あらすじ
21年前の少女誘拐殺人事件の冤罪再審裁判に抜擢された期待の女性弁護士・松岡千紗。しかし、千紗はその事件で監禁された少女の一人だった。間一髪で自分を殺めたかも知れない容疑者に千紗は敢然と対峙する。罪を作り出す罪「冤罪」法廷が迎える衝撃の結末。大ベストセラー『雪冤』を超える慟哭の「冤罪」ミステリー。(文庫書下ろし)
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Posted by ブクログ
2024.07.10
「完全無罪」、このタイトルが読み進めていくうちに色んな角度から考えさせられることになる小説だった。
読み進めていくうちにミスリードのような文がところどころあり、「もしかしてほんとは殺してる?」「いややっぱり無罪?」と自分でも疑心暗鬼になりながら推理していく過程も面白く読めた。
最後に老人(おそらく有森)が大きな木を見つめていて、そこから見知らぬ鳥が羽ばたいていく様を見つめて微笑む千紗の描写は、
◎真犯人がわかり、怪物の悪夢を見なくなり、重たい荷物から解放されつつもまだ世の中にはたくさんの怪物がいる、でも1人じゃない、と奮い立ち自由な未来へと羽ばたく千紗と、
◎21年間自分が正義だと思っていたものは思い込みで、被害者遺族のためだと言い聞かせて罪滅ぼしのように被害者遺族へのボランティアをし続けたものの、結局巡り巡って自分の罪を突きつけられ、平山に対して懺悔の気持ち、これから彼の行末がどうかこの鳥たちのように自由へと向かっていますようにと祈る有森
この2人の対比が感じられ物語の集大成という感じがしてとても良かった。
このシーンはぜひ映像で見てみたいと思った。
Posted by ブクログ
最後まで誰が真犯人かわからない、ドキドキの展開。
千紗が平山を尾行して廃屋に行くシーンは、本当に痺れた。。
最後は熊弁護士までも疑ったり、全ての背景にはフェアトン事務所の政治が絡んでいたり、、、ストーリー展開も流石でした。。
Posted by ブクログ
面白かった
ハラハラできて中盤からは一気読み
犯人は登場してすぐにわかっちゃうけど
そんなことよりハラハラが楽しめたー
久々に先の展開が気になった!
けど、すぐ内容忘れそうw
Posted by ブクログ
正義って何なんですかね。
千紗が無罪にした男が実は連れ子を殺していた。
「こいつが絶対犯人だ‼︎」そう思い証拠を捏造した警察官。
暴露本を出して金儲け出来ると知恵を貸した千紗の上司。
どこに正義があるんですかね。
正義と悪は表裏一体なんですかね。
無実の罪で21年間刑務所に居た男。
罪を擦りつけて寿命を全うした男。
正義なんてあったもんじゃないですね。
【無罪であって無実ではない】
Posted by ブクログ
弁護士であり、子供の頃誘拐事件に巻き込まれたことのある松岡さんが、自分のトラウマである誘拐事件の容疑者と向き合い、21年前の真相に迫るお話。
事件を起こしたであろう一人を野放しにして、これから起こり得るかもしれない重大事件を考慮しないのもどうかと思うが、過剰にそれを信じ込むと冤罪(罪なき人を傷つける)可能性があることを知り、刑事の被疑者に対する向き合い方の難しさを感じた。
冤罪であった人が無罪と分かるが、大事な家族を殺されたことを根に持ち、復讐を実行する気持ちはとても理解できるが、その人に救いがあまりないのが悲しく感じた。また、犯人が意外な人で、内心……
とても作り込まれた素晴らしい作品ではあるが、個人的な好みから☆3にしました。