【感想・ネタバレ】歌うカタツムリ 進化とらせんの物語のレビュー

あらすじ

なんだか地味でパッとしないカタツムリ。しかし、生物進化の研究においては欠くべからざる華だった。偶然と必然、連続と不連続……。木村資生やグールドらによる論争の歴史をたどりつつ、行きつ戻りつしながらもじりじりと前進していく研究の営みと、カタツムリの進化を重ねて描き、らせん状の壮大な歴史絵巻を織り上げる。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

これは熱い!進化論の最前線の議論で、カタツムリ類がここまで大きな役割を果たしていたとは!これまでに無い視点で進化論の歴史を語るこの本は、知的興奮に満ちている。生物系に詳しくないので分化のレベルの議論が途中でややこしくなってしまったが、再読したい

0
2018年06月23日

Posted by ブクログ

カタツムリを題材とした進化生物論という、凡人にはほとんど縁も馴染みもない話を、ここまで読ませる内容に仕上げた著者のサイエンスライターとしての力量に脱帽。
一読するとその意味が味わえる「進化とらせんの物語」という副題も秀逸だし、ものの見方が凝り固まってしまうことを「3.14とはなんですか、と聞かれて『円周率!』とマッハのスピードで答えるも、ホワイトデーに思いが及ばない勉強熱心な甲斐性なしがその例である」と書いたり、とにかくライターとしてのセンスが秀逸。
本題であるダーウィン以降の生物進化に関する学説の激突も、いい意味でプロレス的で、とっつきにくい内容であるはずなのに、読む手が止まらない。しかも、著者は若手研究者と思いきや、1960年生まれの教授で、かつ、一般向けの著書はこれが初めてという二重のビックリマークが付く。いろいろな意味ですごい本。

それにしても、本書に数回出てくる、日本人研究者の研究成果に関するくだり…「これは世界的にも極めてレベルの高い斬新な研究だった。だが残念なことに、論文はどれも、海外の研究者の目に届きにくい国内の雑誌に発表されたため、海外にはほとんど知られることがなかった」 
著者の無念さがひときわ印象に残る。

0
2020年09月26日

Posted by ブクログ

カタツムリの研究史を時系列に、世代ごとの人物に焦点を当てながら紹介。登場人物はグールドしか存じ上げなかった。時代によって浸透していた考え方に違いがあるのは印象的。 個人的には海棲の貝類がどのようにして上陸を果たし、ナメクジやカタツムリに進化していったのか、の方が気になった。 環境、同種や捕食者による圧、遺伝のランダム性など、影響要素が多すぎるため、生態系への理解を深めることへの難しさがよく分かる

0
2020年08月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

進化を決定づけるのは環境への適応なのか、運や偶然に類するものなのか。新たな発見があるたびに揺れ動いてきた、その研究史はカタツムリのような螺旋を描く。
カタツムリ(マイマイ)の研究がその焦点になってきたという、その歴史を概観する一冊。
「歌うカタツムリ」はかつてハワイにいたと伝えられる。そのハワイのカタツムリ研究が歴史の始まりだった。しかし、ハワイでも、ミクロネシアでも、小笠原でも、研究の対象になったカタツムリは外来種によって絶滅状態に追いやられたという話がエンディングに控えている。

0
2018年12月30日

Posted by ブクログ

題名に惹かれて読み始めたが,副題にあるように進化と歴史の物語そのもの.カタツムリ研究に絞られてはいるが,全ての生き物に当てはまる命題.ダーウィンに始まり,宣教師ギュリックの気の遠くなるようなカタツムリ研究から綿々と続く進化の謎に迫る攻防.いろいろな学説,繰り返される理論,難しくはあるが,興味深いものだった.
出来れば,系統樹やマイマイの写真も添付して欲しかった.

0
2017年10月02日

Posted by ブクログ

ちっぽけなカタツムリの殻の色や形にも人間の解けない謎がある。それを探求する人間たちとハワイや日本、カリブ海、ヨーロッパ、いろいろな場所でさざめくカタツムリたちの進化の歌声が作り出す、カタツムリの殻のような理論の進歩。その歌声がかんたんに消えてしまうものであることも一つのテーマであろう。

0
2019年05月07日

Posted by ブクログ

麻雀は進化のようなもの。カタツムリはどんな麻雀を勝ち抜いてきたのだろうか。上がり手をもとに、経過を想像する人たちの論争。
--------
進化というのは麻雀のようなものだ、という表記があった(正確には方向が違っていて、麻雀が進化のようなもの、ということ)。

局の開始時には、さまざまな可能性があるが、局が進み、選択の連続で、その可能性は狭まってくる。さらに進むと、対戦相手に振り込んだり、というリスクも出てくる。伸るか反るか、そんな選択をしなければいけないし、偶然ひいた牌によって大きく変わることもある。

カタツムリも、貝のくせして陸上に登る、という選択をした。殻がついてくる人生のなか、彼らはその殻をいろいろ変化させていった。

だが、その変化(進化)は、遺伝的浮動によってランダムに起こるという人もいれば、自然選択によって起こるという人もいる。本書は、カタツムリの進化に没入した複数の研究者たちの格闘の物語である。

岩波科学ライブラリーの生き物シリーズは、突き抜けた著者が出てくることが多い。本書にも期待したのだが、前述のように複数の研究者たちの足取りをたどるので、誰か一人突き抜けた、という印象にはなりがたい。それでも、その中で印象深かったのがエドワード・モースだ。彼が貝の研究者ということは知っていたが、日本にはその研究対象がたくさんあるから、という割とベタな理由で来日していたのだ。

同種とされるカタツムリでも、右巻きと左巻きとでは交尾が出来ないのだそうだ。恋矢というスゴイ名前のアレをお互いの身体に出し入れするのだけど、右巻きと左巻きではどうにも体位があわないらしい。なんだかなあ。

カタツムリの話題は『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ。』にあったなあ。でも鳥に襲われること自体は進化のきっかけにはなっていないらしい。

進化は山登りにも例えられている。麻雀も登山も少ししかしなかった僕は進化しない、わけではないだろうけど、ちょっとブルーになった。なるのがおかしいんだけど。けっこう読むのに時間がかかってしまった

0
2022年06月01日

000

そこが知りたい

岩波さんはプラウザが気に入らなくて、筒井さんのただの教授も読めないし、
本作品も読めないし、井伏鱒二翻訳のドリトル先生も読めないしで、プラウザを嫌う理由を何処かで説明して欲しいのですが、
作品の内容に関係なく、プラウザを嫌がる理由が知りたい。

0
2025年04月15日

「学術・語学」ランキング