あらすじ
合衆国総人口の約十二パーセント、三千万人以上を占める黒人たち。人間としての、市民としての平等を求める彼らの闘いは、どのようなものであったのか。合衆国独立前から南北戦争を経て公民権運動へ、さらに真の解放を目指す現在までの長い苦闘の歩みを歴史的発展とともにたどる。旧版以後二十七年の変化を見据え、大幅に書き改めた。
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Posted by ブクログ
アメリカ黒人の歴史を丁寧に描いていて、世界史の下地がない私でも非常に面白く興味深く読むことができた。
出来事の点と点を繋いで歴史の大きな流れを把握することが出来たところがよかった。
印象に残ったところ
・歴史は常に勝者・強者によって紡がれるものだという指摘に、確かに黒人の偉人はあまり歴史の教科書に登場しないなとハッとした。
・南北戦争で奴隷解放した後でも、資本主義の安い労働力として黒人が低い地位であった方が資本家にとって得であり、差別はなくならなかったという話になるほどなと思った。
・黒人が人権や参政権を得るまでの道のりの険しさを知り、今の自分があたりまえに政治に参加できることのありがたみを感じた。
Posted by ブクログ
1964年に刊行された書籍を1991年に増補したもの。枠組みとしては、黒人奴隷制の歴史を米国資本主義の発展に即して説明する方法がとられており、マルクス経済学の影響が垣間見られるが、個々の具体的叙述があくまでも史実に徹してなされていることが、ロングセラーたる所以なのだろう。自分の黒人奴隷についての知識が断片的なものに過ぎなかったことを思い知らされた1冊だった。
Posted by ブクログ
差別の本質とは何だろうと考えてみると、自らの経済状況や生活を脅かす存在を排除しようとする気持ちがその大きな要因の一つではないかと、少なくとも本書を読んで感じた。だとしたら、理想的な平等主義を唱えることでは、差別は根絶できない、ということを認識すべきだろうと思う。
Posted by ブクログ
モントゴメリーでのローザパークスの行動が、マルチンルーサーキング牧師の非暴力的抵抗に繋がっていく,黒人運動の歴史を知るのによい。
黒人大統領の登場を含む,改定版が出るのを期待する。
Posted by ブクログ
黒人の中でも、アメリカに住む黒人にスポットを当てている。キング牧師の公民権運動は、それまで幾多の黒人たちが繰り広げてきた闘争が結実したものである。
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プロローグで1991年当時のアメリカ黒人の現状・定義を述べたあと、植民地時代の奴隷制度からこの本の発刊される1991年までのアメリカ黒人の苦難の歴史をたどる。
簡単にまとめるなら、数々の運動を通して政治・社会的な平等を手に入れたものの黒人一般の経済状態は悪化しており、そういった意味ではアメリカの黒人問題は解決しておらず、これから実証的・理論的な解明が望まれるがむしろ発展したアメリカ資本主義の構造的な問題だとみるべきだそうだ。
著者が締めくくりに引用したキング牧師の最後の著作『黒人の進む道』から。
「《ブラック・パワー》というスローガンよりも、《貧しい人々のためのパワー》というスローガンのほうが、いっそうはるかに適当であろう。……要するに、黒人の問題は、アメリカ社会全体が、より大きな経済的正義に向かって新しい方向転換をしなければ、解決することはできないのだということである。」
全体的にわかりやすく時代ごとにまとまっていてよい。ただし二十年近く昔の本。
Posted by ブクログ
1863年のリンカーンの奴隷解放宣言に始まり、
100年後の1964年にようやく公民権法が成立する。
このあたりで差別は無くなったかと思ってしまうが、
まだまだアフリカ系アメリカ人を取り巻く状況は厳しい。
未だ差別による負の遺産は残っているのだ。
アメリカという国が成立した時点で、
この国における黒人奴隷という歴史もまた始ったのは
何とも不幸なことだと思う。
ちょっと内容が古いので、
最新の状況については別の本で補完する必要がある。
ただ、建国前後と奴隷解放宣言以降数十年の記述については
非常に参考になった。
Posted by ブクログ
タイトル通り、アメリカにおける黒人の歴史を年代順に、分かりやすく解説した一冊。大きな事件だけをクローズアップするのではなく、それぞれの時代の様子が丁寧に説明されているので、大きな事件や各戦争へ繋がって行った経緯がよく分かる。
さらに、最後の章で述べられている通り、アメリカにおいて黒人問題は未だ、解決してはいない。貧困という問題と絡み合いながら、より複雑化しながらも歴然と存在するのだ。形は違っても、格差という社会問題は日本にとっても他人事ではない。そのことがよく分かる内容だった。
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
合衆国総人口の約十二パーセント、三千万人以上を占める黒人たち。
人間としての、市民としての平等を求める彼らの闘いは、どのようなものであったのか。
合衆国独立前から南北戦争を経て公民権運動へ、さらに真の解放を目指す現在までの長い苦闘の歩みを歴史的発展とともにたどる。
旧版以後二十七年の変化を見据え、大幅に書き改めた。
[ 目次 ]
プロローグ アメリカ黒人とは
1 植民地時代の奴隷制度
2 独立革命
3 南部の綿花王国
4 奴隷制廃止運動
5 南北戦争
6 南部の再建と黒人差別制度
7 近代黒人解放運動
8 公民権闘争の開幕
9 黒人革命
10 アメリカ黒人の現在
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
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☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
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共感度(空振り三振・一部・参った!)
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
Posted by ブクログ
イギリス植民地時代から現代(と言っても80年代)までのアメリカ黒人の歴史に関する概説書。公民権運動の部分を除いて、生々しいエピソードの紹介や著者の独自の視点や解釈といったものはあまりなく、史実とその背景、データを追いながら、黒人の歴史の概観を掴めるようになっている。アメリカを知る上で欠かせない黒人の歴史についていの基本的な入門書。(07/06/19)
Posted by ブクログ
1600年くらいから現代まで続く歴史を一冊の本で網羅するのは対象を絞ったとしてもやはり難しく、大筋をなぞるので精一杯な感がある。もう少し詳しく時代別にでも読んでみたい。
Posted by ブクログ
ローマ時代の奴隷制度は理解できる。戦争に負けた国から賠償金として扱われ、資産として数えられたことは奴隷が働きに応じて自身を買い戻すことができたことからわかる。勝者の分が大きいが、計算が合うシステムだ。産業革命時代の奴隷制度もまぁ理解できる。およそ人としての扱いを受けなかったとしても、アフリカに持ち込んだ繊維製品、ラム酒の代金としてプランテーションの労働力のために集められた。人道的ではなかったが、経済的合理性があった。だが、公民権運動時代の黒人の扱われ方は全くもって理解できない。白人学校に入学した黒人少女の登校を阻止するために武器を持って学校に押しかけ暴動を起こし、広報活動のためバスで全国を回っている黒人団体の到着を待ち構えて集団で取り囲んで暴行を加える。白人相手だったとしても、黒人を擁護するなら襲いかかる。嫌いな団体への一方的な攻撃は今もネット上でよく見かけるが、実際に行動するのは圧倒的にコストが高い。そこに如何なる合理性があったのか。感情としての合理性しかなかったならば、多数の攻撃者を生むまでに追いやった社会情勢とは何だったのか。本書で提示されるのは事実の列挙のみであり、その背景はほとんど見えてこない。
想像だけで語るならば、恐らくその根底にあるのは社会正義だろう。たとえ他者から『百害あって一利なし』と見えたとしても、一利もない行動はどんな個人にも実行することはできない。当時の攻撃者には、黒人を排斥することでしか達成できないように思えた理想の世界があったのだろう。
いつの時代でも、人種、宗教、性的指向などそれぞれの社会システムにおける少数派が、逸脱者として攻撃の対象となってきたのは世界の問題だが、恐らくそれ以外でも、気付かないところで『正義』のために敵を創りだし、消費されている無駄なコストは数多くあることだろう。植え付けられた『正義』の概念を矯正することは出来ないのか、『攻撃』以外の手段で解消させることができないのか。本屋の端くれとしては、『知ること』がその一歩となることを信じて、多くの人に色んな本を読んでほしい。
Posted by ブクログ
ゴスペルについて読んでたら、何となく行き当たった一冊。
ゴスペルの起源は黒人霊歌。
ふと、オバマの就任演説を思い出した。実に感動的だったんだがな。
黒人大統領。
その意味は実に大きかったんだがな。
黒人文化を、大雑把に掴む為の入門編ってところ。