【感想・ネタバレ】ミシマの警告 保守を偽装するB層の害毒のレビュー

あらすじ

三島は時代のいかがわしさに吐き気を覚えていた。なぜ今の日本はおかしくなったのか? なぜ世の中バカばかりなのか? そういう疑問を持ったとき、三島が残した厖大な量の評論は非常に参考になります。だから、三島の言葉を振り返りながら、今の世の中、ひいてはわれわれの思考の土壌について考えてみようというのが本書の趣旨です。

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弁えるべきは

一部ご紹介します。
・人間の真心がそのまま相手に通じると思うべきではない。人の心は、どんなに親しい友人の間柄でも、長年の付き合いの仲でも、お互いに解らない部分を残しているものだから。言葉はそれを繋ぐ橋。橋を使えるようにする設備が作法。躾とは、身を美しくするものなのだ。
・青年は、人間性の恐ろしさを知らない。市民の自覚とは、人間性への恐怖から始まる。互いに互いの人間性の怖さを悟り、煩雑な手続きで互いの手を縛り合う。
・革命とは、現在より未来を優先させる考え方。未来社会の無謬性を信じれば、行き着く先は「欲しがりません勝つまでは」だ。
・どんな自由な世界が来ても、たちまち人はそれに飽きて、階段をこしらえ、自分が先に登り、人を後から登らせ、自分の目に映る景色が下から登ってくる人の見る景色よりも幾らかでも広いことを証明したくなるに違いない。われわれは、その階段をいかに広くしても階段を欲しいという人の欲求を無くすまでには至らないだろう。
・伝統や慣習、過去の事例を重視するのは、理性の暴走を防ぐため。そして未来へ繋ぐため。
だからこそ接点である現実を重視する。
・家族を始めとする中間組織を重視するのは、理性の暴走を抑えるための緩衝材を必要とするからだ。
・現実には、漸進主義の採用が望ましい。慎重な改善を求め、実行することだ。
・動物の行動は合理的だが、人間の行動は合理的ではない。人間の行動には、情念や慣習が大きく関与しているからだ。
・正常な思考を維持すれば、狂った社会では狂人扱いされる。だからこそ、「理性」「抽象的概念」「イデオロギー」を疑う必要があるのだ。

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2022年09月30日

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