あらすじ
私たちは元気なときもあれば、病気のときもある。「がんです」と診断されても自覚症状がない場合もある。その境界線はどこにあるのだろう? 病理医ヤンデルが教える病気のしくみ。
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Posted by ブクログ
春になると悩まされる「花粉症」は果たして「病気」なのだろうか、という疑問から手に取った本でしたが、著者の文章が軽快で(たびたび挟まれる毒のあるセリフも小気味良く)スラスラと読み進めることができました。
現役の医者としての「医学」の視点と、患者が求める「治療」という視点の双方から「病気(と健康)」を見つめるというスタイルは真新しく、興味深く読み進めることができました。
一貫しているのは、人体のしくみは「複雑系」であり、病気の原因を一つに特定しようとしたり、すべての病気を解決する万能薬のようなアイテムはないということだったり。
「病は気から」という言説も丁寧に解説されていましたし、そこで触れられていた「治療(セラピー)」と「患者の精神面のサポート(ケア)」を分けて考えること、そして「ケア」がどれだけ重要なのかということについても意識がされていたことはとても印象的でした。
医学生の教科書の執筆もしているという著者による、一般読者(中学・高校生でも)向けの書籍で、医学部を志望する中高生に広く紹介したいと思う1冊でした。
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精神疾患もよく「あれは病気なの?」と言われる部類だったりして、病気ってさてさて何をさすのだろうと思っていた。この本はその疑問を解決してくれそうな予感がして手に取った本。
ルパン三世、怪盗キッドや北海道警察が出てきたりするのは、馴染みのある単語でスっと入ってくる。
挿絵もかわいい。
話題が次に移る時にはきちんと声をかけてくれるので、置いていかれることなく読み進めるのもとても親切と感じた。
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ヤンデル先生、本のノリもtwitterと変わらないですね。とはいえ、脱線の分量も多すぎず適切で、あまり邪魔にならないのは流石です。しかしこれを読むと、父親の病気に対するうちの家族の接し方、今一つだったのかなと思いましたですわ。母親が病気になった時は気をつけないと。
Posted by ブクログ
病気とは?
「病は気から」ではなく。
気合い、ダメ、絶対。
「病気」は複雑。
"気"って付くから
ややこやしい…
病気の人も
健康な人も
読んだほうがいい本。
とても分かりやすい。
Posted by ブクログ
(要約しか読んでないので読み直す)
メモ
・医療とは、医学というサイエンスと医術という実学が融合したもので、言い換えるなら「正しさ」と「お役立ち」の両輪で成り立つ
・アプリ「Q助」
・生物の耐用年数は「子孫を残してある程度育てられるまで」。人間=50年。
・外付けエンジンで人間は長生きできるようになったが、ライフラインは追いついていない。パイプのメンテが重要。
・メンテには、バランスの良い食事、適度な運動、十分な睡眠が大切。
→バランスの良い食事=少数の材料NG。少しでも多くの食材に参加してもらって登場人物の多い食事
→適度な運動=過剰に一箇所NG。複数の場所が同時に動き、軽く汗ばむようなウォーキングなど。
→十分な睡眠=枕や布団が骨盤に負担をかけない硬さと形で、7時間前後の睡眠時間で、起きた時痛みがなく、起き抜けに水をコップ1杯飲む睡眠。
・複雑系の人体が体調を崩す最大の原因は「1つの何かに偏りすぎてしまうこと」
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Twitterでお馴染みのヤンデル先生。
今回のこの騒動になった時、わかりやすくヤンデル病をツィートされていて、読んでみたいなーと思った本。
さすがです。
群像劇や、都市など、一般の人がわかりやすいような例えで、体内構造や、病を開設する。
これを読んでおくと、病に対しての怖さ、不安は、単なる恐怖、不安ではなく、冷静な恐怖、不安に変わるかなと思う。
怖いけれど冷静に怖がる。
無闇に怖がらない。
『病気かどうか、それは未来予測!』
これだけ言われると、なんじゃそりゃ。かもしれないが、本を読めば納得。
言われてみれば!!!
『(中略)「詰将棋のように一歩一歩テキの逃げ道を潰していく医療(専門的にはベイズ推定方式)があるんです」』
誰しもが一度は言われたことがあるであろう「様子をみましょう」の意味。
患者からしたら、一発で治して欲しくていくのに、何もできないと、ドクターショッピングに走りたくなりますが、ここは、この解説を読んで納得。
過去に疑った主治医、ごめんよ。。。
一番、例えが秀悦!!と思ったのは、「血管」と「がんのレベル」。
「がんのレベル」は、うっかり、電車で盛大に吹き出しそうになりましよ。。ヤンデル先生(笑)
プロローグ「病気と平気の線引きはどこ?」
第1章 病気ってどうやって決めるの?
1 病気だと決める人は誰?
2 すぐわかる病気
3 なかなかわからない病気
4 病気には原因がある?
5 結局病気ってなんなの?
第2章 それって結局どんな病気なの?
1 お腹が痛くなるってなんなの?
2 かぜと肺炎って違うの?
3 喘息とアトピーって体質なの?
4 高血圧つて何がどう悪いの?
5 年を取るとみんな腰痛になるの?
6 がんってなんなの?
第3章 病気と気持ちの関係は?
1 病は気からって本当?
2 気合いで治す!とか言う人がいるけれどほんとに気合いで治るの?
3 病気と平気の線引きはどこ?
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Twitterの人間の文章は面白いんだけど本題に入るまでが長えな!入るまでの過程も面白いからいいけど!
医療に対して患者が期待してしまう事
(早く! 確実に! 単純に! 簡単に!)を、
医療の側からそいつは無理があるよ
(診断のために適切な"様子見"が必要だよ、
疑いという状況で処方して後日確定のためにまた通院してほしいよ、
複合的要因があるよ、
万物に効く水みたいなもんはねーよ!!)
と優しく諭してくれる本。
かなり最後の部分へのアツい忸怩たる感情を感じました。誠実に書いたものは悲しい事に「そういう層」には届かないかもしれない、それでも書くという祈りめいた気持ち、伝わりました。
自分が欲しかった答えに関する本では厳密にはなかったので星4で設定しました。
エッ、病気なの…? と問われがちな立場(障害持ち)だと、病気かどうかの前提となる「これまで」そのものが根底から終わっており、絶えず社会との(あるいは社会が許容できる健康な人間との)比較というまた別の話になっちまうな、と思いました。
読みやすくて面白かったです!
Posted by ブクログ
「熱量と文字数」のえぴいろ記者が「いんよう!」というポッドキャストを配信しているが、えぴいろ=ようさんの相手がこの人。
いっちー=いん=ヤンデル先生=市原真。
本質的なことが書かれている本。
様子を見る=時間経過。未来予測。医療シアター。複雑系。群像劇。都市の譬え。
病気とは「こないだまでの自分がうまく保てなくなること」
健康とは「こないだまでの自分がうまく保ち続けていること」
などなど。
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プロローグ 「病気と平気の線引きはどこ?」
第1章 病気ってどうやって決めるの?
1 病気だと決める人は誰?
自分で決める?/病気かどうか、それは未来予測!/病気を決める最後のファクター
2 すぐわかる病気
なぜ病名を決めるのか/探偵のように病名をつきとめてゆく/病院に頼るかどうか迷ったら
3 なかなかわからない病気
様子をみるとは?/医療は詰将棋/「様子をみる」の本当の意味
4 病気には原因がある?
病理医ヤンデルのもくろみと予想外の展開/人体も病気も「複雑系」である/病気の原因はひとつじゃない
5 結局病気ってなんなの?
病理学を知っておこう
第2章 それって結局どんな病気なの?
1 お腹が痛くなるってなんなの?
痛みは病気のアラーム/体性痛と内臓痛/痛みと時間経過/血管痛というのもある
2 かぜと肺炎って違うの?
自力で勝てる感染症がかぜ/人体の防御システムはすごい/肺炎は細菌が肺でがんがん増えている状態
3 喘息とかアトピーって体質なの?
敵も防御部隊も複雑に絡み合うのがアレルギー/原因は決してひとつには決められない
4 高血圧って何がどう悪いの?
人体という都市のライフライン、血管/人体の耐用年数が延びた結果!?
5 年を取るとみんな腰痛になるの?
体をメンテナンスして正のスパイラルに/偏り過ぎが一番のワルモノ
6 がんってなんなの?
がんは内なる驚異/がんはラスボスじゃない/がんは細胞のバグ/がんという複雑な敵
第3章 病気と気持ちの関係は?
1 病は気からって本当?−気持ちの問題なの?
病気のせいで辛くなったりはする/気持ちのケアが大事
2 気合いで治す!とか言う人がいるけれど本当に気合いで治るの?
気合じゃ治らない/ビタミンCやローヤルゼリーも関係ないよ!
3 病気と平気の線引きはどこ?
「この先どうなるか」という観点で人体を推し量るのが大事
推薦図書〜あとがきにかえて
Posted by ブクログ
病気の具体例として腹痛とかぜについて詳しく解説してあり、非常に分かりやすく重要なことを学んだ.がんについても発生からレベル分けなど解説が納得できるものだった.医師としてできないことを素直に白状している点は素晴らしいと感じた.推薦図書が多く紹介されていたので読んでみよう.
Posted by ブクログ
ちくまプリマー新書らしい、理解しやすい語り口で「病気」に対するとらえ方を教えてくれる本。この本はあくまで入り口で、ここから自分の気になる病気について興味を深めるためのウォーミングアップになる本として用意されているように思えた。これを機に、心理学の本をもう少し漁ってみよう。
Posted by ブクログ
すっきりとして、わかりやすかったです。
知性は恐怖を飼い慣らす手綱。
おそろしさとどうつきあっていけばよいか、考えることはできる。
まったくその通りだと、今だからなお、思います。
病気と病気でないことの違い、もおもしろかったです。
日頃の医療についての小さな疑問がほぐされて整理される一冊でした。
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医療って素人が踏み入れない聖域みたいなイメージあったけど、変わった。人体は複雑系、時間経過は重要。ふむふむと、珍しく実学をすんなり読めた。満足。
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雑談のように、病気になるとはどういうことかを語ってくれる。話し言葉のような文章なので好みは分かれるかも知れないが、平易に楽しく読み進めるうちに、気がつけば病気に対する客観的な見方へ促してくれる。
Posted by ブクログ
親しみやすい文体と、万人にも分かりやすい例えを使って誠実に診断というものの説明をしてくれている本だった。
私は病気と正常の定義を作った人たちがどこに基準を持ってたのかが知りたくて読み始めたから少し元々の知りたかった事とは違ったかもしれない。
診断するときに、どこでお医者さんは分けてるの?っていう疑問には答えてくれるような本だった。
Posted by ブクログ
病理医ヤンデル先生(由来については本文中で解説してくれている)が、病気とはどんな状態なのか、どこからが病気なのか、それは誰が、どのようにして決めるのかなどを素人向けに解説している。
SNSで活動しているためか、人の体と免疫系を、国家とその防衛を行う軍隊に例えたりして、医学に全く触れたことのない人向けに、にもわかりやすく例えてくれている。
それから、冒頭の医療は科学的な知識(医学)だけでは駄目で、人を治療するために、患者の聞きたいことに答えなくてはならない、という医者の心得は大変参考になった。医は仁術なり、という言葉を思い出した。しかし、思いやりだけで治るわけではなく、仁術以外にも知識も必要である、とちゃんと言ってくれているのが嬉しい。
この本では、医学的な詳しい知識まではカバーできないが、仁術を持って、
病気について知りたい、という人と、病気について患者にうまく説明をしたい、という人にも参考になる本ではないかな、と思った。