少トレンドはずっと続いてきた。顕在化が最近というだけ。発展途上国も出生率が急速に低下している。世界の人口は2050年とかがピークだろう。国連の人口推計は過大すぎる。

人口動態から見る未来
アメリカは移民受け入れにより活力を維持できる。中国は深刻な事態となる。アフリカは巨大都市ができて人口増加は急速に鈍化する。覇権争いに関して人口動態ではアメリカが圧倒的優位。中国は厳しい。アメリカが移民受け入れをやめる場合はインドが浮上する。

移民受け入れの推奨
著者は先鋭的なリベラル的移民国家カナダの人なんで、その立場から人口減少の解決策は移民しかないと主張。自動化では消費する人がいないから移民じゃないとダメと主張。カナダは多文化主義により移民受け入れが大成功。日本や欧米、中国が人口減少で活力を失う中でカナダは移民による人口増加が続くので相対的なパワーがアップするだろうと主張。

移民受入の条件
国家や民族への帰属意識があると移民受け入れは成功しない、と。軋轢を生んでしまう。多文化主義によって移民が社会に溶け込む。カナダのトロントの住民の半分は移民。メリットを得るためにこそ移民を受け入れるべき。人道的な移民受け入れは軋轢を生みデメリットの方が多い。

移民の奪い合い
カナダは教育を受けた高能力移民しか受け入れない。そういう移民は奪い合いになる。移民は近隣国を希望するし、発展途上国の生活底上げで移民の供給は減少していく。多くの発展途上国が人口増加局面を終えつつある。中東とアフリカがまだ人口増加段階。

移民の限界
とりあえず移民受入で人口は増加するが、移民は移住先の人々と同じような出生率になるのでとくに子供を多く産むということはない。世代を超えた波及効果は限定的。移民の平均年齢は30代後半なので子供はあまり期待できない。=継続的に移民受け入れを続けないと人口減少には対処できないという主張。

日本への提言
「日本人が「自分は日本人だ」と感じなくなるくらいに国家や民族への帰属意識、アイデンティティを捨てること。そうすれば多文化主義により移民受け入れが成功して人口減少に対処できるかも」と。=逆に言えば、そこまでせずに移民受け入れたら大惨事になるってこと。

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2020年09月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

2050年には世界人口は減り始める。国連統計では21世紀中増え続けて110億人になるとしているが、それは間違い。街の人たちのインタビューからそれを推計した。
国として、移民と多文化主義を受け入れなければ衰退する。

農村では子供は働き手になる。都市では重荷になる。都市化が進めば少子化は進む。
女性の地位向上で、出生率が下がる。

国連の低位推計は2050年にピークを迎える。この形になる可能性が高い。教育の効果を無視している。

黒死病では人口の1/3が死亡した。

都市化と女性の地位向上が発展途上国でも起きて、出生率が下がる。

緑の革命による人口増も、出生率低下の動きが後戻りすることはない。

良い環境でも悪い環境でも出生率は下がる。工業化と都市化で下がる。不況で下がる、景気が回復しても上向くが、上向くだけで回復はしない。

日本では、女性の人口は20歳より30歳、30歳より40歳が多い。低出生率の罠=1世代以上1.5以下が続くと、それが当たり前になる。

カナダは移民を受け入れて人口を維持しているが、アジアは受け入れない。
卵子の冷凍保存は、出産の可能性が低く出生率の回復にはつながらない。

移民を受け入れない、子供をつからない、では衰退と折り合いをつけるしかない。

国際的には移民は世界人口の3.3%に過ぎない。
移民は仕事を奪わない。移民は経済規模を拡大させ、平均的にはわずかに向上する。移民は最大の受益者になる。
本来であれば、政治家は経済を守るために移民を受け入れるべきだ。

インドではほぼすべての人が結婚する。結婚しないとコミュニティの中で認められない。
インドの出生率は2.4人。しかし実態はそれより下である可能性もある。
ブラジルの出生率は1.8人。男性優位社会で高学歴の女性の悩みは大きい。メキシコは現在2.3人で減少中。

アメリカの繁栄の武器は移民である。最近は逆流している可能性もある。

少数民族も例外ではない。滅びる可能性。ネイティブアメリカンは出生率が最も低い。

トロントでは市民の半数が外国生まれ。カナダは人口を増やしている。
アメリカで人口当たり二酸化炭素の排出が少ないのはニューヨーク。
田舎暮らしは環境負荷が高い。
人口減少こそ、温暖化防止の最適解。都市に集中して住む。
老年性平和。高齢化社会の問題化で、軍事的イデオロギーが弱体化する。

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2021年09月16日

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