【感想・ネタバレ】興亡の世界史 スキタイと匈奴 遊牧の文明のレビュー

あらすじ

定住農耕社会にとって、隣接する遊牧国家は常に脅威だった。ペルシア帝国をもってしても征服できなかった部族集団スキタイ。漢帝国と対等に闘った匈奴。こうした騎馬遊牧民はいつ頃誕生し、強大な力を握ったのか。「都市」のない遊牧社会を「野蛮」とみなすのは、定住農耕社会からの決めつけにすぎない。ソ連崩壊後のユーラシア草原地帯の発掘調査で次々と発見されている考古学資料を活かし、「もうひとつの文明」の実像に迫る。

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Posted by ブクログ

ユーラシアの遊牧民であるスキタイと匈奴を中心に据えた内容。時代としては紀元前9世紀頃から紀元後5世紀頃のフン族まで。

コロナ禍で都市に定住する生活が見直される中、遊牧民について知るのは面白かった。彼らは基本的に定住せず、家畜がある一帯の草を食べ終わると次の場所へと移動する。支配地域に集落が出来ることもあったが、そこに住むのはさらってきた農耕定住民や交易のための商人。いま話題?のノマドも遊牧民を意味する。

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2022年02月22日

購入済み

自らは歴史を残さなかった人々

文字を持たなかったため自分たち自身では歴史を残さなかった人々の話。
古代ギリシアや古代中国の多分に偏見の入った文献と出土品からしか類推できないスキタイと匈奴ではあるが相当な勢力を持っていたと思われる。そのあたりの話をかなり詳しく 実例をもって記述してある。

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2022年11月08日

Posted by ブクログ

騎馬遊牧民・スキタイと匈奴の歴史を、主として、遺跡資料の考古学的分析、あるいはヘロドトスの『歴史』や司馬遷の『史記』といった文献資料の読み解きから明らかにしようとするもの。


スキタイ文明部分の大半は、考古学的分析に費やされているところ、資料の乏しさもあって必ずしもその全体像がはっきりしないが、遊牧民の移動・文化的交流・勢力争いといったものが見えてきて面白い。

匈奴については、中国側の資料が豊富であり全体像はつかみやすいが、その政治や文明にはまだまだ謎が多い。

全体を通して、地図・写真が豊富であり、理解を助けてくれる(個人的には、ユーラシア大陸の地理をかなり学び直すことができた)。

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2018年08月01日

Posted by ブクログ

2018/4/3
ユーラシアの広範囲を支配した騎馬民族は文字を持たなかった。頼る資料はギリシャと中国の資料、そして古墳から発掘される考古学的資料。彼らが文字を持っていたら、もっと詳しく正確な歴史が残されていたのだろう。文字を持つ文明との接触もあったはずなのになぜ受け入れなかったのだろう。なぜそうしたのかさえ、今となっては確かめようも無い。

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2018年04月03日

Posted by ブクログ

文字をもって自らを語ることのなかった騎馬遊牧民、その原点ともいうべき「スキタイ」と「匈奴」。
彼らは何者で、どこから来たのか。

「スキタイ」に関する記述は主に古墳からの情報で、考古学に基づく解説が多い。
仕方のないことかもしれないが、「興亡」というドラマは見えづらい。
もう少しヘロドトスの書いた内容から大胆に描いてくれた方が、書物として面白かったかな。

それに比べて「匈奴」では司馬遷『史記』や班固『漢書』を用いて、情感たっぷりに描かれている。
対象が300年ほど差があることもあると思うが、作家司馬遷の凄さだと思う。

騎馬遊牧民……言葉のみで考えれば生活様式であって“民族”ということとはいえない。
でも彼らは、世界史の舞台に突然やってきて、嵐のように吹き荒れて、また、消えていく……なかなかドラマティックな存在。

「ゲルマン民族大移動」を引き起こしローマを破滅の道に誘った「フン族」、彼らは匈奴の残党だったのか……終盤で登場する話題。

世界の“西”でも“東”でも、興味深い存在だ。

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2024年05月15日

Posted by ブクログ

 興亡の世界史シリーズの1冊。本書は歴史学というよりは、考古学に近い内容であった。スキタイ、匈奴、フン族など、世界史で耳にしたことがある用語を、改めて考古学という観点から、歴史を紐解く。個人的に印象的なのが、ローマ帝国に影響を及ぼしたアッティラの情報である。アッティラの死因は、はっきりとは分からず、いくつかの憶測が飛び交うが、それが英雄叙事詩や文学に影響を与えたのだという。騎馬遊牧民なかでも、カリスマ性のある人物であったことがうかがえる。

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2023年10月27日

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