【感想・ネタバレ】桜風堂ものがたり(上)(PHP文芸文庫)のレビュー

あらすじ

書店に勤める青年、月原一整は、人づきあいは苦手だが、埋もれていた名作を見つけ出して光を当てることが多く、店長から「宝探しの月原」と呼ばれ、信頼されていた。しかしある日、店内で万引きをした少年を一整が追いかけたことが、思わぬ不幸な事態を招いてしまう。そのことで傷心を抱えて旅に出た一整は、ネットで親しくしていた、桜風堂という書店を営む老人を訪ねるため、桜野町を訪ねるのだが……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

月原一整は星野百貨店の中にある銀河堂書店の文庫担当の書店員。
同僚の卯佐美苑絵は夢見る女の子で、一整のことを王子様だと密かに想っています。
カリスマ書店員の三神渚砂は苑絵とは幼なじみです。一整をやはり想っていますが、友情を大切にしています。

中学生の男の子が苑絵の前で万引きをして、逃げようとするのを一整は追いかけますが、中学生は道路にとびだし、車に跳ねられ入院してしまい、SNSが炎上します。

一整は考えた末、店を辞職して、桜野町の、ネットで知り合った友人の営む、桜風堂書店を訪ねて行きますが…。


なんて優しい物語だろうと思いました。
優しすぎる物語です。
出てくるのは皆、いい人ばかりです。
そしておそらく下巻では、桜風堂書店を手伝うことになる一整。
どうしても売りたい本『四月の魚』を売ることはできるのか…。
苑絵や渚砂とはこの先再会することはあるのか…。
猫のアリスとオウムの船長は…。

一整が亡くなった父親の年齢を超えてしまうと考えるところでは、私もあと数年なので、亡き父を思いだし、涙がでました。
インターネットだけの繋がりで、初対面で店を任されるというのは、時代だなあと思いました。
(下巻に続く)。

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2022年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

月原一整
心優しい、銀河堂書店文庫担当。他者と関わることを避ける傾向にあるが隠れた名作を見出す才能がある。

卯佐美苑絵
銀河堂書店児童書担当。内気で夢見がちな美しい娘。絵を描くのが得意。画像に対して天才的な記憶力を持つ。

三神渚砂
銀河堂書店文芸担当。若きカリスマ書店員。人脈づくりがうまく、勝ち気で元気。いろんな意味で強靭な娘。苑絵とは幼馴染。

柳田六朗田
銀河堂書店店長。業界の風雲児と呼ばれた男。趣味の料理と酒関係の本の棚作り、壮大なディスプレイ作成に定評がある。人望がある良き店長だか、駄洒落と悪乗りが好き。

塚本保
銀河堂書店副店長。外国文学担当。知的な紳士。何かとクールでスタイリッシュな性格。店長とは学生時代からの長いつきあい。

桜風堂店主
明治時代から続く桜野町の書店「桜風堂」の今の代の店主。ネット関連の知識にも長け、「桜風堂ブログ」も人気。


桜風堂店主の孫。利発で優しい少年。本とおじいちゃんが大好き。料理と動物も好き。

蓬野純也
若手のベストセラー作家。テレビや雑誌にもよく登場する。柔和で人好きのする性格。かなりの美男子でお茶の間の人気者。

団重彦
テレビドラマの世界で、かつて活躍した著名な脚本家。数々のヒット作を持つが、いまは病気で一線を退いている。一整が見出した新刊、『四月の魚』の著者。

柏葉鳴海
本好きで知られる女優。十代の頃、歌手としてデビューして以来、スーパーアイドルとしてお茶の間の人気者に。通称「なるる」。苑絵の母とは昔からの友人。

大野悟
福和出版社営業担当。明るく素直でそつがない性格。空気とタイミングを読むのがうまい。さりげなく商売もうまいようだ。

福本薫
桜野町町長。若い日は出版業界の第一線で働いていたらしい。白髪の美女。

アリス
愛らしい賢い三毛の子猫。

船長
オウム。年齢不詳のキバタン。態度と声が大きい。

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2023年10月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

人との踏み込んだ交流を避けていた主人公が少しずつ変わっていく姿を見て、私自身も見習いたいと思いました。

そして主人公がある事件によって世間から冷たい目でみられるシーンは色々考えさせられました。ニュースで報道されている事件は、事件一部分しか伝えられてないことがあり、またニュースの聞き手が反応するような過激な表現が使われ、歪んで伝わったりしてしまうことがあると改めて思う小説でした。

基本的には、心が温かくなる明るい小説で好きですが、泣き虫な登場人物が多く感動の押し売りを少し感じたので星を一つ減らしました。

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2021年03月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『魔女たちは眠りを守る』が初読みであった村山早紀さんの作品である本作上巻は、とても辛い現実に遭遇した主人公が暗闇から光へ導かれる所までが綴られている。

銀河堂書店という百貨店の六階にある書店で働く(自覚していない)カリスマ書店員の青年が、ある万引き事件によって世間から冷たい視線を浴びせられることになる。守りたかった自分の担当コーナー、多くの人に読んでもらいたかった本、ずっと一緒に働きたかった書店員の同僚と悲しくも別れる決断をし、ある書店を目指して旅をする。それが『桜風堂書店』

村山早紀さんらしさなのか、人の悲しみも温かみも優しい言葉で綴られていて、また本屋さんの辛い実情にも触れていて、なんとも切ない気持ちになる上巻でしたが、最後の桜風堂書店の店主との出逢いから下巻はきっと明るい未来になるんだろうなと、淡い期待を胸に頑張って読みます!!

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2023年02月12日

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