【感想・ネタバレ】他者と働く──「わかりあえなさ」から始める組織論のレビュー

あらすじ

【HRアワード2020 書籍部門 最優秀賞受賞】13刷 7万5千部突破のロングセラー

忖度、対立、抑圧…あらゆる組織の問題において、「わかりあえないこと」は障害ではない。むしろすべての始まりである──。
ノウハウが通用しない問題を突破する、組織論とナラティヴ・アプローチの超実践的融合。
いま名だたる企業がこぞってメンタリングを熱望する気鋭の経営学者、待望のデビュー作!

読者・有識者 絶賛!
■面白すぎて一気読みしてしまった。(20代・男性・会社員)
□編集者としてもドンピシャリで、勉強になった。他者と働くために大切なことが非常によくわかる(佐渡島庸平氏・コルク代表)
■難しい本に見えるけれど、内容がすっごくあったかい。超良書です。(20代・女性・自営業)
□熱量が心地良く、明日もう一回読みたい。(30代・男性・会社員)
■「対話」することは誇りを持って生きることだと書いてあって胸が熱くなりました。(青木耕平氏・クラシコム代表取締役)

□ヒトにやさしくなれる本だった。いつか小学生の教科書にならないかな。(30代・男性・会社員)
■「イケメンすぎる良書」だわ。擬人化したら確実に惚れる。(30代・女性・人事)
□素晴らしかった。なによりも著者のことが人として好きになった。(20代・女性・ソフトウェアエンジニア)
■骨太な理論に裏打ちされた、組織を変えるための本質と、その実践方法である(松井孝憲氏・グロービス研究員)
□ドキッとした。まさに本質。間違いない。(20代・男性・会社経営)
■ぼんやり感じていたことが見事に体系化されていて、それでいて優しさのある組織論。(30代・男性・会社役員)
□一言、衝撃だった。自分の中では21世紀の革命。(30代・男性・サッカーコーチ)
■現場で活かせる内容でした。(40代・男性・サービス)
□ビジネスだけでなく、様々な場面において応用できそう。(20代・男性・メディア)
■夫婦間での悩みをもつ友人にも薦めたい。(40代・男性・IT企業社長)
□要するに、本書は「万人」におすすめできます。(中原淳氏・立教大学 経営学部教授)

内容
現場で起きる「わかりあえなさ」から始まる諸問題は、ノウハウで一方的に解決できるものではありません。
その「適応課題」と呼ばれる複雑で厄介な組織の問題をいかに解くか。それが本書でお伝えする「対話(dialogue)」です。
対話とはコミュニケーションの方法ではありません。
論破するでもなく、忖度するでもなく、相手の「ナラティヴ(narrative)」に入り込み、新しい関係性を構築すること。
それこそが、立場や権限を問わず、新たな次元のリソースを掘り出して、組織を動かす現実的で効果的な方法なのです。
目次
はじめに
正しい知識はなぜ実践できないのか
第1章 組織の厄介な問題は「合理的」に起きている
第2章 ナラティヴの溝を渡るための4つのプロセス
第3章 実践1.総論賛成・各論反対の溝に挑む
第4章 実践2.正論の届かない溝に挑む
第5章 実践3.権力が生み出す溝に挑む
第6章 対話を阻む5つの罠
第7章 ナラティヴの限界の先にあるもの
おわりに 父について、あるいは私たちについて

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

相手と自分のナラティブ(考え方を形成する背景、物語)が違うこと、溝があることを認識して、溝に橋をかけていこうという話。
部下に対して、部下が主人公になれるようにするのが上司の仕事、主体的であって欲しいという想いは大半はこちらのナラティブの都合という主張はハッとさせられた。
また、対話において迎合にならず組織の中で誇り高く生きることだというのは勇気づけられる一節であった。実際はなかなか難しい。

0
2025年09月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

埼玉大学の准教授である宇田川元一氏の著作。

ありていに言えば、共感やエンパシー(empathy)で乗り越える組織論、といったところ。

・・・
この著者の宇田川氏、エピローグとプロローグがすごい。

人に言いふらすようなことではないけれど、中小企業の父親が銀行に唆されて株取引に手を出し、借金をする。その父が亡くなり、家族総出で借金返済に死に物狂いになるという体験をしてらっしゃる。

死にたいのを踏みとどまり、普通に生きる。亡き父親を怨む。父を騙した銀行を恨む。このような体験を経て、どちらも許したわけではないけれど受け入れるという心境に達した彼の方法論は、ある意味で「悟りの境地」に近いように感じた。

そういう意味では、読後の高揚感は凄かったけれど、ふと醒めれば、「そこまでオレほんまにできるん?」と自分のやる気がやや疑わしくなるところはあります。

・・・
で、筆者の方法論といえば、自分の考えはおいておいて、なぜ訳の分からない上司・部下・ムカつくあいつは、かようにクソな考え方をするのか、と冷静に観察しようというもの。

そこから、相手の置かれた立場(例:上司にはまた上に上司がいる、会社と顧客との板挟みになった状況がある、その他もろもろの「事情」)が見えてくる、とします。

そこを見たうえで、適切な会話を継続的に続け、自分の意思を通していこう、というものです。ちなみに筆者はこうした一連の行為を「橋を架ける」作業と称します。

つまりこれ、平たく言えば、「相手の立場に立つ」ってこと。ある意味十分頭ではわかっていることです。ところが、こうして説かれてみると、如何に自分が常日頃こうしたことをできていないかに気づきます。

・・・
さて、こうした議論のなか、「弱者の正論」というコミュニケーション不全の一例があがっていました。

これは、職位が下の方からみて、上司だから・部長だから・社長だから、こうしてあたりまえ、こうあるべき、といちいちごもっともな正論を吐くやつ(はい、私です)。

こうしたくだりを読んでいて、ああ、会社が良くならないのは私自身が影響だったのか、と思い知るに至りました。
ま、自分が元凶ではないとしても、そうしたシニカルな態度や評論家みたいな外野の態度をとるのは決して褒められものではないと改めて反省しました(それでも言いたいことは沢山あるんだけど)。

・・・
ということで、宇田川氏の組織論の本でした。

全然言い尽くせていませんが、技術的問題では乗り越えられないもの、これを「適応問題」と称し、これらにつき、ある意味地道な会話・対話(つまり相互理解)をきっかけに乗り越えるべき、ということを述べる本でありました。

上司がアホに見えて半腐りしている若手、窓際に追いやられ情熱ではなくルサンチマンばかり燃やしているおじさん(私)にはうってつけの作品かと思います。

皆さん、一緒に自己省察しましょう。

0
2025年02月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

組織論の話、つまり、経営論を説くビジネス書、

でも個人的な生き方、の話でもあるような、

『自分の小さな「箱」から脱出する方法』に近いような。

いろんな企業の実践も参照されていたり、

もともとナラティヴ・アプローチの発展した、医療・心理分野の事例もあり。

社会に出たとき、組織に所属した際の役割、肩書を介した人とのつながりのもどかしさ、欺瞞的な側面、それらとどうかかわっていくか、多くの人がモヤモヤしているもの。

人間であるよりも、社会人としての法則に従うことを求められて、

いろいろ空回りしているような状態で、みんながどうしようもなくなっている雰囲気もある。

その、分離、をあえて融合して話す、

試み、ではないか、と思ったり。

_現実は社会的に構成されている社会の中身は会話である、だから、わたしたちは何を語るのかによって、現実を本当に少しずつだけれ度、変えていくことができるかもしれない。その思いから、ナラティブ・アプロ―チを経営の実践の場において、展開できる方法を模索するようになりました。この本は、そうした中で、わたしなりに実践をしてみた一つの帰結であると言えるものです。74

マルティン・ブーバーの「私とそれ」の関係から、「私とあなた」の関係に、というのは分かりやすい説明だと、知った。

もっとフラットに、考えられたらいい、目の前の人間。

けどそうはいかない、

だからこそ、社会はこんなにも発展したのかもしれないけれど、

恩恵と同時に生まれた弊害にも真摯に取り組んで改善できる力もあるに違いない。

対話とは、「新しい関係性を構築すること」、という、わりと大胆な定義づけがなされ、

ロナルド・ハイフェッツさんという、リーダーシップ論の人(Adaptive Leadershipの人か)による2つの区別、技術的問題と適応課題が用いられる。

いろいろ言い方あるよね。

ハードとソフト、みたいな感じかな。

個人的には、ソフトは、政治的、と言ったりするけれど、

だいたいの問題は、技術的な解決策はあっても、

人間関係、プライド、政治、意志、なんかで実行されていないことだから、

それについて話すことは大事でありつつ、

本1冊ではなかなか解決できる課題ではないに違いない、

とか思いながらも、

ひとつ比喩を用いて、つまり、

「溝に橋を架ける」4ステップとして、

1. 準備ー溝に気づく
2. 観察ー溝の向こうを眺める
3. 解釈ー溝を渡り橋を設計する
4. 介入ー溝に橋を架ける

と、分かりやすいイメージを用いて紹介。

_橋が架かるというのは、相手にとっても自分にとっても、お互いが意味のある存在として、物事に取り組める状態になったことを意味します。 66

そんな、繰り返しのプロセスだという。

一方、少し触れらていたように、

組織を一つの機械的な装置として構築して考えていると、

「中枢」と「末端」があって、下は上に従う「それ」になる。

つまり、一人ひとりが主人公になること、「人が育つ」仕事場を実現することは難しい関係性を生むことになるんだと思う。

どのようなイメージを描いて、人と関わるか、チームで取り組むか、って、

本当に大事ですね。目に見えない分、何度も確認し合う必要がありそうだ。




落語、『藪入り』の例。横浜に行ったから、江ノ島に行くことになり、それでまた、鎌倉に行くことになり、、

_対話を実践することの一つ一つは、地道に歩を進める取り組みです。…一足飛びに目的地に行こうとしても、人は今いる状況で物事を考えてしまうのが自然でしょう。今いる状況で良しあしを考えるということは、絵会うものを限定しているということです。ひとつの橋が架かることは、単に少し先に進めるようになったというだけのことではないのです。自分が立っている状況を自ら変えたことで視野に入ってくるものが変化して、次の目指すべきところが見えてきたということです。

この、著者の「対話」への関心の原点には、著者が大学院生の時にガンで他界した父が残した莫大な借金への対処という修羅場の経験がある。

零細企業の経営者であり、バブル期の株式取引を経て抱えた多大な負債を残して亡くなった父。長男である著者は、父に、そして銀行員たちに対して、その理不尽さに怒りを感じずにはいられなかった。

_この愚かで、弱い人間という素内は、しかし、それゆえに、よろい良い関係性を生きることができれば、素晴らしい存在にもなりうる弱さを持つ、希望に満ちた存在でもあるのだ。私たち弱い人間が、それゆえに良き人間として生きられる関係性をいかに築いていけるのか、わたしな父にそのミッションを託されたのだと思っている。

0
2025年05月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

既存の技術で解決できる問題を技術的問題、一方的には解決できない問題を、適応課題という。
対話とは新しい関係を構築するもの。
私とそれ、の関係と、私とあなた、の関係は違う。道具的な応答を期待しているか、固有の応答や関係を期待しているかの違い。
スターバックスは、私とあなたの関係を重要視するために、バリスタの顔が見えるように、全店を一時的に閉鎖して研修をした。
個人とは、個人と個人の環境で作られている。

相手を別のナラティブの中でとらえる。相手の背後になる課題を読み取る。
インテルは、メモリー事業からCPU事業に変化できたのは、現場のミドルが新たな道をすでに模索していたから。
現場には現場のナラティブがある。
人が育つとは、仕事において主人公になること=部下が仕事のナラティブにおいて主人公になれるように助けるのが上司の役目。
経営者が部下と話すときは、権力が作用している。部下は「社長」と話をしている。
責任者特有のナラティブにハマっている罠がある。

対話の罠
気づくと、迎合になっている。対話が押し付けになっている。相手と馴れ合いになっている。
ナラティブアプローチ=対話的な実践
あなたの代わりに、ではなくあなたが考えたことに加えて、あなたに加えて、と言う。

0
2025年04月30日

「ビジネス・経済」ランキング