【感想・ネタバレ】ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃のレビュー

あらすじ

いま、全世界の科学者や医学者たちが、必死に研究開発に取り組んでいる超先端技術がある。「ゲノム編集」だ。この技術に注目しているのは、製薬・化学メーカーだけではない。グーグルやアマゾンまでもがそのビジネス・ポテンシャルに魅かれ、巨額の投資を始めている。この史上空前の技術、そしてそれが私たちの人生や暮らしに与えるインパクトなどをわかりやすく解説するとともに、科学者に群がる巨大企業の実態にも迫った必読書!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最近よく耳にするクリスパーCasについてよくまとまっている。

・ノーベル賞間違いなしと言われているが、この技術の特許を巡ってダウドナ、シャルパンティエというUSBの女性科学者たちとブロード研究所のフェン・チャンの間で熾烈な競争があるらしい(著者はダウドナーシャルパンティエ組の肩を持ちたいような書きぶりだが、実際の応用が早かったということや米国の先発見主義(論文発表は遅かったが実験ノートを提出して発見は早かったことを主張した)のからみもありフェン・チャンが今のところ基本的な特許を認められているらしい)

・クリスパーは回文構造になっている。すなわち、AGGに対するTCCのように、数十文字の回文がいくつかあり、その間に宿主をかつて攻撃してきたウイルスの断片が挟まっている。
クリスパーの近辺にはCsn1(後にCas9という名前に変更された)というヌクレアーゼ酵素がある。これはクリスパー構造によって認識されたDNA二本鎖を日本とも同時に切ることができる。

従来のノックアウトマウスの作成法では、DNA断片を導入するだけで100万分の1の確率であった。しかも導入は一本鎖にしか行なわれなかったため、その後、マウスを交配して相同組換えをおこして二本ともノックアウトする必要があり、うまくいっても一年がかりの作業であった。クリスパーCasであれば3週間で完了する。

・21000人の患者と38000人の健常者を対象としたGWAS研究によって統合失調症のリスクとなるSNP108個が同定されているが、全てを足し合わせても発症要因の5−7%にしかならない。25万人を対象としたGWASで身長を規定する遺伝因子も697個見つかったが、やはりこれ全てを足し合わせても身長を決める遺伝的要因の16%程度にしかならないと見積もられている。

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2016年09月24日

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