あらすじ
地下アイドル時代、心身に深い傷を負い、鎌倉の祖母のもとでひっそりと生活を送っていた20歳の小松奈々子。そこに突然現れたラジオ局のディレクター黒木から、番組アシスタントにスカウトされる。
初日の生放送は、後に「伝説の十秒回」と呼ばれる神回となり、かつてラジオ界で絶大な人気を誇ったパーソナリティの片鱗を感じさせるものだった……!?
大食いのアナウンサー、演じるキャラに疲れている女性芸人、売れっ子のオネェタレント…。様々な仲間に囲まれ、時に黒木と罵り合いながら、奈々子はラジオの世界に向き合っていく。それは自身の傷や、過去とも対峙しなければならなかったが、奈々子が生き直そうと決めた「小松夏海」の存在は、次第に黒木たちをも巻き込んで、確かなムーブメントとなっていく。そしてその言葉は、子どものできない夫婦や、大人になることの意味を考える高校生など、切実な日々を生きるリスナーたちの、ほんのわずかな未来を動かし始めていた。
「いいか小松、ラジオにはテレビやネット動画と違って映像がない。
映像という明確なものがない分、リスナーはそれを補って想像する。
そうして頭の中で想像されたものは、誰にも否定されないし奪えない。
だから想像させろ。
リスナーに、姿の見えないお前を想像させるんだ」(本文より引用)
ラジオの魅力と、傷を抱えた人々が織り成す、あたたかな小気味よさあふれる物語。
150万部を突破した『神様の御用人』著者、浅葉なつの書き下ろし長編!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
TALK#07で、これまで夏海の声に救われてきた人たちが、今度は夏海を窮地から救っていく場面にウルウルした。登場人物の人物像が想像しやすく、ラジオの台詞は夏海たちがしゃべっているのが想像できて、とても読みやすく面白い!
Posted by ブクログ
地下アイドルだったが、とある事情で辞めた小松奈々子に、ラジオパーソナリティアシスタントを推薦したディレクターの黒木。黒木のお陰で夏海と改名し、ラジオパーソナリティアシスタントとしてリスタートした奈々子。ラジオって昔聞いてましたが、今はとんと遠のいた存在。それが何だかとっても聞いてみたい気にさせてくれる話でした。一方通行だからこその良さが感じられました。奈々子もマスクのしがらみから解放されて前を向けて良かった。黒木のキャラがお気に入りでした。
Posted by ブクログ
始めはベタな展開で、泣かせようオーラ出まくりで、なんだかなあと思っていたけど、だんだん面白くなってきた。
ラジオってほとんど聞いたことないな。
そういや祖母がよく寝どこで聞いていたのを思い出した。
他の作品もそうだけど、文体がちょっと気になるけど、これってラノベのくくりなのかな。
でも好きな作品。
Posted by ブクログ
ラジオを通じて、人が自分に起きることを受け入れて、立ち止まったり、励まされたり、一生懸命に生きる姿がえがかれていて、ホロリと泣ける箇所がたくさん散りばめられていました。
人のあたたかさが伝わってきます。
エピソードが複数あり、最初の方のエピソードに登場した人物が、最後の方のエピソードに、幸せになってひっそり再登場しているのが泣けました。
ラジオ好きにはもちろん、ラジオを聞くことがない人にもおすすめです。
Posted by ブクログ
夏海がもけもけ太郎に「いなくなった方がいいなんて絶対言わないで。全部わたしが認める」って夏海はもけもけ太郎の全部を認めることは不可能なんだけど、根拠のない勢いとかエネルギーが私も肯定されてるみたいで通勤電車の中で読んでいて涙が出そうになった。
奈々子としての影の部分から、
黒木と言い合う姿があまりにもギャップがありすぎて、心の傷の深さや葛藤が表層的な部分しか理解できないなーと思った。
話はおもしろいんだけどね。
そう考えると文章力がある作家って、本当に一握りなんだなー、書ける人ってすごいなーと思った。
ラジオリスナーとしては単純に楽しめた小説。