あらすじ
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日本が生んだ最初の世界的数学者・高木貞治(明治元年~昭和35年)が昭和24年に物した生涯最後の著書。「数とは何ぞや」という問いに、「一般的教養としても、哲学的思考を有する人々の関心をひく問題」として、簡潔に答えを提示。整数とは、有理数とは、実数とは。矛盾のない理論を証明すべく挑む。大学院生時代の明治31年に物した初の著作『新撰算術』以来50年、生涯続いた「算術」の基礎への関心が、ここに貫かれている。
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高木貞治先生の人柄を知る
今年(2024)の7月に日本の新札が発行される。千円札は北里柴三郎が肖像画になった。北里が生まれた頃に日本人科学者として名前が知られた人物として野口英世、寺田寅彦らがすぐ浮ぶ。しかし高木貞治の名前は、数学科卒業生や、せいぜい理学部卒業生しか思いつかない。数学者は世界的な業績を残してもなかなか名前が残らないものだ。高木先生は本巣市に生まれた。そこには先生を称える記念室がある。私的経験だが、その記念室ができた頃だったろうか本巣市の役場に連絡をし、訪ねたことがあった。そこで墓参りをしたいと職員にお願いすると、たしかこのあたりで……と案内されたのだが結局墓所がわからずじまいでそのまま帰ってしまった。心残りとなった。ぜひ明治期に日本人として世界的レベルの数学分野の成果を上げ、日本の数学教育にも熱意をそそがれた高木貞治先生の偉業を知ってほしい。そのきっかけとなる『数の概念』である。