あらすじ
とんでもない医療格差が出現した近未来の日本。売れない作家の終田千粒(ついたせんりゅう)は「ランクC病院」で銀行のATMに似たロボットの診察しか受けられない。そんな彼に「ランクA病院」潜入取材の注文が舞い込む表題作。“日本一の健康優良児”を目指す国家プロジェクトに選ばれた男の悲喜劇「健康増進モデル事業」など、奇抜な着想で医療の未来を映し出す傑作短篇集。『ガンコロリン』改題。※【電子版あとがき】をはじめ、ストーリー上の出来事が一目でわかる【桜宮年表】や【作品相関図】、小説・ノンフィクション作品の【海堂尊・全著作リスト】、小説作品の【「桜宮サーガ」年代順リスト】など数々の電子版特典を巻末に収録!
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Posted by ブクログ
短編オムニバス。いきなり白鳥室長らしき影がちらつき、東北地方を襲った大震災ではジェネラル速水が登場。そして、表題作となる短編では愚痴外来の名が出てくる。桜宮サーガファンとしては思わずニヤリ。あとがきで警鐘を鳴らす著者。ガンの特効薬が開発された「ガンコロリン」だが、地球を蝕むウイルスとなる人類は、やはり新たなガンという地球の特効薬で絶滅へと進むしかないのか? 医療に所得格差を設けた表題作も、あり得ない話ではないのだ。
Posted by ブクログ
軽くて重い五つの短編。
・「健康増進モデル事業」、「ガンコロリン」、「ランクA病院の愉悦」の三篇は聞き馴染みのある名前を借りながら、ちょっと先の医療とのつきあい方が書かれた半フィクションで半ノンフィクションのようなお話。
・「緑剝樹の下で」、「被災地の空へ」はファンに向けたお話。前者は一人の外科医が繋げた命。そしてその命は彼らに託された。後者は一人の医師の成長と被災地で医者が出来ることは?を描いている。
一応桜宮シリーズなので、時系列的には『極北ラプソディ』を読んだ後ぐらいに読むと楽しめる。読んで良かった一冊。
Posted by ブクログ
最初の国家プロジェクトが面白かった。
ガンコロリンはなるほどーという結末。
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とんでもない医療格差が出現した近未来の日本。売れない作家の終田千粒(ついたせんりゅう)は「ランクC病院」で銀行のATMに似たロボットの診察しか受けられない。そんな彼に「ランクA病院」潜入取材の注文が舞い込む表題作。”日本一の健康優良児”を目指す国家プロジェクトに選ばれた男の悲喜劇「健康増進モデル事業」など、奇抜な着想で医療の未来を映し出す傑作短篇集。『ガンコロリン』改題。
Posted by ブクログ
5本の短編集
健康増進モデル事業
健康とは何か。
根本から覆される考え方。見方。
日本国内から3人のうちの一人に選ばれた木佐誠一。
いろんな意味で考えさせられれます。
緑剥樹の下で
ノルガ王国にて一人の日本人医師トカイ。
王国の皇子が拡張型心筋症と診断。
医師は国境まで皇子を連れて行き、再度戻っていく。
ガンコロリン
ガンの特効薬で予防薬。
この薬があっという間に承認され、世に広まる。
外科医が絶滅危惧種となる。
時を経て20年後。
新たなガンが見つかる。
勿論、ガンコロリンが効くわけもなく…。
被災地の空へ
東北の地で地震。
極北救命救急センターの速水達の奮戦記。
ただ、死体検案書を書くだけの被災地での作業。
救いたいが救えなかった命の書類。
ドクターヘリ、ジェット、空飛ぶICU。
速水の考え方がちょいと変わります。
チラチラ見える、以前の作品の登場人物にニヤリ。
ランクA病院の愉悦
TPPにより医療が自由化。
医療格差が出てきて、A、B、Cとランク分けされる。
その実、AとCの実情は大差がない。
『人的』か『機械的』かの差だったりする。
今まで発表した短編。
相変わらずの海堂節にニヤリとしたり、焦ったり。
巻末に新たなるお知らせあり。