あらすじ
看護学科に通う高校3年生のアオイは、夏休みに産婦人科医院で看護助手のアルバイトを始めた。中絶の現場やその後処置を目の当たりにし、初めは戸惑いながらも、出産に立ち合い、次第に命の重みや輝きを感じ始める。
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Posted by ブクログ
ドラマを原案として、書き下ろされた小説。
主人公アオイの成長も見られ、(上)同様読みやすい。
生まれる前から重度の心臓病を患っている赤ちゃんの話は印象的だった。もし私ならどんな選択をしただろう。
だけど、実際そうなったわけではないから答えなんて見つからない。
実際に選択しなければならない状況になった人の答えにも正解はない。考えて考えて、考えつくして親として選択した答えは尊重されるべき。
とても深い内容でした。
Posted by ブクログ
私は手帳(母子手帳)を抱きしめる。私は愛されていた。たとえほんの一瞬でも、ちゃんとお母さんに、世界の誰より愛されていたんだ。その証があれば生きていける、と思った。どんなに辛いことがあっても、未来へ進める。そしていつか、誰かを愛することも。
あの小さな手帳には、大きくて深い愛が溢れていた。だけどその純粋な愛は、ずっと続くとは限らない。
妊娠したら、毎日幸せいっぱいなんだろうって思ってたんです。
不安を抱えるのが妊娠するということ。
「 病気も怪我もするけど、手当てしながらニコニコ暮らしていく。健康ってそういうことなんじゃないかな。困ったときはお医者さんに頼ればいいの。そのために病院があるんだから」
「 病気って、悪いことばっかりじゃないと思うんです。病気だけど、じゃあどうしようって考えられる人は、意外と前向きなんじゃないのかな」
「大好きなの。お母さんは、あなたのことが」
決断に正誤はないと、由比は思う。大事なのは決める本人が納得することだ。由比はいつも、迷う。迷い続けている。
「頼もしいでしょ?」
先生(由比)は心を動かされたようにうなずく。誰一人迷う様子のないその姿に、私も胸がつまる。なんてすごい人たちなのだろう。私は何てすごい職場で働いているのだろう。