春になると悩まされる「花粉症」は果たして「病気」なのだろうか、という疑問から手に取った本でしたが、著者の文章が軽快で(たびたび挟まれる毒のあるセリフも小気味良く)スラスラと読み進めることができました。
現役の医者としての「医学」の視点と、患者が求める「治療」という視点の双方から「病気(と健康)」を見
...続きを読むつめるというスタイルは真新しく、興味深く読み進めることができました。
一貫しているのは、人体のしくみは「複雑系」であり、病気の原因を一つに特定しようとしたり、すべての病気を解決する万能薬のようなアイテムはないということだったり。
「病は気から」という言説も丁寧に解説されていましたし、そこで触れられていた「治療(セラピー)」と「患者の精神面のサポート(ケア)」を分けて考えること、そして「ケア」がどれだけ重要なのかということについても意識がされていたことはとても印象的でした。
医学生の教科書の執筆もしているという著者による、一般読者(中学・高校生でも)向けの書籍で、医学部を志望する中高生に広く紹介したいと思う1冊でした。