あらすじ
17年前の夏、人気絶頂のミュージシャン・香織はステージから落ち、すべてを失った。残ったのは、どこも動かない身体と鮮明な意識、そして大嫌いな家族だけ。それでも彼女を生かすのは、壮絶な怒りか、光のような記憶か、溢れ出る音楽か――。生の根源と家族の在り方を問い、苛烈な孤独の底から見上げる景色を描き切った飛翔作。
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Posted by ブクログ
「嫌だっていう感情は、知らないか期待しすぎかのどっちかだと思うよ」
期待ってのは傲慢な感情だって思った方がいいよ。君の期待する誰かは、君のために生きているわけじゃないんだから
Posted by ブクログ
割と序盤で数字の見出しの意味に気づくんだが…ある意味『ジョニーは戦場へ行った』より身近に起こりそうでとんだホラーだったぜ!
この小説からどんな教訓や著者の訴えを汲み取れば良いのか…『家族のほころび』がテーマだとのことだが、ほころびなどというぬるさではなく、ほころびすぎィィ!という意味で本当にホラーです。
Posted by ブクログ
ちゃんとした小説じゃないか!~シンガーソングライターの香織はステージから落ちて、植物状態かと思われていたが、ちゃんと意識を持っていた。母が動けない娘に愛情を傾けるようになり、不仲な姉が妹の作品で金を稼いでいる。いつの間にか40代になって、鍼で体が少しずつ動かせるようになったが、母は施術を断り、香織に鏡越しの自分の姿を見せる~ちゃんと作家として活動できるね、古市君
Posted by ブクログ
奈落には底がないのではないか。
そう思った。
痛い。ただひたすらに、痛かった。
底辺だと思った現実にはまだ底があって、何度も何度も叩き落とされる。活路かもしれないと思った先が更なる苦悶の始まりで、読んでいて途中で苦しくなるほどだった。
誰ひとり自分の気持ちを理解してくれない。
一筋の光すら閉ざされる。
しかも、自分のしたことが正義だと疑わない人の、何と多いことか。
さらに言えば、私だって明日どうなるかわからないのだ。
ステージからではなくとも、明日交通事故に遭って全身不随になる可能性がないわけじゃない。
もしくは自分の近しい人が、そうなる可能性だってある。
その時、周囲はどうするのか?
もしくは自分が良かれと思ってしたことが、ただのエゴではないと誰が言い切れる?
そんなことを思って、そしたらひたすら痛くてズンっとお腹のあたりにいろんな想いが渦巻いて止まらなかった。
そして古市さんの著作は、時代時代の固有名詞がバンバン出てくるところが特徴的だなぁと思う。
「今」の作家さんだなぁと感じます。とてもとても好きです。
Posted by ブクログ
まさに“奈落の底”。
最後元気になり社会復帰!というハッピーエンドではないだろうな…という気持ちで読み始めたので、ラストはそこまで衝撃的ではなかったかも。
主人公の体が動かない=エピソードは全て受け身、かつ全て心の声で構成されているので、息が詰まる感覚はあります。
彼女が振り返って欲しいのは、家族より音楽だったのかな、と思います。