【感想・ネタバレ】工場(新潮文庫)のレビュー

あらすじ

大河が南北を隔てる巨大工場は、ひとつの街に匹敵する規模をもち、環境に順応した固有動物さえ生息する。ここで牛山佳子は書類廃棄に励み、佳子の兄は雑多な書類に赤字を施し、古笛青年は屋上緑化に相応しいコケを探す。しかし、精励するほどに謎はきざす。この仕事はなぜ必要なのか……。緻密に描き出される職場に、夢想のような日常が浮かぶ表題作ほか2作。新潮新人賞、織田作之助賞受賞。(解説・金井美恵子)

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ずっと奇妙なままで終わった。主人公、コケ、古笛、後藤、老人、孫、兄、恋人、工場、生き物、仕事、職員、、出てくるもの全てが奇妙。工場の敷地てわ生活ができるなんてあるの??ベースのような印象を受けた。工場にしかいない鳥とか!こわい。しかもそれが鵜の一種ということで、カワウとかウミウという言葉がたくさん出てきたんだけど、、それも気持ち悪かった。そして最後も???で終わった。黒い鵜の正体は職員なの?わからない。
そして他の2つもよくわからなかった。熱帯魚好きの男の出産祝い。相手の女性はきっと餌の海老をもらっていた子なんだろう。なんで男性は死んだの?
三つ目もよくわからない。よくありそうな会社のシーンなんだろうけど。女の嫌さも十分あったけど、男の嫌さもあった。これも登場人物がほとんどひどい。でもリアルな思いで安心もしたし悲しくもなった。
読み終わりはモヤモヤしたけど、楽しかった。

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2025年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

ひとつの街…っていうか市くらいありそうなボリュームの敷地を持つ工場で働くことになった3人。

工場は異様な広大さで、南北を分つ大河があり、それに架かる巨大な橋があり、橋は自動車やバスがひっきりなしに往来している。
工場の敷地内には、レストランから旅行代理店から住宅街から釣り堀から何でもあり、っていうか、逆に無いのん何よ?ってぐらい何でもある。
なんなら、工場敷地内の固有種の動物までいて、え?ってなる。

この辺りの人は、何かしらこの工場に関わる仕事に従事していて、小学生時代は社会科見学に訪れるほどなのに、この工場の業種が全く書かれてなくて不気味だし、この3人が工場で従事する内容の関係性が全く見出せないのも気持ち悪い。

仕事内容も、えらい丁寧に細かい描写なんだけど、その作業目的が何って書いてないのも、薄気味悪い。
そしてこういう、不気味で気味悪い雰囲気、好きだなぁ。

仕事って、従業員は職位(ここでいうところの、正社・契約・派遣)別の歯車にならざるを得なくて、コレってなんのためにやってんすかね?って思いながらも、まあなんやかんや言うて繰り返しやってる。
目的もわからずやる作業って、単純であるほど、自由度が高いほど、なんか不安になるんよな。

そして、最後は工場ウになっちゃうんよね、牛山妹。
そうやって、なんだかわかんない仕事だけど、その工場の歯車=固有種として生きていくってこと?

あるいは、契約社員の牛山妹は、工場ウになって使い捨てみたいな扱いを工場から受けるってこと?

またまたあるいは、印刷課分室の人が工場ウを羽交締めにしてるシーンがあって、多分海に近い河に捨ててるんだろうけど、印刷関連で、工場ウは黒いトナーに見立てられているってこと?
あ、でもトナーは結局、使い捨てか。

なんか色々考えちゃう。
牛山妹の面接も後藤さんで、古笛さんが参加したウォークラリーとかの担当も後藤さんだけど、違う後藤さんだけど何で一緒にしてん?って思ったり、なんかイチイチ気持ち悪い(いい意味で)。

p39に、牛山兄が従事する書類等への赤入れ作業の際に登場する、「メンタルケア・ヘルスブック」が、「いこぼれのむし」にも登場してて笑えた。
繋がってんのかな?
この、「いこぼれのむし」も気持ち悪い雰囲気で面白かった。
(が、元来虫苦手なので、いちいち虫のくだりは背筋がぞぞっとした。)

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2025年01月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

三つの短編。奇妙で不気味なパラレルワールドの一つを覗いた感じ。
人々が住んでいる巨大な工場が出てくる短編には興味が沸き、住んで働いてみたいとさえ思った。

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2024年11月23日

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