【感想・ネタバレ】美しいこと 【講談社版】のレビュー

あらすじ

週に一度女装して街に出て、男達の視線を浴びるのを趣味にしているサラリーマン・松岡。しかし女装時にナンパされてさんざんな目に遭う。その場を救ってくれたのが、同じ会社の冴えない先輩・寛末だった。不器用でトロいと悪評の寛末と女と誤解されたまま逢瀬を重ねてしまう松岡。ついには恋の告白を受ける。もう会わない方がいいと決心する松岡だったが……。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

解説ではBLというジャンルの幅広さと可能性について述べられているので、個人的になぜこの作品が一般文芸として扱われているのか、しばらく考えてみた。

営業職の主人公・松岡が女装でストレス発散していたある夜、中年男に乱暴されそうになって途方に暮れていたところ、どんくさい総務の先輩・寛末に助けられる。
れをきっかけに、寛末に惹かれた松岡は自分の正体を明かさないまま女装をして、寛末との交流を続ける。

化粧映えする女装姿の松岡に惚れた寛末は、猛烈なアタックをするが、松岡が男だと知った途端、手のひらを返した様にひどい仕打ちをする。
寛末をあきらめようと四苦八苦する松岡に対して、これでもか!と空気を読まない寛末は、松岡の前に現れては彼を苦しめ続ける……。

身も蓋もなくまとめれば、そういう物語。

苦しいと解りながらも何故、松岡は寛末を好きでい続けるのか。
松岡は有能営業マンで知的かつ行動的。
所謂、デキる男だ。
片想いに酔うほど、本来なら頭は悪くないはずである。

そもそも恋愛とは苦しいものだ。
恋愛は理不尽なもので、決して答えはない。
ただ苦しい。決して楽しくはない。

その苦しさが全編通して描かれていて、苦しいと解りながらもズブズブと寛末を想い続ける松岡に、読者は
「ああ、こんな気持ちになったこともあったナァ」
とか
「こんな情熱的な恋を一度はしてみたかったナァ」
とか思わせる……ような気がする。

それは古今東西、文学のテーマとして扱われ続けた普遍的なものであり、本作が一般文芸として扱われる理由なのだと思う。

3
2022年01月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

文章力は本当に大衆文学として大差がないというか、一般レーベルから刊行されているだけあり同性愛要素を抜きにしても感情のやりとりがスリリングでかなり楽しいです。BL要素に抵抗がなく如何ともし難い恋愛小説がお好きな方はとりあえず読んでみて損はないと思います。振られがヘキな私にはかなり刺さりました。続編がBLレーベルから出ているようなので読んでみたいです。

0
2025年11月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

何度も読んでいます。が、本音を言えば、この本は後半にあたる「愛しいこと」のカタルシスを最大に味わうためにあると思っています。
「美しいこと」のみで、その後を読んでない方が多いようなので、声を大にして言いたい。

「愛しいこと」を読んで、初めてこの物語は最高になるのです…!!

もちろん「美しいこと」だけでも木原ワールドは全開なので痛いながらも楽しめるのですが、あまりに松岡くんが可哀想です。
いつの世もクソ鈍感で高慢な攻め(外見はパッとしない)に傷つけられる美しくて優しくて男前な受けはいるけれども、やっぱり傷つけられたままだったら悲しすぎる。
美しくて健気な受けが幸せになるところを見たい…!!!
っていう気持ちが昇華されるのが「愛しいこと」です。

そうだよ、松岡くんは女装してなくてもかわいいんだよ、分かったか寛末!!!ってキレつつ(笑)、松岡くんの思いが報われたことに涙する…
特に電車のシーンは必見です。

0
2025年07月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

女装趣味があるイケメンリーマンと、年下上司に左遷されちゃうくらい冴えないリーマンの純愛ストーリー

お互いストレートであるからこその葛藤を、互いの自尊心を傷つけ合いながらも、最終的には一歩踏み出そうとするラストはじわっときました。

葛藤するタイミングがずれてることで、すれ違いっぷりが半端なく、見てる側は非常にヤキモキします(笑)

それだけに先が気になり一気読みでした。
おもしろかった〜

0
2022年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

こんなに切なくなる恋愛小説は久しぶりに読みました。
女装が趣味の主人公「松岡」が、自分に想いを寄せてくれている「寛末」に″自分は女ではなく男″ということを告白できず苦悩しているところがものすごく良かったです。
性別の壁を前にして様々な葛藤や苦悩を抱く主人公の描写が切なく、痛々しいくらいに現実味を持っていて読むのが辛かったです。

1
2021年09月16日

ネタバレ

続編の刊行を熱望します!

マンガから小説版を読むべき!と思いましたが‥他の方のレビュー等で「愛しいこと」が収録されていないことを知り、絶版になったHollyNOVELS版で読みました。なので、星は−1に。

「美しいこと」の続編に当たる「愛しいこと」と応募者全員サービスで配布された「愛すること」の刊行を熱望します!!‥じゃないと、松岡さんが報われないままなので、読んだ後もモヤモヤしますし。なんといっても、松岡さんが優しくされているところを読みたい!!報われてほしい!!
続編が刊行されたら講談社版も購入します!

この作者さんの本はどれも読めばハマります。カテゴリーはBLだけど、BLの枠に収まらないというか‥とにかく、読後しばらくは現実に戻りきれません。キャラ一人一人の内面がとても繊細に、かつ、掘り下げられているので、すごく存在感があり、キャラへの感情移入が深くなるのだと思います。とてもチカラ強い作品です。

#胸キュン #泣ける #切ない

1
2021年04月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

『箱の中』で衝撃を受け、他の作品が気になり購入。
やはり木原先生の文は癖がなく美しい。とても読みやすかったので2、3時間であっという間に読み終わってしまった。

木原先生の書くボーイズラブというのは一般的なものとは少し違った恋愛の苦しさや醜さに焦点をあてているので男同士ということに縛られることなく読めると思う。
また、女性が登場するのもBLらしくなくて良い。自分の中のBLはあくまでもフィクションとして捉えていたので、木原音瀬先生の作品に出会った時にはもしかしたら本当にこんな世界があるのかもしれない。と思わせてくれるのが好きだった。

女物を身につけ夜の街を歩くことが趣味の松岡とその姿に惚れた寛末のお話。
女装ということで最初は躊躇したが、読み進めていくとそんなことを忘れてしまうくらい『男女』としての2人の関係が苦しいものであった。
松岡が、寛末は自分が好きなのではなく江藤が好きなんだ、早く本当のことを言って離れよう と最初のうちは考えているのだが一途に思いを伝えてくる寛末に心奪われ寛末を好きになる松岡。
ここで松岡は女性の自分が寛末を好きになったのではなく素の自分が寛末を好きになったというのを自覚している。だからこそ、ありのままの自分を愛して欲しいと、「私がどんな姿でも愛してくれる?」と聞いたあとに本当のことを話すのだがそこからそう簡単には進まなかった。
寛末は松岡に嫌悪感を抱き、好きだった江藤がこの世にもういないものとして悲しみに昏れる。
そんな様子をみて松岡は顔が違うだけであの時のまま俺はここにいる、だから好きになってくれと思い続けていた。ありのままの自分が受け入れられなかったのはどれだけ辛かっただろうか。ただ、これは寛末も同じで結婚を考えてた人が実は男だったというのは辛いよりも絶望に近い感情があったと思う。

その後2人は離れ寛末は女の人と付き合う。
ここで残りページが少なくなったのでハッピーエンドじゃないのか、、?と思ったが!
最後寛末は松岡を呼び止め「まだ僕を好きでいるような気がしたから」と手を取り、話はおわる
ここで終わるのかと思ったがどうやら続きとなるものがあるらしく是非熱が冷めないうちに読みたい。

木原音瀬先生の作品はBLの中でも人の心の動きが丁寧に書かれていて今までにないものだと思う。流石BL界の芥川賞だ。

0
2025年11月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

BLなんだけれど、男女の恋愛もあって、それぞれの葛藤もあって、、、
読んでいて、とにかく苦しい。せつない。松岡くんの気持ちもわかるし、葉山さんの気持ちもわかるし、寛末さんの葛藤もあって当然かなとも思うし。寛末さんには、もっとはっきりしてと思うこともあるけれど、こういう人も実際にいそう。
唯一好きになれなかったのは、福田。でも、こういう自分の事だけ考えて、自分の周りだけが好きっていう人いるよな、とは思った。絶対に近寄りたくないけど。
最後の数ページ。本当に苦しい。でも面白かった。
やっぱり木原音瀬は、すごい。もっと前から知っていたかった。

0
2023年02月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

プラトニックでもどかしくてヒリヒリして、最後の二人の感情の吐露がめちゃくちゃ心に刺さるお話。

松岡君のなかなかに自分勝手なところも、寛末さんの煮え切らないところもそれぞれリアル。時計の下りは返してあげてと思うけども。
葉山さんと藤木さんが可哀想。木原先生のお話に出てくる女性大体当て馬か悪者にされがちな気がするんだけど、気のせいかな。男性同士の恋愛に女性の不幸わざわざ添えなくてもいいのにとは思ってしまう。
少しそういうとこにもやっとはしたけど、最後のページ読んで二人の明るい未来を願わずにはいられないと思えたお話でした。

0
2022年11月16日

Posted by ブクログ

ネタバレ

BLモノで異色の作品、みたいな、すごい評価が高いみたいな前評判は知っていた。感想は、『ザ・少女漫画』だな〜。
BL耐性は普通にある方ですが、個人的に恋愛モノはよくわからんので、設定が男同士になってるだけの少女漫画だと思いました。主人公達のキャラとか。巻き込まれてるそれぞれの彼女とか気の毒過ぎるなとか。ただベタな少女漫画ってやっぱりおもしろくはあるので一気読みしました。

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2021年09月24日

匿名

ネタバレ 購入済み

美しいこと

漫画の方を先に読んでいて、とても面白かったけど終わり方がスッキリしなかったのっ気になってこちらを購入。でも最後は漫画と同じでモヤモヤしたままです。どいか松岡さん幸せになって欲しい。

0
2021年01月23日

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