【感想・ネタバレ】誰も戦争を教えられないのレビュー

あらすじ

広島、パールハーバー、南京、アウシュビッツ、香港、瀋陽、沖縄、シンガポール、朝鮮半島38度線、ローマ、関ヶ原、東京……。世界に大量に存在する戦争博物館と平和博物館。僕たちは本当に戦争のことを知らないのか? それとも戦争のことが好きなのか? 若き社会学者が「戦争」と「記憶」の関係を徹底的に歩いて考える!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

各国の戦争学物館を通じて、それぞれの国がどのように戦争(基本的には第二次世界大戦)をとらえているかを描くという内容です。

いままで考えたことのない切口がまず新鮮でしたし、博物館を通じることで、それぞれの国の意識のかなり深層に近い部分を感じることが出来るということが驚きでした。

この本を通じての著者の古市さんの主張というのも見え隠れ(?)しています。
それは、たとえ当事者で会っても、人によって国によって、それぞれの感じる戦争が全く異なるように、戦争を伝えることなんか誰にもできないという事です。
そうであれば、戦後世代は国や世界の在り方を考える際、「戦争を知らない・理解できない」という点に立脚するしかない。
それは一見、消極的で無責任な立場のように思えるけど、逆にこれまでの世界史できわめて珍しい「本当の平和を知っている」という大きな武器になるのかもしれないと思いました。

真実は人の数だけあるのに、こと戦争に関しては「たった一つの真実」があると思い込んで、その見方の違いから諍いを続ける今の国際情勢に救いは無いなって感じることが多い。
それに対する、答えの一つがこの本で提示されたのかと思いました。


ちなみに、僕が読んだのは文庫版ですが、単行本にはももクロとの対談が載ってたみたいですね。ちょっと前に話題になったのって、この本だったのかと初めて知りました。

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2015年09月09日

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