あらすじ
物語を現実世界で体験できる新しいエンターテインメント「メタブック」を提供する会社――ディリュージョン社で働く新人エディターの森永美月(もりながみつき)と、天才作家と名高い手塚和志(てづかかずし)。突如舞い込んだ「不可能犯罪小説を体験したい」という厄介な依頼に、完璧な台本と舞台を用意する二人。しかし怪しい手紙や殺意ある事件、と不測の事態が続き……。リアル殺人鬼が登場人物の中にいる!?
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
小学生の頃「夢水清志郎」シリーズが大好きだった私にとっては久しぶりのはやみね氏作品。
大人向けに書かれた本作、メタブックという中々入り組んだ設定ですが読みやすさは健在。
懐かしい感慨に浸りつつ、楽しく読めました。
読後感の良さが魅力ですね
Posted by ブクログ
ディスられても苦笑して逆にちょっと嬉しくなってしまうミステリマニアのさがってば。まあ、変態ですね(褒め言葉)。二重構造はきれいに決まると気持ちがいい。次巻も読んでみたい。
Posted by ブクログ
タイトルやあらすじでは正直どんな話かは分かっていなかった←
お客様に物語を味わってもらうために、舞台とか、役者とか、もろもろそろえて劇をする、みたいなエンタメを提供している会社で、新人の女の子が初めての本格ミステリー作品で右往左往する話、かな。
とにかくこの新人の女の子が凄かった!犯人とかは、まあそうかなーってうすうす感ずいてはいたけど、とにかくそこに行くまでの女の子の言動!なんとポジティブなことか!
表紙みた時には、小説書く方が変人で、女の子の方が常識人なのかと思ってたら全くの逆やった!一緒になって疾走させてもらいましたฅ(*´꒳`*ฅ)ꪆ
Posted by ブクログ
物語を現実世界で体験できるメタブックを提供するディリュージョン社の新人エディター森永美月は、不可能犯罪を体験したいという上得意客の依頼を受け、天才作家の手塚和志と取り組むことになる。しかしメタブック開始早々予定外の出来事が起こり、現実の事件へと発展するのだった。
メタブックという物語の現実化の仕組みと、ミステリに全く触れたことのない新人を語り手にすることにより、二重三重にメタ要素を含んだミステリとなっています。
所謂本格ミステリの「お約束」もミステリ音痴ゆえに通じず、通じないから現実と虚構のない交ぜになった世界からひとり離れた目を持つ。なるほどこれが「探偵の目」なのかもしれないと思わせる構造に、ミステリ好きとして膝を打ちました。
真犯人はこの人以外にはいないだろうなとあたりはつくのですが、動機までには考えが及ばず。明かされた動機に、そういうことがあるかと驚く。これまたミステリの醍醐味ですね。いやあ、楽しい。
しかしミステリの世界を体験するとなると、やはり探偵役をやりたいものでしょうかね。犯人役も楽しそうですけどねえ。
Posted by ブクログ
「謎の館へようこそ(黒)」でディリュージョン社の短編があったので、本編というか元の話を読みたくて読んでみました。
物語を現実にするメタブックの世界を再度物語に戻すとこんな感じになるのかな。
主人公の森永美月がいいキャラを演じています。もう少し続きが読みたいなという微妙な距離感で物語はパタパタ進んでいきます。
やはりミステリらしく不可能犯罪を探偵ではなく、全くの素人の主人公が馘をかけて謎解きに挑戦する。そんなライトなミステリで気楽に読めます。
Posted by ブクログ
森永美月は、物語の世界を現実世界に出現させる、ディリュージョン社で働き始めます。顧客(リーダー)佐々木からの“不可能犯罪に挑戦してほしい(p52)”という依頼を受け、ライター手塚とともに、具現化した物語世界である“メタブック”を作ります。
森永と手塚は、佐々木やアクターとともにメタブックを進行していくのですが、予想外の事件が起きてしまいます。メタブック内の犯人を推理するはずだったのですが、現実世界の真犯人を推理しなければいけなくなります。
真犯人が誰だか全くわからず、読みながら早とちりばかりしてしまいました。冷静な手塚が探偵なのかと思っていたら、森永が意外な才能を発揮したので、びっくりしました。本を読まない、ミステリーに毒されていない美月と、ヒライサウザンド(平井課長が選んだ、本格ミステリー作品、千冊(p49))を読んでミステリーの世界に踏み込みすぎている手塚のコンビを、好きになりました。
Posted by ブクログ
物語を現実世界で体験できる新しいエンターテインメント「メタブック」を提供するディリュージョン社。
そこで働く事となった新人エディターの森永は、天才ライターの手塚と共に「不可能犯罪を体験したい」という依頼人のため完璧な舞台と台本を用意する。
しかし、怪しい手紙や殺意を感じる事件など、不測の事態が続き……。
現実世界に舞台を作り、物語を実際に体験させてくれる会社・ディリュージョン社を舞台にした小説です。
『謎の館へようこそ 黒 新本格30周年記念アンソロジー』に、こちらの短編が載っていて、本編をやっと読めました。
ワクワクする物語を現実で、しかも自分の希望するポジションで(安全に)楽しみたい。まさに夢のような体験。憧れる読書家さんも多いんじゃないでしょうか。私も出来る事なら体験してみたい。探偵役はさすがに荷が重すぎるけど……! それこそ助手とかトリックスター的なポジションとかやってみたい。子供の頃ごっこ遊びばかりしていた個人的にはめちゃくちゃ心惹かれます。
主人公が、こういった会社に勤めている割に全く本を読んだりしない女性なので、それゆえに小説・ミステリならではの「お約束」に捕らわれない存在なのは分かるのですが、でも、そうだとしても、そして書いてるのが小説家さんだとしても、自分の好きな物(=読書)を軽く扱われるのってあまり面白いものじゃないなと感じてしまいました(笑)
今は、今年(2024年)できたばかりのイマーシブ・フォート東京などで、物語への没入体験ができるとか。現実世界とフィクション境界もだんだんと近づいていっている気がします。
Posted by ブクログ
小学生の時に好きだったはやみねかおるを久しぶりに。大人向けとはいいつつ文体は児童書と変わらないため、懐かしい気持ちになりつつサクサク読めた。リーディングが始まってから話が大きく動き出し、後半は一気に読めた。
Posted by ブクログ
はやみね先生の書く女の子の典型で、良かったです。というか、森永美月の名前、どこかで読んだような……?
現実とフィクションを混同してしまうようなメタブック、作中では全容が明かされませんでしたが、ぜひリーディングしてみたいですね。
Posted by ブクログ
物語を実際の世界で体験させるディリュージョン社に就職したのは良かったが、小説を全く読まないため、エディタになったは良いものの、なかなか仕事が上手くいかない。
そんな時、ある顧客の要望を叶えることになったわけだか、現実とメタブックが交錯して大変なことに。
Posted by ブクログ
幼い頃に青い鳥文庫のはやみねかおるで育った大人のための、ライトなミステリ。
まさにあの頃楽しんだテンポに懐かしくなるうえ、読書と無縁で生きてきた主人公からたびたびツッコまれる「ミステリあるある」にはついニヤッとしてしまう。
主人公のサバイバル能力が高く、トム&ソーヤも想起させられる。
劇中劇、更にそれに絡んでゆく現実世界の構造がおもしろかった。
規模の大きな舞台のように、物語を現実世界に具現化して顧客に体感させてくれる「ディリュージョン社」(現代で言うリアル脱出が一番近い感じ)――実際にあったら私も体験してみたい!
一方で、あまりに物事がパタパタと進んでいってしまうので、大人が本で読むにはちょっと寂しい気もする。
ノリとしては、三谷幸喜のドタバタコメディ映画のようなテンポ。
主人公の過去には何かありそうで、そのあたりが少し気になる。
本書で初登場ではないらしいが、初出は私が読んだことのある作品に入っているのだろうか……。
Posted by ブクログ
現実世界での物語の体験を提供する会社の面接で本は読まないと言明し不合格を確信するも何故か採用された美月と、不可能犯罪小説の体験依頼。役者として加わる中用意した台本から逸れて起こる殺人未遂達。飄々としてとぼけた美月が明るくて楽しい。本書が初登場ではないらしい、秘密の過去を思わせる有能さにわくわくした。
Posted by ブクログ
物語を現実化して顧客に体験させるディリュージョン社。VRじゃなく実際に行うから手動で小道具や音効を社員が仕掛けてる。小説に興味がなく社員としては使えないのに非常時の能力(応急手当とか)が抜群の不思議な主人公が活躍。本格ミステリ体験中に起きる殺人未遂事件がメインだけど、この会社の設定の方が気になる。
Posted by ブクログ
冒頭のふわふわした感じというか、語り手のとぼけた感じが行き過ぎていて、読み進めるのがきつかったんだけど、最後まで読んでよかった。メタブックが実際に始まってからは、しっかりとミステリになっていて、意外な結末もしっかりと決まっていて、満足な読後感。
メタブックの説明がたどたどしいのは、こういった作品に作者が慣れていないからだろうなと思う。例えば同じような変な設定を得意としている西澤保彦とかだと、導入からしっかりと設定を読者に納得させつつ、物語を進行していくんだけど。