あらすじ
〈五十歳になっても、人生はいちいち驚くことばっかり〉
息子は巣立ち、夫と二人暮らし。会計事務所でパート勤務の宇藤聖子が、
ふとしたことで読み始めたのは、六十年前にベストセラーとなった「女性論」。
一見古めかしい昭和の文士の随筆と、
聖子の日々の出来事は不思議なほど響き合って……。
どうしたって違う、これまでとこれから。
人生の新たな段階を迎える世代ならではの感慨と、思いがけない新たな出会い。
セクハラ、LGBT、貧困――身近な社会問題を織り込みながら、
くすりと笑える読み心地のよさ。
ミドルエイジを元気にする上質の長編小説
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
50歳を迎える主婦宇垣聖子の日常を、1950年代に大流行した伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」を照らして描く日常小説。
夫婦のなんということもない雑談が知的でいい。大滝迎える主婦宇垣聖子の日常を、1950年代に大流行した伊藤整のエッセイ「女性に関する十二章」を照らして描く日常小説。
夫婦のなんということもない雑談が知的でいい。何気ない会話に出てくる比喩や発展する話が、大瀧詠一だったり明治文学だったり詩集だったりシュトーレンだったり…。やっぱり教養は日常を刺激的に色をつけてくれるんだなぁと思う。
主婦の目を通してみる世の中が面白く描けていて、これって俺みたいな読者よりそれなりの年齢を経た女性読者の方が絶対楽しめるんだろうな。
中原中也の「思えば遠くきたもんだ」が引用される部分が秀逸!『それは海援隊よ、「へ」がつくだけでダサく台無しなのよ。女に振られてしのうと思ったとか、うっとうしい歌詞にしちゃって…』に大爆笑!ほんま、それな!