あらすじ
僕の人生は無色透明だった。日野真織と出会うまでは――。
クラスメイトに流されるまま、彼女に仕掛けた嘘の告白。しかし彼女は“お互い、本気で好きにならないこと”を条件にその告白を受け入れるという。
そうして始まった偽りの恋。やがてそれが偽りとは言えなくなったころ――僕は知る。
「病気なんだ私。前向性健忘って言って、夜眠ると忘れちゃうの。一日にあったこと、全部」
日ごと記憶を失う彼女と、一日限りの恋を積み重ねていく日々。しかしそれは突然終わりを告げ……。
唐突にやってくる衝撃の瞬間。その先に待つ驚きの結末に、読む人すべてが感動に包まれる!
第26回電撃小説大賞《メディアワークス文庫賞》受賞作!
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Posted by ブクログ
ネタバレ含みます。
神谷くんが亡くなった時、もうそれはそれは衝撃が強くて。寝る前に読んでいたのですが、物語の中の人間じゃないのにショックで、ぽっかり穴が空いた気持ちになりました。
それまでは、真織が記憶を毎日無くしながらも少しずつ変わっていっていて、神谷くんがいることへの安心感が強すぎたんです。だから、亡くなってしまって読者である私ですら不安になりました…
この本を読んで身をもって「大切なものは失ってから気づく」を体感できました。
これを読んだ後、家族や恋人のこととても恋しくなっています。同時に亡くなったおじいちゃんのことも思い出します…
はーーー、本当にいい本に出会えた!
Posted by ブクログ
友達に対するいじめをやめるという条件で日野真織に告白した神谷透。真織から条件つきOKをもらい付き合うことになるが、真織には前向性健忘症という病気があった。病気のことは隠しながら付き合っていると思っている真織と聞いてしまったことを記録に残さず忘れてもらってつきあう透、真織の友人の泉の物語。
間違って続編から読んでしまったが、真織に記憶について書かれているこちらがよかった。他人を喜ばせること、他人に良かれと思い、行動することがうらやましいと思った。
Posted by ブクログ
正直、美しい装丁に釣られて買いました。
友人をいじめから救うため美少女日野真織に告白することになった神谷透。
しかし、真織にはOKされてしまう。戸惑いながら、付き合うことになった2人。しかし、真織には秘密があった。真織は前向性健忘という病気であり、眠ると一日あったことを忘れてしまう。
しかし、真織を本気で好きになった透は、献身的に彼女に尽くすようになる。
真織の友人綿谷泉の協力のもと、彼女に絵を描かせていく…。絵を描く、運転するといった手続き記憶を人を忘れないのだ。必死に何か積み上げるもの無くそうと努力する透。
そんな最中、彼は心臓発作により亡くなってしまう。
透からの遺言により、泉は真織から透と過ごした痕跡を無くそうとする。彼との日記や思い出の品を隠してしまうのだ。真織がこれ以上悲しまないで済むように。
しかし、ある日真織は透を描いたクロッキー帳を自分の部屋からみつけてしまう。
少しづつ記憶を取り戻していく真織。
彼の記憶はちゃんの身体の中にある。思い出すことで、一緒に生き続けることができる。
いつかまたちゃんと自分の幸せに手を伸ばすから、それまではもう少しだけ…。
難病や事故で恋人がなくなってしまうという言ってみればよくある話ですが、とでも丁寧に文書が綴られていること、筆者の真摯な人柄も垣間見えることから、感動的な話になっています。
映画版も見たくなりました。
事故に依る前向性健忘に陥り、一晩寝ると前日の事を忘れてしまうって、掟上今日子さんの様な高校2年生。
そんな彼女を擬似恋人として支え、擬似ではなく真に心を通わせた男子高校生。
でも、未だ彼女の症状に改善の兆しも見えていない段階で唐突に他界してしまう彼。
突然死となる人は日本国中では毎日数十人にも及ぶのに、自らの縁者に起る事を想定できる者はなかなか居らず…。
逝ってしまう者、遺される者、思い出す事も叶わない者、それぞれの立場・心情に思いを馳せると何だか涙腺が緩んでしまいました。
手続き記憶
最後にかけてまさかの展開で、ほんとに途中から
涙が止まらなくなりました。
透の真織への思い 真織の透への思い
2人の思いをどちらとも大切にしたい泉
若くて楽しい毎日を過ごした苦くて甘いお話
最後のクロッキー帳に徐に真織が
忘れているはずの透を書き出したシーンは、
あのキラキラしていた日々の中で忘れられないくらい沢山書いた真織から見た透モデルの絵がもたらしてくれた「手続き記憶」
これは過去の真織が未来の真織へのプレゼントなのかな?と思うとまた涙が止まらなくなりました。
Posted by ブクログ
好きな人の記憶が毎日持ち越されなかったとしたら、あなたはどうしますか?
昨日したことが白紙になっていく日々。
そんな彼女との偶然の恋、いやそれはもう恋という範囲で表すことのできないほど、相手を想う気持ちで溢れた関係が突如終わりを迎えてしまう。
「日記から透の存在を消す=日野にとっての透が完全に消える」
こんな状況泣かずには読めない。
「世界は言葉で出来ている。そして人は、その言葉に縋ろうとする。良いと思えば、どんなことでも良いことになる。悪いと思えば、どんなことでも悪いことになる。」
上記は透の姉が日野の友人に言った言葉。
日野が残した日記、言葉。それは言葉の意味以上に記憶そして日常の感覚を思い起こさせてくれるものなのだと感じる。
Posted by ブクログ
本を半分読んでるあたりで透の未来がなんとなく想像ついたけどそれでも泣けた
こうゆう本最近読まなくなってたから懐かしい気持ち
あたりまえのことなんかなくて
いつもそのときが最後になるかもしれない
もう2度と会えないかもしれないと思って
周りの人を大切にしないといけないと改めて感じた
Posted by ブクログ
心と記憶は同じようで違う。
心に刻まれていくことって体の感覚的なところに何か残る、と信じたくなった。
忘れるってどんな感じなんだろうか。
そんな中でも人を愛せるってなんだろうか。
やっぱり細胞が覚えているんじゃないかと思いたい。
言葉、仕草、表情、触れた時...
自分の体が感じてそれが刻み込まれていて欲しい、忘れたくないと思った。
高校生の爽やかで可愛らしい恋愛。
たった一つの事柄足すだけでこんなに切なくてツラい現実に変わるのか。
「お、これは私の好きな50 first datesじゃないか」
頭の中でこの2作を比べながら話を読み進めちゃった。
やっぱり絵がキーなのか...!
ルーシーもそうだった
この絵の男性は誰..?と。
Posted by ブクログ
こういう恋愛小説?は全く読んだことがなかったが、意外と読みやすくてストーリーに吸い寄せられていった。
真織の苦しみが可哀想で仕方ない。透との時間が幸せそうな分、読んでいて辛くなってしまう。
普段読んでいる本ではあまり綿密に心理描写がされることがないので、その点は新鮮で良かった。
透が亡くなってしまうからこその感動があるのだけど、それが無くても良いから2人に幸せになって欲しかった、と思ってしまった。
すごい良い話だけど、辛くなるからあまり読み返したくないような気がする。
あと心臓病で突然死ぬのが急展開すぎて、ちょっと「えぇ…」となってしまった。
Posted by ブクログ
彼女が周りの支えもあり、徐々に再生していく姿はこれまでの出来事を踏まえて感動しました。
ですが、主人公が突然死んでしまったところがありがちな展開で少し残念。
個人的には綺麗にハッピーエンドで終わらせたほうが良いのでは、と思ってしまいました。
続編もあるようなので、また次回読んでみようと思います。
Posted by ブクログ
めっちゃ泣ける。
その日の記憶が全て無くなってしまう病気を患っている真織。真織にあるキッカケがあり告白した透。本当に好きになってはいけないという条件で付き合い始めたがお互いに惹かれていくという話。
こういう話には珍しく、真織と透、そして泉の3人で遊ぶ描写が多い。大体泉のポジションは透の事を良く思ってないのが多いけどこの小説は3人で遊ぶ描写が多くて微笑ましい。
この病気の怖さだったり、楽しい思い出を忘れてしまう辛さ、楽しい思いをしてる過去の自分への嫉妬など、負の面もしっかり描かれてて辛い。でも、透との思い出が加わって日々が楽しくなって精神も安定してきて良かった。
こういう話で男の子の方だけ死んじゃうのは珍しくて新鮮だった。
あとはどのキャラも良かった。
透は真織のために出来ることをしてあげてそれを幸せだと思える優しさを持ってて本当にいい奴。最後は家族も仲直りできて良かった。
真織は辛いのにそれを表に出さないで明るく努めててすごい。いっぱい透の事思い出してあげてほしい。
泉は1番辛い立場だったと思う。親友が病気になっちゃうし、透も亡くなって、最後に決断しなきゃいけなかったし。でもそんな中でちゃんと決めて頑張ったのは偉い。
ほんと泣けた。
Posted by ブクログ
健忘症って実はものすごく大変な病気なんだよなぁ。
少しずつ忘れていく認知症とは違って、完全にリセットされるとなると寂しい。
毎日毎日、当たり前に積み重ねている記憶を大切にしたい。
そんな中でも相手を想う気持ちが丁寧に描かれているキュンとさせられるお話でした。
Posted by ブクログ
なんとなく、目を通していたカドカワの「2024夏休みフェア」小冊子をバラバラめくってたら、「号泣できる本」のところで紹介されてた本。
うーん、ちょっとミステリ要素から離れて、ここは思い切り泣いてみたい!と思い読んでみた。
「博士の愛した数式」(小川洋子著)では、80分しか記憶を保持できない博士が主人公だったが、本作の主人公の日野真織は、一晩寝ると前日の記憶が全て消失する病にかかっていた。そこに登場する彼氏•神谷徹との恋の物語。
二人が知り合って、過ごす毎日は読んでいてなかなか切なくもあり、ウルっとくる場面もあり、いったいどういう結末に向かうのだろうと期待した。
だけど、結局は意外にも男の方が心臓疾患で急死してしまうというオチ。あとのストーリーはなんだか付け足しのようであまり感情移入はできなかった。
結末で彼氏を死なせるのではなく、もっと別の障壁などでふたりは離れ離れになるが、最後に再開して感動のハッピーエンドになる、という結末を期待していたのだが…。泣けずに残念。