【感想・ネタバレ】静かな雨のレビュー

あらすじ

忘れても忘れても、ふたりの世界は失われない。
映画化決定(主演・太賀、衛藤美彩)、本屋大賞受賞作家の瑞々しいデビュー作。

行助は美味しいたいやき屋を一人で経営するこよみと出会い、親しくなる。
ある朝、こよみは交通事故の巻き添えとなり、三ヵ月後、意識を取り戻すと新しい記憶を留めておけなくなっていた。
忘れても忘れても、二人の世界は少しずつ重なりゆく。

文學界新人賞佳作に選ばれた瑞々しデビュー作。

*文庫版には「日をつなぐ」(角川文庫『コイノカオリ』収録)も併録しました。

解説・辻原登


※この電子書籍は2016年12月に文藝春秋より刊行された単行本の文庫版を底本としています。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

2編が収められている。
文学的な作品。
「静かな雨」
記憶が思い出せない彼女との日々に、悲壮感はない。ただ、日常の些細なことの積み重ねができない半紙のようなさみしさが積み重なって行く。忘れてしまう自分を突きつけられたときの悲しみが美しく表現されてある。静かな雨は、静かな涙だ。

「日をつなぐ」
縁故のない土地での出産育児。手に取るようにわかる。その後のふたりがどうなるか。
夫が「引っ越そう」というか、「転職することにした」というか。妻が寝不足で自分が自分でないような状態にありながら、夫のために夕食を準備する場面からの、「別れよう」は悲劇すぎるからなしにしてほしい...など、その後のストーリーを考えてしまう面白さもある作品だった。


宮下奈都さんの文体は、静かだ。

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2024年05月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著者のデビュー作。静かなの中に強さを見いだす。(最近のスコールのような雨ばかりだと、この雰囲気を雨からえられない。しとしと降る雨ないなぁ)
「あたしの世界にもあなたはいる。あなたの世界にもあたしがいる。でもふたつの世界は同じものではないの」 こよみさんが高校生に語るシーンが良かった。
博士の愛した数式 小川洋子著と思われる引用から行助さんの行動が起承転結の転。
あとはしとしと、地を潤す雨の世界が広が広がってだと

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2026年07月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

宮下奈都さんの言葉の並びがとても好きです。匂い、音、手触りが、ありありと感じ取れるようでした。
ふたつのお話とも、暖かいはずなのに、ずっと寂しい。
修ちゃんはの話って、なんだろう。良い話では無いかもしれないと思わずにはいられない。
でもどちらの男女も、互いを傷つけることは一切していないから、どうか優しい結末出会って欲しいと思う。

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2026年03月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

作中で、何故勉強をするのか、という学生から問われる場面が好きだった。
あなたが見ている(認識している)世界と、私が見ている(認識している)世界は違う。
例えば「黄砂」。あなたにとってはただの黄色い砂というイメージしかないかもしれないけど、私はこの言葉を聞くと、空気の霞んだ情景だったり、洗濯物が外に干せないもどかしさだったり、シャワーを浴びると排水溝に溜まる砂のことを思い出す。
自分の生きる世界はそういう風に広がっていくと思うと、まだ沢山知らないことがあって、もっと勉強しなきゃという気持ちにならない?
(うろ覚えですが。。)

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2024年10月17日

Posted by ブクログ

ネタバレ

1つ目の作品「静かな雨」
・事故をきっかけに記憶障がいを抱えた女性と、生まれつき足に障がいを抱える男性とのお話。
・2人が結ばれることができたのは事故のお陰で、もし事故が起きていなくても、2人は結ばれたのだろうか?
・雨が降ったら土に染み込んでまた乾き、雨なんて降ってないように元通りになる。こよみの涙や悲しみもまた、一晩経てば忘れられて、なんでもないように、乾いて元通りになる。切ない。
・ブロッコリとリスボンのくだりが重なった時、可哀想で切なくなった。

「世界は広い。だけどあたしの世界はあたしの身の丈にあったぶんしかない。そう思うと、焦るでしょ?いろんなことを知りたい、知らなきゃいけないって気分になるでしょ?」

「どうして若い人には可能性があると、そんな乱暴なことを平気でいえるのだろう。確かに、何者かになる可能性もあれば、ならない可能性もある。もしも若い人の可能性がほんとうに無限なら、たとえ年をとって可能性が半分に減ったところで、たかが無限の二分の一だ。九割の道が閉ざされてしまっても、まだ一割残っている。無限は一割でも無限じゃないのか。」

2つ目の作品「日をまたぐ」
・2人の出会い方はすごく運命的で純粋で素敵なものだった
・「アフリカとブラジル」のくだりはよく分からなかった。ひとつの大陸だったものが時間を経て別々に分断された→別れ話かと思ったけど、別れてない
・修ちゃん優しいように見えなくもないけれど、真名ばかりがたった1曲の音楽にも耳を傾けられないほど精神的にも追い込まれていることにも全然気付かず、いつもこんななのか?とか聞く始末。仕事忙しいを言い訳にしてるだけ。スープないの?とか言い出した時には「はっ?!!!」てなった。そして優しくご飯を用意してあげる真名にも「へっ?!!!」てなった。

2つの話に共通しているのは、
・美味しい食べ物
・音楽
・世界に閉じ込められていること
 こよみは行助の世界
 真名は娘の世界もしくは修ちゃんの世界

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2026年06月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

静かな雨と日をつなぐの2作品収録小説。
どちらも明瞭な救われ方をして終わる物語ではなく、些細なことがきっかけで、視点が変化し物事の見え方が少し前向きになるという話。
結局として、現状は変わっていないのだが、これからの未来をどう捉えるかに視点が移ることで、明るい結末を示唆させている感じが、綺麗事が簡単には起こらない自分たちが生きるリアルな現実に近く、自然と勇気づけられるような読後の爽やかさを感じた。

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2026年04月04日

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