あらすじ
死者を蘇らせる術で発展した亀珈王国。名付け師が居を構える霊昇山に、死者の代弁機関である夢無鵡予言院から使者が訪れる。剥州に封じられている二十四大鬼の一体・鬼帝女に不穏な動きがあり、退魔を要請したいというのだ。二十四大鬼といえば退魔不可能と言われた大幽鬼、名付け師といえど退魔はおろか、封じるだけでも命がけだ。そこへ名乗りをあげたのは百人の御子のひとり、才はあるが病弱な千魘神だった。魘神に同行するのは、牢から放たれ、霊昇山に身を寄せている王族殺しの大罪人・曇龍。果たして大鬼退治は成功するのか――?/解説=妹尾ゆふ子
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Posted by ブクログ
二十四大鬼の一体、鬼帝女の退治をすることになった、病弱な死霊術士魘神と大罪人の曇龍。果たして鬼退治の成果は?
別々に語られていく物語が、最後に集約されていくのは見事。
一読したら、再読がお勧め。最初に読んだときに気にならなかった台詞が、再読すると、「そういうことか!」という発見がある。なんなら、『忘却城』も、再読したい。
この話、ぜひシリーズ化して欲しい。
舞蒐のその後も気になるし。
金魚小僧や儒艮はどうしてるのかなあ。
そして今回一番思ったこと。
モフモフゆきちゃんにもふられたい……。
Posted by ブクログ
前作よりも書き方が、良くも悪くもこなれた感じがする。
前作はよくわからない言葉や概念が序盤からチョコチョコ出てきて、巻末の用語集に気付くまではフレーバーかと思って流すしかなかったが、今作では用語集とほぼ同じ内容が本文中でも出てくるため、用語集は必読では無くなった。
その代わり、用語が薄っぺらくなってしまった印象で、前作で用語集を読んではワクワクし「作品の外に深遠な設定・世界観がある」と感じた神秘的な感触は薄れている。
今作で24大鬼の1体を討伐してしまったことや、世界の他の地域の様子が明らかになったことで、物語を包み込んでいた奥行きのわからないモヤは晴れつつあるように感じる。
前作では、香りや喧噪まで感じられるような異国(異世界)での人の営みと、そこでの人々の悲喜こもごもが非常に上手く描写されており、現場で短期滞在しているように楽しんだが、今作ではその部分も薄く、領主の個人的な心理は詳細に描かれる一方、一般の人々の"生活"は感じることはできず、舞台の背景が張りぼてだとわかってしまったような少し白ける感覚で物語を薄っぺらく感じてしった。
前作ではこれだけで終わるのはもったいないと感じ、続編の刊行に喜んだが、今作を読んで三部作でこの物語を締めるのも悪くないように思った。
4点ながら酷評なのは、失速しているわけではないのだが、処女作がすばらしく、私の期待が大きすぎたということ。