あらすじ
なんで私がスポーツを!?
中年たちは皆、運動を始める。人気作家・角田光代が、フルマラソン、登山、ボルダリング――様々なスポーツに果敢に挑戦した、爽快エッセイ。
おそらく私はこのまま中年ど真ん中になっても、20代のような手痛い失恋をして、10代の娘のように傷つくだろう、一方で、体はどんどん衰えていくのだろう。
年齢と精神と肉体はどんどんアンバランスになっていくだろう。
30数年間、一度も積極的にやったことのない運動をはじめたのは、この予感がきっかけである。
(まえがきより)
運動が得意、好きな人だけが運動をするのではない。だけど、嫌いだと自覚しているからこそ、続けられることもある。健康維持のためというわけでもない。たまに山登りで「ハイ」になったり、ワイン飲みマラソンで「酔狂」を体験したり……。志の低いユルい楽しみ方こそ、中年体育の特権ではなかろうか。
笑い転げながら読んでいると、不意に襲う感動。インドア作家の挑戦に勇気づけられる、傑作エッセイ集。
※この電子書籍は2016年10月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。
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Posted by ブクログ
本読むのに疲れていたけど、これはとても楽に読める。ゆる〜く続けていいんだ、そうそう、そんな気持ちなるなる、と一話ごとに共感した。
後半はところどころ感動して泣いてしまった。多分冷静に考えるとそんな大げさな話じゃない、と思う。それでもなんだか著者の心の中の戦いを応援したくなってくる。
運動に対しては基本的にしんどい、やりたくない、とネガティブだけど、著者の、自然に対する表現がとても気持ちがいい。本当に情景が浮かぶような、気分が晴れやかになるところも読んでいて良かった。
たまに悪態をついたり、サボれてラッキーと思ったり、゛初骨折も誇らしいほどだ。いい時間を過ごすと、失恋という痛みもやがていい思い出になる、これまた、男女の妙のようですな。゛と登山の締めくくりの一文も、尻の骨折ってて何言ってんだ、と面白かった。
どうしてこんなことやってるんだろう、と思った時に続けるにしても止めるにしても「ま、いっか」と気楽にさせてくれる本でした。
Posted by ブクログ
小説家は運動なんてしないんだろうという勝手なイメージ。でも、一日中家にこもっているなんてことないですよね。
決して運動が好きなわけではない角田さん。運動する動機は、運動が好きだけでなくていいんだなと改めて思います。そして、今からでも始められる(かもしれない)運動のバリエーションにも驚きました。いわゆる「ガチ」でなくてもいいんだな、とりあえずやってみて合わなかったらやめてもいいんだな、ちょっとやってみたいな、そんな風に思えます。
フルマラソンは抵抗がありますが、メドックマラソンには出てみたい!
Posted by ブクログ
体育、とあるけれど、つまりはランニング→マラソンの話。
しかしすごいな、角田さん。小説家なのに。
いや、小説家だからその体験もするする読めるというもの。
体力測定の1000mさえまともに走れなかった私には、信じられない世界です。
最後の、ワイン飲みながら走るボルドーのメドックマラソンは、読みながらこちらも幸せな気分になった。
私下戸なんだけど。