あらすじ
深く考えてみるまでもなく、音声と概念とはまったく性質が違うものです。音声は波ですから見たり触ったりすることはできないにしても、とにかく物理的な実体であるのに対し、概念は決して物理的な実体とは言えません。それなのに、私たち人間がコトバを使う時には、その似ても似つかない2つのものを対応させています。しかも、その対応のさせ方は、同じ言語を使う人々であればまったく同じなのです。もちろんだからこそコトバを使って意味の伝達ができるようになっているのですが、これほど性質の異なる2つの要素を、同じ言語を使う人々がどうして正しく結びつけることができるのかは、考えてみれば不思議なことです。――〈本書より〉 (講談社現代新書)
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Posted by ブクログ
【★ソシュールにおけるコトバの原理】p161
言語記号の内容部(意味)と表示部(音素列)の間にある恣意性、記号が一列に並ぶという線状性。
比較言語学→一般言語学へ
同じ意味が伝達される過程に本質的に関わってくる要素こそが重要なのであって、ソシュールはこれを「ラング」と呼んだ。p31
個別言語を作っている要素のうちで、同じ意味の伝達に関係してこない要素をソシュールは「パロール」と呼んだ。ラングとパロールを合わせた個別
言語の全体像が「ランガージュ」である。p32
→結局のところパロールは、具体的な音声およびそれを作り出すあるいは知覚するための生理的な運動であって、何らかの方法で具体的に観察可能な現象である。そしてそういう具体的な現象は、音素という抽象的な単位として認識されてはじめて意味と結びつくことができるのだから、意味と直接的に関係するものではない。p37
ラングには「社会性」がある。p33
音にも抽象性が伴う「音素」p35
[本書においては]音素列=聴覚映像
ソシュールは、音や図形などの人間が知覚できる表象に意味が結びついたものを「記号」と呼んだ。p41
【記号の意味と表象】p43
意味=シニフェエ、表象=シニフィアン
本書では内容部、表示部
ソシュールにとって単語=「言語記号」p43
言語記号の恣意性―コトバの「第一原理」p48(可変性)
言語記号の線状性―コトバの「第二原理」p51
Cf. 慣用句や熟語 Eg. 「腹をくくる」「水をさす」
Cf2. 「複合語」 Eg. 「たこ焼き」「焼きたこ」意味が変わってくる
ある特定の時点におけるラングの状態=「共時態」⇔「あした」というような語形をもつ単語の意味が千年前から現在へと時間が経過するにつれて変化したような事実を「通時態」
単語の意味は体系をなす⇔集合 eg. 自然数 p63
【連合関係と差異の体系】p66
連合関係:体系に含まれる要素の間にある関係
体系に含まれる要素の価値がお互いの差異で決まることから、コトバが示す体系を「差異の体系」と呼ぶこともある。
eg. 「持つ」英語では:have, take, hold
日本語と英語では全体としての単語の体系が異なる
【連辞関係と構造】p69
連辞:複数の単語によって構成される単語よりも大きな単位
連辞関係:連辞の中にある単語の間に見られる関係
連辞の作っている単語の並び方や意味的な関係を明示的な形で表したものを、後になって「構造」と呼ぶようになった。
【ソシュールが設定した言語学の課題】p72
ラングが示す体系と構造の性質を明らかにすること。
[構造主義の含蓄]p75
事物が体系を作り、事物の性質が体系に含まれる他の要素との関係で決まってくるという考え方は、単語の意味だけではなくて、社会制度でも建築物でも、さらには人体を作っている諸器官についても、広く適用できる一般的なものである。
「プラハ学派(プラーグ学派)」p80
最初のターゲットは音素