あらすじ
ある日、元ロス市警副本部長で、現在はセキュリティ会社トライデント・セキュリティの重役になっているクライトンに呼び出され、トライデント社の顧客の大企業のオーナーである富豪、ホイットニー・ヴァンス(八十五歳)が、ボッシュを名指しで依頼したいことがあると言っている、と告げられる。依頼内容は、クライトンも知らず、ボッシュにのみヴァンス本人から伝えるとのこと。ヴァンスに会いにいくと、高齢と疾病のため、老い先短いことを悟った老人から、大学生の頃知り合い、妊娠させながらも、親に仲を裂かれたメキシコ人の恋人を、あるいはもしその子どもがいれば、探してほしいと頼まれる。ヴァンスは未婚で、ほかに子孫はおらず、彼が亡くなれば莫大な財産の行方が気になるところで、もし血縁者がいれば、会社の将来を左右する事態になるかもしれず、そのため、会社側の利益(ひいては自分たちの利益)を優先させる行動に出る重役たちがいることが予想されるため、調査はくれぐれも極秘でおこなってほしい、と念を押される。また、この調査に関する報告は、かならずヴァンス自身にのみおこない、ヴァンス以外の人間から調査への問い合わせは一切しない旨、告げられる。
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Posted by ブクログ
ボッシュシリーズ最新刊
予算が切り詰められた小さい署で無給の刑事と私立探偵をやっている66歳のボッシュ。
娘は大学生、家を出て一人住まい。
ある日かつての嫌いな上司の天下り先に呼ばれたボッシュ、嫌々訪問する。
元クソ上司から大富豪からの依頼を紹介され翌日に赴く、この辺はチャンドラーの「大いなる眠り」っぽい話になるかと思ったが、大富豪との会談はあっさりしたもの。
10代の頃、妊娠させた女性が居るので係累を探して遺産を相続させたいとのこと。
いつものようにボッシュは他にも事件を抱えていて、それは連続強姦犯。
どっちも精力的に追っかけて行くのだが、職場の嫌な上司、意欲的な女性相棒、無能な同僚など周りのキャラも相変わらず多彩。
連続強姦犯がまたやらかして、何気ない目撃情報からの推理で周辺のゴミ箱を3っつひっくり返して証拠を漁る。
すげえ執念のボッシュ、無給なのに。
探し人の方も目鼻が付きそうなところで大富豪の訃報が、下巻に続く。