あらすじ
ある夜、勤務先の会議室で目醒めた土屋徹生は、帰宅後、妻から「あなたは3年前に死んだはず」と告げられる。死因は「自殺」。家族はそのため心に深い傷を負っていた。しかし、息子が生まれ、仕事も順調だった当時、自殺する理由などない徹生は、殺されたのではと疑う。そして浮かび上がる犯人の記憶……。
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Posted by ブクログ
死んだ人が生き返る、あるはずないのにもしかしたらあるのかもしれないと思わせてくれるような作品。平野さんの分人思考がよく伝わる。何も判明しないまま下巻へ。本当に自殺?悪いのは誰?鳩を殺してたのは?奥さんが隠してることって?本当に生き返ってるの?回収楽しみ~~
Posted by ブクログ
身近な人を亡くした人なら誰でも、生き返ってくれたらどれだけよいか、また会えたら話せたらどれだけいいか、何度も空想すると思う。復生者という概念は完全なるファンタジーなのに、それを通じて、人の死の儚さにとことん現実的に向き合っている不思議さ。平野さんの哲学的でじっくりと思考している小説が本当に好きだ。
実際に復生者が現れてしまったら、大切な人を亡くしたひとはその人が帰って来る日を待ち望んでしまって、それこそ現実世界に戻れないんじゃないだろうか。
↓かなり冒頭の文章だけど、本当に死の儚さを綺麗に切り取った表現。
「生きている人間は、日々活動して新しい。変化し、豊富になる。昨日とは違うことを感じて、考え、行動する。それが今日、生きているということである。しかし、死んだ人間は、ささやかな幾つかの逸話の主人公として、何度でも同じ行為を繰り返すしかなかった。」
最初はまさかのミステリー?と思ったけれど、後半になるにつれて、分人主義を提唱する平野さんらしい展開になってきた。自分で自分がわからなくなる感覚、どこが夢でどこが現実かわからなくなる感覚。徹生の苦しさがひしひしと伝わってくる。
1日であっというまに読んでしまった。
あと、復生者の会で金縁眼鏡の男が言った
「人生には、いいですか、一つとして同じものがないでしょうが?だったらどうして、死後の世界だけ一通りしかないと思うの?」という言葉にはハッとさせられた。私も死後の世界を信じている方ではないけれど、でもその世界もその感覚も今生きている世界と同じく、十人十色だよなあと。