あらすじ
「子育ての本当の目的」って、なんだろう?
宿題、定期テスト廃止。固定担任制も撤廃。服装・頭髪検査はおこなわない。
公立中学校とは思えない数々の学校改革で注目を集める
千代田区立麹町中学校の工藤勇一校長が、
子育ての「当たり前」について考えてみたのが本書です。
・友達は多いほうがいいはず。でも、うちの子は友達が少ない……。
・学校には行かなきゃならない。でも、うちの子は不登校になってしまった……。
・親子は仲良くなきゃいけない。でも、親子関係がうまくいっていない……。
・成績が悪かったら、いい学校に行けない。でも、うちの子は授業についていけない……。
多くの親御さんは、日々、さまざまなことに悩みながら
お子さんと向き合っていることでしょう。
でも、きっと大丈夫。
一番大事なことは何かを考えたら、そんなに気にすることじゃないかもしれません。
本書には、麹町中でなくても実践できる、子育ての心構えを詰め込みました。
不安を抱えて育児に奮闘する皆さんの心を、ふわっと軽くする1冊です。
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Posted by ブクログ
私の好きな「固定概念を疑ってくれる」そんな本でした。
私は今現在、親ではないので一度手放しますが、親になった時や教育に携わる機会があればバイブルになりそう。(甥や姪との関わりに取り入れたい)
最近触れている、認知行動療法にも出てくる“スキーマ”にかなり関わっていく親の関わり方。かねてから大切だと思っていたが、それを確たるものにさせられた。
=====特に“ハッ”とさせられた項目をメモがわりに======
02.手をかけない子どもほど自律する
→トラブルにならないように親が介入していないか。トラブルが起こったら子ども同士で解決させよう
08.子どもの問題は大人が勝手につくっている
→大人が問題だと定義するから問題になる(不登校など)。子ども自身が気にしていないことは、あえて指摘しない
17.子どもを変える「タイムマシン・クエスチョン」
→何か起きた時には「いつになったらその行動を辞めるのか」自分自身で選ばせる
22.食べ物の好き嫌いがあったっていい
→なぜ残すことが問題なのか?を明確にすべし。残さずに食べることを強要するより、食事の楽しさを知ることのほうが大切
23.汚い言葉遣いから、「言葉がどう伝わるか」を考えさせる
→汚い言葉遣いが問題なのではなく、その言葉によって相手がどう思うかを大切にする
26.家庭学習の習慣は、子どもの時間を奪うだけ
→学習の目的は「わからない」を「わかる」ようにすること。宿題って本当に必要(わかることをやることが必要?)社会人には働き方改革があるのに、子どもにはないのはどうして?
最後の卒業生代表の挨拶文。「リスペクト」と「ゴール」
本質的に大切なことは社会でも学校でも変わらず、すごく限られたものであると感じた。
Posted by ブクログ
子育てする身として日々の自分の子どもに対する向き合い方を見直すきっかけを与えてくれた。
いくつか印象的なところを列挙すると
・手をかけないほど、子どもは自律する
例えば子どもが公園で遊んでいる時に、他の子とおもちゃの取り合い等でトラブルとなった時、親が「おもちゃを貸してあげなさい」や「仲良くね」だったり積極的に介入することは、子どもどうしで解決していく芽を潰してしまっている。子ども達はこういったトラブルの中で、自然と多くの者形成を学び、「自分で解決する」という意識を持つ。
・どんな環境でも挑戦できる強い脳は作れる
人は「心的に安全な状態」だと、脳内の思考・注意や、感情のコントロールを司る部分がうまく機能し、思うように行動できる確率が高まる。
・なんでもかんでも叱らない
命に関わること、人権に関わることで生徒が問題を起こした時は、厳しく叱ります。叱る内容に優先順位があるのです。
・叱る時は「子ども基準」で考える
「そもそもうまくできないのが当たり前なんだよ。でも、もしそれであなた自身が困っているなら、工夫して変えていかないといけないよね。どうすればいいと思う?」というような、安心感を与える言葉がけが必要です。
・子どもを変える「タイムマシン・クエスチョン」
例えばここに問題行動を起こす、中学2年生の男の子がいるとします。その子に未来を想像させるのです。「20歳になった君は、どんなことをしていると思う。」、、、、「じゃあ、大学生になった君は、今みたいな行動をすると思う?」、、、、「そうか、そりゃそうだよね。じゃあ、いつ頃、(何歳頃に)、君はその行動をやめているの?』
・偽善者でいいんだ
「偽善者かどうかを考えることこそ無駄。そもそも、人によく思われたいって素敵なことでしょ。」
Posted by ブクログ
発達障害の診断なんてわざわざつけなくても、色んな子がいるのでその子、一個人として対応の仕方を考えればいい。
さまざまな常識とは違った物の見方があり、とても為になりました。
子育てのプレッシャーの重荷が少し軽くなるような本でした。
Posted by ブクログ
いろいろな子育て・教育本を読んでいると、なんだか共通したものに行きつくなと思う。それが、子どもを尊重すること。教育の目標は、自律できるようにすること。そのためには、子どもに任せる部分を増やすこと。親はいい加減でよくて、ダメなところも見せて良くて、家族みんなが笑っていることが最高だよね。っていうメッセージが心にすとんと落ちました。この本の中では、前半がとくにそんなメッセージだった気がします。だんだんに先生としてかかわってきた中学生のことも絡めて・・・となっていたように思います。自分は大したことがない人間なのに、子育てしていると、子どもにはあれもこれもできてほしいと思ってしまうんですよね。思うようには育たないということを本当に肝に銘じて、サポーターになっていけたらと思えました。
Posted by ブクログ
著者は、宿題廃止、定期テスト廃止、固定担任制廃止などの教育改革を公立中学で行ってきた校長先生。
子の学校教育について考える過程で読んだ本。
プロセスをほめる大切さや、親が物事を否定しないことなど、他の育児書でも言われていることもある中で、ハッとさせられた内容もあった。
「手をかけないほど、子どもは自律する」
例えば、子ども同士のおもちゃの取り合いでは、親が間に入って、トラブルを未然に防ごうと「お友達と仲良くね」「取り合いになるならやめようね」「貸してあげて偉かったね」など、つい様々な言葉をかけてしまうが、
子どもたちはこういったトラブルのなかで、自然と多くの社会性を学び、「自分で解決する」という意識を持つ
(親が介入を続けていると、大人がいなければトラブルは解決できない、という認識の子どもに育ってしまう!)
遊ばせる子どもの親同士の同意が取れていなければ難しい部分もあるとは思うが、
「必要以上に手助けをしたり、障壁を取り払ったりするのではなく、子どもが自らその壁を乗り越えることができるよう、たくさんの失敗をと成功を重ねる姿を見守らなければならない」ということは心に留めておきたいと思う。