あらすじ
アインシュタイン、モーツァルト、ヴィトゲンシュタイン、南方熊楠、芥川龍之介……「異脳の人」を殺さないための処方箋を明かす!
本書は、「創造」「才能」がいったいどのようにして生まれてくるのかを、誰もが知る天才たちを具体的に挙げながら、精神医学的見地から解き明かす作品である。
歴史上の天才たちには、精神疾患の傾向がみられることが多い。これは数々の医学的データから明らかになっている。たとえば音楽の天才モーツァルトは、明らかに発達障害の特徴があった。落ち着きない動作、「空気」を読まない所作などで周囲から嫌がられた。一方、創作に入ると「過剰な集中力」を示し、素晴らしい作品を瞬く間に書き上げた。
物理学の歴史を変えたアインシュタインは、ASD(自閉症スペクトラム)の症状を示していた。他者とのコミュニケーションに障害を抱え、言葉の発達も遅れていた。しかし、飛び抜けた数理的洞察力によって、古典的物理学の常識を覆す理論を打ち立てた。
著者は、発達障害には「マインド・ワンダリング」(いわゆる「心ここにあらず」の状態)、そして「過剰な集中」という2つの特性があることを指摘。そして、相反するこの2つの特性が、天才の特異な能力と密接に結びついているという仮説を提示する。
そして、「才能をもつ子供や若者をいかに殺さずに育てるか?」というテーマについて、日本社会が取り組むべき解決策を提案する。発達障害に悩む親や本人にとっても福音となる作品だ。
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Posted by ブクログ
■感想:
この本の内容のほとんど(6章中5章分)が過去の偉人や天才と呼ばれる人物を挙げて「天才は、何らかの発達障害や精神疾患と結びついていることが多い」ということをつらつら書かれている。
Ex)野口英世やモーツァルトは浪費癖があった。これはADHDの特性の一つ(衝動性の症状)。
んー新しい発見はないかな?と思っていたら最終章にて、天才を殺す社会について述べられいた。イスラエルやアメリカでは国をあげて「才能の育成」(天才の保護育成)に力を入れているらしい。
一方、日本の教育システムや日本社会は平均を重んじる傾向にある。今後、国民の平均点の向上に重きを置いた教育システムの抜本的な変革、様々な子どもに対応できる個別指導態勢の確率が求められる。
最近色んな本を読むと日本の教育システムが問題、時代遅れなのは自明と結論付けられているのに、何故変わらないのだろう?というか誰が変えるの?という疑問が浮かぶ。
■メモ:
・真の天才とは優等生ではなく、不穏分子である。
→一般社会からは扱いにくい異物として目を背けられやすく、社会から意識的に排除されやすい。
・知能と創造性は別モノ。
・創造に必要な条件:
①独創性
-未知の関係性の解明、物事に対する新しい視点など
②有用性/汎用性
-社会に恩恵をもたらす