【感想・ネタバレ】調べる技術・書く技術のレビュー

あらすじ

テーマの選び方、資料収集法、取材の実際から原稿完成まで、丁寧に教える。これがプロの「知的生産術」だ! 第一線のジャーナリストは、いかに原稿を仕上げるか。テーマの選び方、資料収集法、取材のコツから推敲のポイントまで、具体的に教える。レポート執筆にも役立つヒントが満載の入門書。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

『調べる技術・書く技術』というタイトルだが、内容は、著者である野村 進さんの生き様だった。
 調べる技術・書く技術 >> ノンフィクションライターは、伝えたい、もしくは伝えられるべき事実を持つ他者と、その事実を知りたい、もしくは知るべき読者とを結びつける「仲介者」徹すべきではないか。

 人は、知らないことを知ることによって、自分自身を見つめ直し、あるべき姿を模索し始めるのではないだろうか。伝えたい、伝えられるべきことが、より正確な事実に基づいて、知りたい、知るべき読者に伝わることによって、読者はもちろん、その読者が所属する家族、コミュニティ、社会に何らかの良い変化が起こる。そこには、ノンフィクションライター自身が、その事実に立ち向かうことによって、成長し、視点が高まって行く軌跡も不可欠だ。決して楽ではないが、世界を変えて行く原動力に繋がる仕事だと思った。

 ノンフィクションライターという仕事は「読者の代わりに現場に入り、五感で感じたことをなるべくそのまま読者に差し出す。」こと。事実を可能な限り正確に記述するためには、取材される側にとって辛いことも聞かなければならない。また、事件の取材では、関係した人の動機を推察するのではなく、事実をありのままに受け止めることによって、より明瞭な真相に近づくこともあるという。雑誌に掲載された記事は、いずれも作品と言ってもよい完成度だった。

 「ノンフィクションの書く仕事にとって最大の敵は無関心である。何かに驚いたり何かをおもしろかったりする気持ちこそ、大切だ。」この言葉は、そのまま人生そのものに当てはまると思う。私たちが「生きる」ことを妨げる、最大の敵は無関心である。自分自身に対する無関心、社会に対する無関心。何かを知りたい、何かを知ることによって、自分を知り、自分の行動を変えて行ける、成長して行く、ということが生きることなのだと思うから、

 ≪人に会い、話を聞き、文章にする。たくさん読み、たくさん観(み)、たくさん聴く、こんなことを繰り返すうち、知らず知らずに自分が豊かになっている。多少なりとも、ましな人間になっている。≫ どんな仕事にも言えることだと思うが、仕事に真摯に取り組むことによって得られるものは、自分自身を豊かにする経験なのではないかと思う。

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2015年09月13日

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