あらすじ
暗闇の中にしか生きられない女の末路は!? 天外(てんげ)家から逃げ出した奇子(あやこ)は、実業家となった兄・仁朗(じろう)のもとに身を寄せるが、長年の地下生活から光に怯える性質に……。戦後史の暗部を背景に描く問題作、完結編! 青年漫画の好短編『鉄の旋律』『白い幻影』『レボリューション』も併録。 <手塚治虫漫画全集収録巻数>『奇子』(手塚治虫漫画全集MT199『奇子』第3巻収録)/『鉄の旋律』(手塚治虫漫画全集MT96『鉄の旋律』収録)/『白い幻影』(手塚治虫漫画全集MT96『鉄の旋律』収録)/『レボリューション』(手塚治虫漫画全集MT96『鉄の旋律』収録) <初出掲載>『奇子』 1972年1月25日号~1973年6月25日号 ビッグコミック連載(※全巻通しての初出)/『鉄の旋律』 1974年6月25日号~1975年1月7日号 増刊ヤングコミック連載/『白い幻影』 1972年8月8日増刊号 女性セブン掲載/『レボリューション』 1973年1月6日+13日号~1月20日号 漫画サンデー連載
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
奇子 2
手塚治虫文庫全集 BT-094
手塚治虫/著
出版社名講談社
出版年月2010年11月
ISBNコード978-4-06-373794-3
(4-06-373794-2)
税込価格990円
頁数・縦454P 15cm
シリーズ名奇子
以上「e-hon」より引用
内容紹介
奇子 後編 1972.1.25-1973.6.25 ビッグコミック連載
短編
鉄の旋律 0974.6.25-1975.1.7 増刊ヤングコミック連載
白い幻影(まぼろし)1972.8.8 増刊号女性セブン
レボリューション 1973.1.6+31-1.20 漫画サンデー連載
あとがき 手塚治虫 初出手塚治虫漫画全集96『鉄の旋律』1980.9.20発行
「奇子」解説 手塚プロダクション資料室長 森晴路
レビュー
前編が名作を予感させる設定、ストーリーだったが、後半竜頭蛇尾に終わった感が否めない。手塚自身のせいではなく、連載中不人気で早めに打ち切り圧力が加わったせいだと思われる。その証拠に「奇子」はビッグコミックの小学館から単行本化はされず、別の出版社から単行本化されている。
ラストも連載ではハッピーエンド風な終わり方だったが、単行本化の際に穴の中で奇子以外は全員死ぬアンハッピーエンドに書き直されている。
手塚は機会があればその後の奇子を描きたかったそうだが、実現しなかった。
マンガ作品というものは作者と読者のキャッチボールのようなものなのかもしれない。いくら書きたくてもそれを受け入れてくれる読者がいなければ、成立しないのだ。読者に迎合するメディアと言われても仕方ないのかもしれないが、ニッチなファンが物言うことができる21世紀の今なら、その後の奇子や本当に手塚が書きたかった奇子本編を描くことができるのかもしれない。
手塚の未完や打ち切りになった幻の作品をAIに描いてもらったらどうだろう?
紙数合わせで収録された短編も素晴らしい。「白い幻影」はブラックジャックを絡ませば、ブラックジャック作品に収めても違和感ないお話。「レボリューション」はストーリーテラーの力量の高さを感じる輪廻転生的な結末で「火の鳥」中世編にも通じる素晴らしさ。
満足度★★★*0.5