あらすじ
二重鍵状の館、「Double Torus(ダブル トーラス)」。警察庁キャリア、宮司司(ぐうじつかさ)は放浪の数学者、十和田只人(とわだただひと)に会うため、そこへ向かう。だが彼を待っていたのは二つの密室殺人と容疑者となった十和田の姿だった。建築物の謎、数学者たちの秘された物語。シリーズとして再構築された世界にミステリの面白さが溢れる。「堂」シリーズ第二弾。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
飛び飛びになってしまったが「堂」シリーズ2作目。善知鳥に代わり宮司を語り部として始まるが十和田がいきなり逮捕されるという衝撃の展開からスタートする。客観的に自分が犯人でしかありえないという理屈に基づく行為で偏屈だが、この偏屈さが十和田の魅力でもある。とはいえ、変則なあまり犯人にまんまと利用されてしまっているあたり妙な小物さをどうしても覚えてしまう。理系ミステリの代表格である犀川先生や真賀田四季と比べると人間的にも大きく劣ってしまうからだろうか?十和田只人の惜しいところは偏屈さ以外の要素で他の名探偵達に劣るところが大きいことだ。理系的な要素では犀川先生や真賀田四季に、専門的な知識を伝えるコミュニケーション能力は浜村渚や京極堂に。易々と十和田を越えてしまう天才達がいるからこそ、十和田がただの偏屈野郎に思えてしまう。少々愚痴になってしまったが、とはいえ僕がもっと理系に傾倒していればもっと十和田についてこれたのかもという歯がゆさもある。このシリーズを読むための能力が僕にはないのかもと思うときもある。
トリックの話をしよう。エレベータの描写の時点でトリックは何となく予想できた。今回は少し早足に読んでしまったがそうでなければもっと真相に近づけただろう。とは言え、ファイの読み間違えや平の体などの伏線は見事だと思う。ページが少ないからかキャラの活躍があまりないのが残念ではあった。
少しモチベーションの上がらないシリーズではあるが、それは面白くないからではなくそれに勝るシリーズが多すぎるから。絶体に全て揃えるし、最後まで十和田の偏屈ぶりを見届けたい。
Posted by ブクログ
数学の話はちんぷんかんぷんで流し読みしたが、ストーリー自体はさくさく読めた。
結末はふむふむなるほど、といった感じだが、途中いろいろと解決されていない謎が残っているのは次回作に続くのか…?それとも私の理解ができていないだけ?
藤衛はどんな罪をおかしたのか?
宮司兄妹の親を殺した?
うとうかみはラストで何故百合子に接触してきた?
みんなうとうかみの悪事を秘密にしすぎ笑
木村位も自白のとき言ってもいいのに笑
次回作も気になっちゃうのでまた読みます。
Posted by ブクログ
『堂シリーズ』第二弾。
今回はクローズド・サークルではなく、事件が起きた後の現場を捜査していくというもの。今回はなんと十和田が犯人として逮捕されてしまうという展開は驚いた。なので今回は宮司が実質的な主人公として捜査していく。館にトリックがあるのはなんとなくわかっていたが、「分かるわけないやろ!」と思いながら読んでいました。宮司がエレベーターを降りていたときに感じていた違和感は水圧変化による物なのだなという考察が出来たりと最初からヒントが隠されていてとても面白かったです。今回の結末は前回に比べたらまだ救いがあるのかなと思っていたら、やっぱりお前が関わっていたんかい!という人物が出てきて思わず笑ってしまった。これからもシリーズは続いていくので呼んでいきたいです。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
十和田只人:津田健次郎
飯手真央/善知鳥神:種田梨沙
宮司司:細谷佳正
宮司百合子:長谷川育美
降脇一郎:古川登志夫
鰐山豊:大塚明夫
鰐山明媚:早見沙織
平国彦:小松史法
鳥居美香:伊藤彩沙
立林付:梅原裕一郎
藤毅:堀内賢雄
毒島:畠中祐
船生:田中敦子
Posted by ブクログ
シリーズものとして本格的にスタートということで、新キャラが登場し、善知鳥神もラスボスめいた雰囲気でしっかり登場。
あとがきにもあるように数学の話が難しく序盤は中々読み進まない(自分の信念を曲げない面倒くさいキャラが多すぎる笑。羨ましくもある)が、後半の謎解きは面白く読むスピードは上がる。
Posted by ブクログ
十和田、こんな人だったっけ?
『眼球堂の殺人』の時はもっと人間味があった気がしたんだけど…
十和田が自首する、という出だしは、読者を引き込ませる。
でも、このシリーズは、どんなに味付けしても建物に仕掛けがある訳で、書く側にとってはなかなか難しいだろうなぁ。
もう一階層あるんだろうなぁ…ってのも何となく分かっちゃうし。
作者も自覚してるけど、数学の話題が盛り沢山で、数1で挫折した身には非常に非常に辛かった。
まぁ理解できなくても、ストーリーは理解できるんだけど、やっぱり数学分かる人は更に面白く読めると思う。機会損失、残念。
で、トリックは想定内なんだけど、それ以外の部分で驚かされた。
何といっても善知烏神が出てくるところ!
全く油断してたので、全然気づかなかった(それにしてもすぐ分かったはずの十和田が無反応だったところにはモヤった)。
あと、シリーズ化するためか、新たな登場人物、宮司司をめぐる過去について、ほのめかすだけほのめかしておいて、次シリーズに持ち越しなのも、作戦なの?
なんだかんだと次も読むと思う。