【感想・ネタバレ】刑罰0号のレビュー

あらすじ

記憶を他人に追体験させる技術が出来たら? このシステムの開発者と被験者たちが織り成す、ヒューマン・ドラマ傑作長篇。
罪を犯した者に、被害者が体験した記憶を追体験させることができる機械、「0号」。死刑に代わるシステムとして開発されるが、被験者たち自身の精神状態が影響して、なかなか成果が上がらない。その最中、開発者、佐田博士が私的な目的で使ったために研究所から放逐される事態に。研究は、部下の江波はるかが密かに引き継ぐことになったが……。人の心の機微を描くことに定評のある著者が、近未来を舞台に描く、渾身のヒューマン・ドラマ。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

初西條奈加がこの作品でエエのか?すごく良くできた近未来SFだが、時代小説を読まずして、この本でエエのか?

死刑に代わる贖罪システムとして開発される0号。被害者の記憶を加害者に追体験させるシステムなのだが、このシステム開発者の一人が、父親殺しの犯人に私的に使ったことから物語が動きはじめる。

記憶をいじること、他人の意識を埋め込まれること、これらが頭脳にどう影響を及ぼし、それが人類にとってどういう変化をもたらすのか?個人の生活への影響から最終章ではテロリストの兵器として全世界に影響をもたらす様まで描かれており、非常に興味深い。風呂敷をたたみつつ広げつつ物語を収束させるという高等テクニックはさすがである。

そして、実は読書は、他人の意識を追体験してるという、まさに0号の基本であるという解説にうならされる!なるほど、人間の想像力は恐ろしく果てしなく可能性があるもんだなぁ!良い趣味を持てて良かった

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2021年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読書、物語こそが0号技術であり、記憶追体験装置なのである。

6つほどの短編が、少しずつ重なり合って全体像が見えてくる小説。
最初は暗い話なのかなと読み進めるのに時間がかかったが
後半になると0号技術に興味が出てきて、応用されていく使い方に読むのが止まらなくなった。

私はこの本を読んで、0号体験をしていたと思うと、本当に面白い。
ますます読書が好きになった。
もう一度読みたいので★5つ。

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2021年06月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

死刑に代わる新たな刑罰0号。被害者の記憶を加害者に追体験させる死刑にかわるような贖罪システムとして開発されたが…

表紙とタイトルから勝手にもっとライトな少年誌系の物語と思ってたけどゴリゴリに旨みの詰まった濃いめの青年誌のような物語

軸となる刑罰0号の話からいろんな話に発展していく連作短編集でめちゃんこ面白い

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2022年01月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

相手の立場になって考えろってよく言うけど、まさにこれって感じ。
普通に面白かったけど、もっとドロドロしたものかと思ってたから若干期待しすぎた。
加害者に被害者の記憶や想いを体験させる機械、0号。
臨床段階にあったが時を経て段々テロ組織として使われるようになってしまい…
ラストはハッピーエンド。
1番最初の加害者が本当はいい子で、でも被害者の記憶を植え付けられて、2つの人格が共存する身体になってしまった。互いが思いやりをもっていて温かい気持ちになった。

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2022年03月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

初代0号では、精神の弱さから
被害者の体験に耐えることができなかった加害者たち
それは実験の失敗だったのだろうか?

死刑囚が死刑になっても奪われた命は戻ってこない
ある意味、この機械が有効な加害者にとっては
死刑以上の刑罰を与えることができるようになったのではないかと感じてしまうのは、
作中に書かれている""日本人的""思考なのかも

話が進むに連れ、
開発者の部下であった江波と仲間の手によって
目的を変え、進化を遂げる0号
その過程がおもしろい

後半は収束に向かってテンポよく進んで
ちょっとテンポ良すぎる感もあるけど
すごくサクサク読めて一気読みできました

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2021年03月15日

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