【感想・ネタバレ】危機と人類(下)のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年01月11日

各国に起こった危機を分析している本書は、各章それぞれとても面白いだけでなく、12の要因を分析し、他の国と比較することで、よりその国についての理解が深まる。
第8章で現代の日本を分析しているが、人口現象そのものは憂慮するような問題ではないこと、少子高齢化の対応策として移民の受け入れを提案していたのは新...続きを読む鮮だった。
この様にして歴史から危機とその対応策を学び、将来に生かすことで闇雲な対処をしなくていい。歴史を学ぶことは将来の自国の利益につながるのだと思った。

危機を学び、先人の知恵を得ることで、我々の社会をより良いものに変えていく。

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Posted by ブクログ 2020年09月27日

 上巻では明治日本の選択的変化を評価した著者は、下巻では現代日本の国家的問題への対応について「希望を持っている」という。そのことは、突然の鎖国政策の廃止や第2次世界対戦での敗戦の時と同様に、「もう一度時代に合わなくなった価値観を捨て、意味のあるものだけを維持し、新しいしせたせいに合わせて新しい価値観...続きを読むを取り入れること、つまり基本的価値観を選択的に再評価すること」である。
 女性、高齢者、移民、中国と韓国、自然資源管理について、「公正で現実的な自国認識」が必要だと述べる。自国認識を誤っているという指摘である。
 下巻では、戦後ドイツ、オーストラリアの経験を学び、現代日本とアメリカ、そして世界共通の危機(核兵器、気候変動、化石燃料、格差・・・)を明確にし、その危機の枠組みについて明らかにする。あとは、我々の問題である。

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Posted by ブクログ 2019年12月22日

下巻で取り上げられているのは、ドイツ、オーストラリア、日本(現代)そしてアメリカ。上巻で幕末~明治維新の日本は絶賛されていましたが、現在の日本はかなり厳しい。特に感じるのはドイツと異なる第二次世界大戦に対する清算かな。もちろん、現在直面する危機はあるのだけど、やはり認識の問題はとても大きく、日本人と...続きを読むしては違うのではないかと思うことも、そう見えるということなのかもしれない。

現代アメリカの抱える課題はある意味世界の課題。一番課題として認識されていたのは格差の拡大ではなく「アメリカ人全体が二極化し、政治的妥協を受け付けなくなっている」ということ。民主主義に備わっている利点として、ダイアモンド先制は「運用に際して妥協が必要不可欠であるという点」を挙げている。妥協は権力の座にある者の暴政を抑制することに繋がるらしい。それと、経済格差も問題、地球環境問題(特に二酸化炭素排出による温暖化問題=異常気象)も問題であることはあえて語るまでもない。

ダイヤモンド先制は現代の世界の問題として3つを挙げている。核兵器と世界的気候変動、そして、必要不可欠な自然資源の世界的枯渇。どうも先進国は途上国の一人当たり最大32倍の資源を利用しているらしい。世界の人口が増えても、途上国で増えている分にはあまり問題なかった。しかし、増えている途上国で一人当たりの資源消費が先進国並みになってきたら・・・確かに想像を絶する話になる。グローバル化が明らかにこれを後押ししている。グローバル化は3つの課題を引き起こしている。ひとつは貧困国から富裕国への新しい病気の拡散。2つ目は貧困国の多くの人々が、世界の他の地域で営まれている快適なライフスタイルを知り、不満と怒りをつのらせている。なかにはテロリストになるものもいるし、多くはテロリストにならずとも、テロリストを容認あるいは支持している。そして、3つめのは、低消費生活を送ってきた人々が高消費のライフスタイルを求めるようになることである。そう資源消費だ。人類史上初めて、真の地球規模の課題に直面しているとダイヤモンド先生は指摘する。
さて、この本の結論はどこにあるのだろうか。危機、つまり何か大きな悪いことが突然起こるほうが、ゆっくりと進む問題よりも、また、何か大きな悪いことが将来起こりそうだという見通しよりも、人々に行動を促す。まず、世界規模の危機がそこまで来ていることは明らかだ。そして、この本で述べられてきたように、国の場合は、まず自国が危機のさなかにあると認識すること。他国を責め、犠牲者としての立場に引きこもるのではなく、変化する責任を受け入れること。変化すべき特徴を見極めるために囲いをつくり、何をやっても成功しないだろうという感覚に圧倒されてしまわないこと。支援を求めるべき他国を見出すこと。自国が直面している問題と似た問題をすでに解決した、手本となる他国を見出すこと。忍耐力を発揮し、最初の解決策がうまくいかなくてもつづけていくつか試す必要があるかもしれないと認識すること。重視すべき基本的価値観ともはや適切でないものについて熟考すること。そして、公正な自国評価をおこなうことだった。これから世界が向かうべきところは何とも明らかだということだろう。

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Posted by ブクログ 2021年01月04日

読み終わってから知ったけど、「銃・病原菌・鉄」の著者なんだ!!
この本はいくつかの国の危機(日本も開国と敗戦の時で取り上げられている)について、12の視点で分析したもの。
歴史、心理、政治、経済、気候などなどを複合的に学べる一冊。
そして、国や組織、個人が危機に陥った時に頭を落ち着かせて、状況を把握...続きを読むし、危機の原因を分析し、対応法を考えられるようになる助けにもなるかもしれない。

そして、日本への厳しい指摘はできるだけ多くの日本人に読んでほしいし、受け止めなきゃと思う。

因みに、分析軸は下記。
1.危機に陥っていることを認める
2.責任を受け入れる。被害者意識や自己憐憫、他者を責めることを避ける
3.囲いをつくる/選択的変化
4.他国からの支援
5.他国を手本として利用する
6.ナショナル・アイデンティティ
7.公正な自己評価
8.過去の国家的危機の経験
9.国家的失敗に対する忍耐
10.状況に応じた国としての柔軟性
11.国家の基本的価値
12.地政学的制約がないこと 

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Posted by ブクログ 2021年01月04日

注)感想は上巻と同じです

ジャレドさん、銃病原菌鉄に続いて2冊目。
この本では、いつくかの国に訪れた危機と、その危機にどのようにして対応したのかが描かれている。

まず、はじめに思ったのは、知らないってことは恐ろしいな、と。この本に書いてあることが、真実なのかどうか、私には確認する術がないけど、そ...続きを読むれでも、歴史について知ることは自分の考え方に幅をもたらしてくれるような気がする。

例えば、フィンランドの話し。ソ連との関係性について、その内情を知らない人から見たら、なんでそこまでソ連の機嫌を伺うような振る舞いをするのか、理解ができないことだろう。でも、それまでのソ連との関係からフィンランドの人々がどのように考えるに至ったのかを知れば、理解できるようになる。

日本についても、明治維新後の日本については、危機への対応が良かったことが書かれているが、第二次世界大戦や昨今の日本には対応の不味い点が指摘されている。特に戦後のドイツとの比較で、戦争時の過ちに対して正確な自己評価が不足している、と指摘する。ドイツは過ちを詫び、自国内でその過ちについて、きちんと教育しているが、日本ではいまだに戦時の教育ではそうした負の部分が正確に伝えられていない。わたし自身、どちらかというとこの作者の指摘通り、日本がそこまでひどいことをしていないのではないか、という幻想を抱くことがあったように思う。

歴史に学ぶことの重要性を考えさせられる本でした。

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Posted by ブクログ 2020年06月01日

下巻も面白かった。現代日本の課題は,ほんとそのとおりと思うねんけど解消されそうな雰囲気はないのは何でなんやろと思う点ばかり。その他の分析もすごく参考になった。
こういった類の本は,たいてい文章が難しすぎて頭に入ってこないんだけど,この本は違った。訳が上手なのか,原文がそうなのか。
うなずくことになる...続きを読む意見ばかりだったけど,原発と原爆投下についてはちょっと言いたくなった。けどそれはそれで読んで勉強するところなんだと思う。

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