【感想・ネタバレ】世界史とつなげて学ぶ 中国全史のレビュー

あらすじ

気鋭の東洋史家による渾身の書き下ろし!
教科書では教えてくれない真実の中国史

・黄河文明はどのように生まれたか
・中華思想が誕生した理由
・気候変動と遊牧民がつくる歴史
・ソグド人が支えた唐の繁栄
・「唐宋変革」で激変した中国社会
・モンゴル帝国は温暖化の産物
・なぜ「満洲」と表記するのが正しいか
・明治日本の登場が中国の歴史を変えたetc.

驚くほど仕事に効く知識が満載!
現代中国を理解する最高の入門書


現代中国とは、過去の歴史の積み重ねの決算であり、通過点でもあります。そこに至るプロセスを知ることなしに、「中国人の考え方は理解できない」「中国の存在は日本にとって脅威」などと評論しても意味がありません。問題はそのプロセス・歴史をうまく捉えていない、そのため偏見に満ちた見方になっていることで、そういう〝偏見〟の自覚すらないのが、一般的な日本人の姿ではないでしょうか。

日本人の多くが、中国は太古より強大な統一国家だったとか、中国は常に強大で、常にアジアの覇権国家だった、という印象を持っています。「中国は異質」「理解できない」といった印象を持ってしまうのは、こういう下地があるからなのです。そこで重要なのは、リアルな中国史を認識することです。それを通じて、はじめて現代中国が抱える問題も、その本質を理解することができるでしょう。

歴史といっても、細かい年号や人名、事件などにこだわる必要はありません。何よりも時代の特徴、ならびにその流れを摑むことが大事です。本書では、文明の発祥から今日に至るまでの中国史の展開を一気呵成に描いて、現代につながるリアルな中国の姿を浮き彫りにしていきたいと思っています。(「まえがき」より要約抜粋)

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

一般大衆のために分かりやすく書かれていて、ありがたかった。娯楽として歴史を楽しむのに最高の本。

人々の生活は、環境によって大きく変わるんだなと思えた。
農耕民⇔遊牧民、気温の急激な変化、大事。
宗教、金、権力などだんだん複雑化していく...。

ギリシャ・ローマ→中国→日本の順番で新しいものが来た。日本かなり田舎だな。

この歴史の流れを知り、実際に中国中心都市に行ってみると中国プライドというものがないのかねという気持ちになる。寿司やサンリオや日本のコンビニなど日本の文化に攻め込まれ終わった感がある。

四川省は海から遠いから、今も昔も田舎なのか。加油加油

中国は全体としては、非効率な争いは意外と避けたいようだった。今も昔も同じじゃないか。
中国とロシアの関係性を見ても。

中国は省ごとにかなりが個性がある。個性を保ちつつ、統一をはかっている。難しいことだ。中国人一人ひとりも中国国内の個性を把握し切れていないはずだ。
官僚の必要性が少しわかった。
インターネットやスマホの普及により、世界中の若者は似通っているのではないか。中国は将来的に統一できる?

モンゴル帝国強すぎ。ワロタ
まさかの地球寒すぎて崩壊。

思ったより、物々交換から通貨への話の割合が多い。

中国は爆発的に人口が増えたけど、多くがヒエラルキーの下の方にいて、めちゃくちゃ格差広がったじゃん。

シルクの内容が多い。お茶の話もある。アヘンは

0
2023年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人名はあまり出てこず、政治体制や経済などについて書かれている。中国史は一応知っているつもりだが、本書のような見方に出会い、目から鱗が落ちた。元を評価していておもしろい。本来中国は多元的な世界だったと。清のくだりは少なかったが、おもしろかった。

0
2021年12月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

アジアの東西は繋がって、寒冷化・温暖化→農業生産性の増減、民族の移動を同様に繰り返し社会構造が変化。中央アジアの遊牧民が中国の歴史の重大なプレーヤー。モンゴルの力ではなく商業的交流によるグローバリゼーション。次は逆張りの明の漢民族純化。清の超小さな政府。南北の差から東西の差へ。地域分業・地域割拠から「国民国家」への苦闘。共産革命も含めた近代の革命も多元社会から国民国家を作るための方便。中国がなぜ「一つの中国」に拘るのか。そもそも多元的だから。西洋史観ではない見方が必要。私にも分かり易かった。良書。

0
2021年12月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 中国というと我々の多くのイメージは中国共産党とか、共産主義とか、中華料理とか、門切り型のイメージを持っていることが多いと思います。
 本作はそのような通り一辺倒な中国のイメージを壊すとともに、作品名にある通り、日本やその他の諸国の歴史と関連付けることで中国史をより理解しやすくする作品と言えます。

 本書を読んで一番感じたのは、中国はとにかく多民族だということです。元という国がモンゴル系ということは皆さん日本史で習ったと思いますが、後の清も実はツングース系民族の王朝であり、漢民族のものではありません。4-5世紀を五胡十六国時代と言いますが、この五胡も5つの胡族の国ということであり胡族とは華人以外の蛮族の意味です。現在も50以上の少数民族が暮らしていると言われています。当然のことながら異民族同士で文化や習俗は異なりますね。
 つまり我々がイメージする漢人が中華思想に基づく王朝を打ち立てた時代は、意外にも中国の歴史のなかではそこまで長くはないのです。

 外国が日本に持つ単純なイメージ(寿司、アニメ、勤勉)はすべての日本人に当てはまるわけではないように、我々日本人が外国に持つイメージもまた、得てして正確ではない可能性が高のではと考えてしましました。もちろん国民性といった一般的な性格はあるかもしれませんが、それとてグローバル化された社会では徐々にまだらになってきているのではないでしょうか。中国とか日本とかにかかわらず。

 ちなみに、中国の多様性についてですが、この多様性が現在の中国の悲劇を表わしているように思えてなりません。
 本書でも触れられていますが、日清戦争以降の負け戦が続く中国で、国民国家を目指して辛亥革命が起き、第二次世界大戦を経て共産党一党体制が現在も続いています。しかし、こうした国民国家の理想がいかに難しいのかは、中国の現状を見ればよくわかります。ダライラマはインドへ亡命し、チベットは厳しい弾圧を受け、新疆ウイグル地区では今も人権侵害を他国から指弾されています。
 つまり、そもそも中国人という国民概念はいわば幻想であり、漢人、満州人(清王朝の辮髪の人達。ラーメンマンの感じ)、モンゴル人(遊牧民)、ウイグル族(ムスリムの多い中央アジア人)、チベット人という別個の歴史と文化を持つ別々の民族なのです。さすれば共産党一党独裁で何とか70-80年ばかり来ましたが、そもそも一つの国としてまとめるには無理がありそうなのです。さすれば中国人というアイデンティティはどこまで浸透しているのか、と疑問に思った次第です。
 ソヴィエト連邦崩壊後、ヨーロッパではユーゴスラビアが内戦に陥りましたが、そこには国民国家というよりも民族や言語或いは宗教にこそアイデンティティを感じていた人々が多かったのではと想像します。
 今後の中国がどうなるかわかりませんが、平和でいてくれることを願うばかりです。

 その他、幾つか見られた世界横断的な歴史分析も良かったです。たとえば中国発の統一王朝である秦の始皇帝、実はローマ帝国の統一とほぼ同時期のBC3世紀とか、3世紀に起こる気候の寒冷化により、中国では遊牧民族(胡族)の南下による侵略を、西洋ではゲルマン大移動を引き起こしたとか、です。
 また、貨幣に関する記述も見られ、興味深かった。例えば元の中統鈔という紙幣は銀との兌換が可能だったとか(結構すごいことだと思いますよ)、清朝で中国の輸出が激増したのはヨーロッパ各国が金兌換を開始したため銀の価格が落ちたため(つまり通貨安による輸出増)とか、政治史に隠れていて日が当たらない中国経済の一端が見えた気がしました。

・・・

 今更ですが、本作の内容は、おおむね高校世界史の教科書に書いてある事項だと思います。なので、しっかり世界史を勉強された方には、なあんだ知ってるよ、という感覚を持たれるかもしれません。しかしながら、中国史を個別に学びたいというニーズがあるときは、本作は非常にコンパクトかつ優れた本だと感じました。また、決して中国は一通りではないということを再認識させてくれました(この点は強調したい)。
 ですので、本作につきましては、どちらかと言うと初心者向けかもしれません。ですので、世界史未修者や中国史を通して勉強をしたい方にはお勧めできます。あと、中国と関わりのあるビジネスマンにとってはこの作品の内容は最低限度の中国史知識かもしれません。ちょっと教養レベルが高めの中国の方はこうした民族の違いをジョークのネタに使われたりします。

0
2021年06月29日

「学術・語学」ランキング