【感想・ネタバレ】バラカ 下のレビュー

あらすじ

東日本大震災によって、福島原発4基すべてが爆発し、日本は混沌としていた。たった一人で放射能被害の警戒区域で発見された少女バラカは、豊田老人に保護された。幼くして被曝した彼女は、反原発・推進両派の異常な熱を帯びた争いに巻き込まれ―。全ての災厄を招くような川島に追われながらも、震災後の日本を生き抜いてゆく。狂気が狂気を呼ぶ究極のディストピア小説、ついに文庫化!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

バラカへの、これでもかという不運な境遇。人の裏切り、今度こそ信じてもいいのか、と疑心暗鬼になる気持ち。
自分の義父に震災の広告塔とされてしまったり、反対に崇め祭られる対象にされたり。
本当に信じられるのは、一番最初に見つけてくれた決死隊のおじいちゃん。
おじいちゃん、死んでなくてよかった。
『わたしを離さないで』が遺品って、カズオ・イシグロのだと思うけど内容が合いすぎてる。
毒をもられ話せなくなってしまったけど、バラカと心が通じるから話したいことがわかる、そんな心温まるシーンも少しだけあって。
そして健太、康太。
40歳超えて定住するバラカの様子、そして幸せでよかった。
いつ日本がこの様になってもおかしくない。
震災が描かれているので、読むのが辛い人もいるかと思う。読めそうなら、おすすめです。

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2023年07月03日

Posted by ブクログ

ネタバレ

うーん読むのがつらい話だった。上巻はバラカがちっちゃいのに境遇が大変で辛かったけど、下巻は成長してて自分の立場が分かってる上で巻き込まれてるからこれも辛かった。
エピローグは、こーやって大人になったんやなあと救いがあるラストだからこっちは安心するけど、読んでしまえば、なくてもよかったかもしれんと思ってしまった。何も見えない先に向かって歩みだそうとするバラカ、みたいなラストなら不安なまま終わってそれはそれでよかったかも、と思ったけど辛いもんなー。
震災後のディストピアものはボラード病を読んでるけど、表現している世界観は同じ感じだと思う。

面白かったからこの人の他の作品も読みたいわい。

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2019年08月02日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻が終わって、止まらず下巻に行ったのに、
急に時間軸が変わってて、ちょっと拍子抜けした。

でも、バラカの不幸はどこまでも続く。
読んでるうちに、
あー!そいつも悪いヤツか…となっていくので
誰が出てきても、
そいつもダメなんじゃないの!!
イヤイヤ、ソイツ信じちゃダメだろ!と、
そういう意味でハラハラしてた。

でも、最後イマイチ、伏線回収については消化不良感あり。
あんなに丁寧に描いてきたのに、結局父娘は再会しなかったかんかーい!と思った。

まぁ。
最後は、やっと穏やかな日常を取り戻せたようで良かった。
でも、戸籍とかないのにどーしたんだろうねー。

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2020年07月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ


面白かったのは間違いない。読み始めたら止まらなくなり、「バラカ」という1人の少女の数奇な人生を、並走するように猛スピードで読みきった。

だが。ちょっと風呂敷広げ過ぎと言うか情報量多過ぎと言うか……。

上巻では、キャリアと財力を手にした四十路過ぎの独身キャリアウーマン2人が、それに飽き足らずドバイの人身売買組織から幼女を購入。その前に現れた元カレの悪魔のような策略により二人の運命が狂いだす。こういう女のルサンチマンを書かせるとホント筆者は上手くて、こっちはその醜悪さに閉口しつつも目が離せなくなる。

並行して綴られるのは出稼ぎで来日した日系ブラジル人の一家の日常だ。やがて失踪した妻と子を探して彷徨する夫。妻が傾倒していた怪しげな宗教団体は敵か味方か。

この失踪した妻に連れられた子供が主人公「バラカ」で、その後キャリアウーマンの養子となり、二つの物語は複雑に絡み合うのだが、下巻に入ると一転して東北で起こった大地震の「その後」の話となる。原発廃炉派がバラカをシンボルとして祭り上げ、敵対する推進派とバラカを巡って綱引き状態となる。

筆者が意図したかどうかはわからないが、この下巻には筆者の政治的スタンスが垣間見えたように感じ、(その是非はさておき)上巻とのカラーの違いに面食らった。

人の業が色濃く描かれていた上巻のほうが面白かったなあ。小説3本分くらいのプロットを一気に詰め込んだような満腹感がありつつも、結末は慌てて風呂敷を畳んだようにあっさりしていて、やや物足りなく感じた。

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2020年07月12日

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