【感想・ネタバレ】不時着する流星たちのレビュー

あらすじ

盲目の祖父は、家中を歩いて考えつく限りの点と点を結び、その間の距離を測っては僕に記録させた。足音と歩数のつぶやきが一つに溶け合い、音楽のようになって耳に届いてくる。それはどこか果てしもない遠くから響いてくるかのようなひたむきな響きがあった――グレン・グールドにインスパイアされた短篇をはじめ、パトリシア・ハイスミス、エリザベス・テイラー、ローベルト・ヴァルザー等、かつて確かにこの世にあった人や事に端を発し、その記憶、手触り、痕跡を珠玉の物語に結晶化させた全十篇。硬質でフェティッシュな筆致で現実と虚構のあわいを描き、静かな人生に突然訪れる破調の予感を見事にとらえた、物語の名手のかなでる10の変奏曲。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ヘンリー・ダーガー他、過去の人たちのエピソードから
インスパイアされ書かれた10の作品。
とても小川さんらしさに溢れた短編集。

母乳ババロアをこんなにさらっとそこに自然にむしろ必然的に
あるように書けるのは小川さん以外いない、と思います。

過去の人たちのエピソード自体も面白く
装丁もとても良かったです。断然文庫派なので
文庫待ちですが違う絵になってしまってたら
ハードカバーを買うかも。。

2025年10月7日再読
結局文庫を購入しました。

1度目のときに書いた「母乳ババロア」が書かれた作品で
「再読だわ…」と思い出しました。

誘拐の女王
主人公よりお姉さんのその後が気になります

散歩同盟会長への手紙
今回のNo.1。小説を書いてみたい、と思ったことはないんですが漫画を描いてみたい、とは思ったことがあるので主人公の気持ち、ちょっと分かるなぁ

カタツムリの結婚式
これは作品よりパトリシアハイスミスの経歴に目が行ってしまった。カタツムリを300匹飼育…。

臨時実験補助員
赤ん坊は本当にいたのかどうか。静謐なホラー。

肉詰めピーマンとマットレス
娘がいたらこんな感じなのかな、羨ましい。

若草クラブ
少女の妄想力がすごい。

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2025年10月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「カタツムリの結婚式」がいくら小川洋子といえども、どんなとこに目を付けるんだと、空港に行くたび授乳室と礼拝室が目に入るようになりました。今まで特に気にした事もなかったのに、確かにあの2つ並んだ通路は人通りが少なくひっそりとしていてまさに小川洋子の世界だ

おばあちゃん子だった為お年寄りが出てくる話に弱い私は「測量」もとても良かった。だんだんと狭まっていく過程がせつない

「肉詰めピーマンとマットレス」は好きな人が多そう。お母さんの肉詰めピーマン食べたくなった。

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2024年12月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

今作では測量が1番好きだ。
祖父と孫で阿吽の呼吸というか、よくいる孫なら面倒くさくなって付き合わなくなりそうだが、根気よく付き合うというよりは、祖父の測量を手伝うというのがごく自然の流れであるかのように付き添っていて、ほっこりした。
段々、歩数が少なくなり、それでも続ける。

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2023年06月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

なんとなく心ざわつく読後感。
「失われたものへの哀悼と、喪失の甘美さに充ちた、極上のオマージュ作品」とは解説の文章であるが、なかなかぴったりな表現だなと思った。

表現が精密で、モデルになった人物や出来事の解析度が高く、顕微鏡レベルで提示されるので、ぼんやり生きてる私には少しクラクラしてしまった。
後でもう一度読み返してみよう。

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2024年03月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

そこに狂気があるとして


まるっきりのタイトル買い。少し怖くて、ちょっと気持ち悪くて、でもたぶんプラスに向かうマイナスのちから、というものもあるんだろうなぁ…なんてぼんやり。
頭がおかしくなりそうな、いろいろ、の中で
それを形にするには、じゃあ、どうしても
そちらがわ、に踏み込むしか無い?

高みの見物、は許されないのだ。

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2019年08月30日

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