あらすじ
近所の小母さんが遺した、謎めいた「暗号」。隣家に住む姉妹とともに解読をこころみる佐保(さほ)は、土地に根づく習俗がからみあう、不思議な世界に迷いこむ。幾重にも交わる家や人の縁、わけしり顔の兄、そして庭から見つかった蛇の石の意味とは? 懐かしくも妖しい世界を描き出し、著者の新境地を拓く長編小説。(講談社文庫)
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Posted by ブクログ
日常の中の不思議も、意味を知ってしまえば不思議でなくなることがある。
でも、それは時に本当の異界に繋がっているかもしれない。
立彦と熊谷さんは、似たような存在なのだろうか。
子供の頃の立彦は神経質だったのではなく、何かを感じ取っていたのだろう。
初島さんと熊谷さんと立彦、そして逸子も、あちら側に繋がりを持っていて、佐保や佐保の母は鈍感に日常を生きている。その対比が奥行きを持たせる。
本筋に関係がなさそうなのによく登場する髪は神に通じ、逸子の髪は針刺しを作るために売られ、こちらとあちらを繋いでいる。ようにも見える。
蝶は、死者の符号というところか。
でも肝心の蛇が何を指しているのかは分からない。
姉妹は、逸子と咲也のことであり、逸子の曾祖母と菊屋のおばあちゃん(?)の姉妹のことでもある。その二重写し。
そうは言っても、しりとりのことも、宝のことも不明瞭で、確かなことは何もない。あるとすれば、それは佐保の見ている世界だけれど、それさえも八歳の年の差が見えなくしている部分もある。
結局、死者は死にゆき、生者はこれからも生きていくのだ。