あらすじ
松下村塾に入り吉田松陰の元で学び、久坂玄瑞や高杉晋作と出会った風倉平九郎。松陰が処刑され、師の教えを受け継いだ玄瑞らと共に、幕末の動乱に巻きこまれていく。尊皇攘夷思想に傾いた玄瑞は、イギリス公使館の焼き討ちや下関外国船砲撃を敢行する。しかし、急進的な尊王攘夷行動は思いも寄らない時代の流れに阻まれることに。日本の新しい未来を創るため幕末を駆け抜けた青春群像第2弾。
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Posted by ブクログ
おぉ!久坂玄瑞が主人公の時代小説かな??!と、ワクワクして買ったけど違ったw
松陰門下生で久坂と同窓の、風倉平九郎という青年の視点で描かれた、久坂玄瑞の生涯。平たく言えばそんな感じだったと思う。
あくまで平九郎視点のため久坂と常に行動を共にする訳ではないので、久坂が沢山出てくる(はーと)と思って読んだら少し肩透かしを喰らう(私比)ので、久坂ファンはそのへん覚悟されたし。
とはいえ幕末大活躍し数々の志士達から羨望の眼差しで見られていた割に現代人からの人気がやや薄い久坂玄瑞という男を、クローズアップしてくれた作者冨樫倫太郎先生には、厚く感謝したい。
作中の久坂は、凛々しく勇敢で頭が良く、家族や中間を大切にし、ときに感傷に過ぎる程優しく、其の優しさゆえに身を滅ぼすという、まさに普段の私のイメージ通りカッコ良い久坂であった。物語ラスト蛤御門の変で、進発は自重すべきとの立場だった久坂が、木嶋その他大多数の意見に流されてやむを得ず出陣するシーン。毎度のことながら胸が痛む。そして、鷹司関白への嘆願は叶わず、寺島忠三郎とともに自刃するシーン。彼の人生に相応しい、美しく潔い最期だった。その描写も耽美で、ほんのりBL笑っぽいというか、あぁ私やっぱり久坂玄瑞好き、、!と久坂好きを再認識させてくれる良い作品でした。