あらすじ
小説をめぐる熱きドラマ、ついに文庫化。
大手出版社の文芸編集者・俊太郎と、華々しいデビューを飾ったものの鳴かず飛ばずの作家・豊隆は幼馴染みだった。いつか仕事を。そう約束していたが、編集長の交代で、企画すら具体的にならないまま時間だけが過ぎていく。やがて、俊太郎の所属する文芸誌は、社の経営状態から存続を危ぶまれ、豊隆は生活すら危うい状況に追い込まれる。そんな逆境の最中、三流編集者と売れない作家が、出版界にしかけた壮大なケンカの行方は!?
小説の役割は終わったのか? 物語に生かされたことはあるか? 単行本刊行時、作家・編集者・書店員の方々など業界の内外をざわつかせた問題作が、ついに文庫化。 『イノセント・デイズ』で大注目の作家が放つ、小説をめぐる、男たちの熱きドラマ!!
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Posted by ブクログ
出版不況のこの時代、若者たちに手にとってもらいたい本。
小説家になりたい、編集者になりたい、だけどホストのバイトをしている。という男の話で始まり、展開が一旦そこから離れてはゆくが編集者が偶然昔馴染みの売れない小説家を応援しながら、自分も周りの人も成長させてゆく。そして、有名文学賞の発表で大団円へ〜とならずに…
私自身も全然、読み取る力無いなぁ。ただ、熱情は伝わってきた。
Posted by ブクログ
何度も心をズキズキさせられ、涙を滲まされ、涙をこぼさせた。
出版、文芸の時代的な厳しさが背景ではあるものの、仕事への向き合い方、人との向き合い方、人生…様々考えさせられた。
2020年がキーワードの一つになっているけれど、この本が書かれた頃には、誰も予測しなかった2020年が過ぎ去った現在、確かに物語は必要かもしれない。
『カラマーゾフの兄弟』読んでみよう。『エピローグ』が読めないのは残念だが。
Posted by ブクログ
小柳俊太郎
総合出版社「神楽社」文芸編集部勤務。三十三歳。
加藤耕介
俊太郎の先輩。副編集長。三十八歳。
青島秀一
神楽社に面接に来た大学生。ホストをしていた。神楽社から内定が出ていたから、新興のIT企業〈ストロベリーフィールズ〉に入社した。
榊田玄
文芸編集部編集長。新卒で入社した以来、ずっとマンガ畑を歩んできた典型的な「神楽マン」。KG。
吉田豊隆
大久保のファミリーレストランでアルバイトをしている。キッチン担当。十八歳のときに執筆した『空白のメソッド』が新人の登竜門と呼ばれる「小説ブルー新人賞」を受賞。俊太郎は小学校時代の数少ない友人。
山本香苗
豊隆と同じアルバイト先のホール担当。
竹田仁美
豊隆の中学時代の図書室の司書。
野々宮博
中学二年生で史上最年少で純文学系の「文学世界新人賞」を受賞し、華々しいデビューを飾った。
山根仁史
俊太郎と幼稚園の頃からの友人。
美咲
俊太郎の恋人。大学生の時に子供ができて結婚する。
悠
俊太郎と美咲の息子。
大賀綾乃
映画『空白のメソッド』の主演女優。
引地ココア
中堅女性作家。「小説ブルー新人賞」の選評で豊隆をこき下ろした。
内山光紀
俊太郎の担当作家。代表作の『クラッシュ!』シリーズは累計で五百万部を超え、こな十年の間にめぼしい文学賞をことごとく受賞している。豊隆がデビューしたときの選考委員の一人だった。
晴子
銀座のクラブ〈ケリー〉のホステス。
三浦
青海出版の豊隆の担当編集者。
慶子
銀座ケリーのママ。
〈欅〉のマスター
〈ケリー〉から三分ほどのところにあるバーのマスター。
佐倉千晶
俊太郎と同じ編集部。子連れのシングル。
西谷
神楽社の営業部。
梶原
西谷の営業部の上司。
太田
日本文芸振興会。
瞳
銀座〈ケリー〉で晴子お同僚だった。
Posted by ブクログ
編集者と共に小説を書くと言うことがどう言うことなのかと言うことがよく分かるお話。
この物語を読むと作家と編集者がいかに深く結びついて一つの作品を生み出す苦労と情熱を共有しているのかがよく分かった。
なまじ自分でもお話を書いているものだから、この関係はすごいなと思う。
けれど、とても自分にはこれは無理だとも思う。
もちろん商業作家と趣味で書いている物書きの間には厳然とした差があると思うし、それ以上に、自分は自分の物語へのダメ出しには耐えられないだろう。そうしたものを乗り越えてそれでも書き続けられるのが作家だと思う。
物語的には一人の作家の成長物語であり、編集者との友情、努力、(表面的にはともかくとして)勝利の物語でもある。
最後には心地よく読み終えた。
ただ惜しむらくは、作中の小説自体を読むことができない読者としてはどんなに言葉ですごい作品だと言われても、はい、そうですかとは納得できない。
その作品を読ませて欲しい。
話はそれからだ^^
ーーきっと読書好きなら誰もがそう思うと確信している。