【感想・ネタバレ】官僚たちの冬 ~霞が関復活の処方箋~(小学館新書)のレビュー

あらすじ

霞が関凋落、その深層とは――。

霞が関の地盤沈下がとまらない。作家・城山三郎が『官僚たちの夏』で描いた天下国家を論じる官僚たちの姿も今は昔。さながら「官僚たちの冬」か。

90年代以降の歴代政権は、「政治主導」に向けた改革を実行してきた。それは本当に成功したのか。片や官僚らは自ら改革に努力したのか。

財務省出身で、実際に行政改革の最前線に立ったこともある筆者が綴る官僚劣化の深層。そして、その処方箋とは。

◎主な内容
「優秀な官僚」はどこに行ったか/ヴォーゲルは官僚を過大評価?
平成の30年間に行われた行政改革の功罪/省庁再編の失敗
内閣官房と内閣府の肥大化/「与党・官僚内閣制」の崩壊
小泉政権の中央省庁等改革/安倍政権の公務員制度改革
次々と変わる看板政策/山のような報告書
経産官僚のカルチャー/「政治化」する官僚たち
森友・加計問題の本質/「忖度」と「官邸主導」の因果関係
産業革新投資機構に見る矛盾/天下りは必要悪か
諸外国の公務員制度から学ぶ(米国・英国・独・仏・オーストラリア)
霞が関復活の処方箋/ジェネラリストよりプロフェッショナルを
省庁再々編/政権中枢のあり方/将来を担う若手官僚のために

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

安倍政権下の霞が関改革への一書
起きている現実を踏まえ、評価は否定的
なら対案はどうするべきか?
人事の成果評価・専門性能力の評価・民間交流がもっと必要

政治主導の官僚支配は、意図せざる負の結果を招いている。
政治家の視野は極めて短期的、官僚の自立性の低下・専門性の喪失により、政府全体の劣化に繋がっている

経済社会システムの改革が必要
 2025年団塊の世代  後期高齢者
 2050年団塊ジュニア 後期高齢者
⇒痛みを伴う改革が不可避

公務員の専門性は軽視され、政治化し、パフォーマンス低下
①政策立案機能の低下
②組織マネジメント力の低下

ミッションと実績評価を確立できるか?
 リスクを冒さず定期ローテーションを待つ
 やってる雰囲気で評価を上げる

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2019年03月12日

Posted by ブクログ

官僚は内閣の下請け官僚になってしまい、自律的な政策立案ができていないために、短期的な視野で考えた政策しか生まれないのは問題だと思った。また、政策立案はしたものの、その評価と改善のプロセスがしっかりしていないために、海外に比べて質の高い政策ができていないのも課題だと思った。評価して改善するのは大変な点もあるけど、仕組みを作って実行していくことでより良い政策に育てることができると思う。人事についても、ジェネラリストを育てる今までの形から、プロフェッショナルを育てる形にしていくことが、民間でも活躍できる人材を育てたり、民間から人を呼ぶことにつながるので大切だと思った。官僚は改めて難しい課題に立ち向かう難しい仕事だと感じた。

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2023年02月27日

ネタバレ 購入済み

★★★★☆

元財務官僚による作品。
もっと内部告発的なドロドロしたものを想像していましたが、現状、事実を冷静に分析し、それに対し、具体的、建設的な提案がされていました。
実際にこの提案が採用されることはないのでしょうが、私たちが暮らす国のハード、ソフトを含めたインフラの企画をする人たちがこのような高度成長期のような24時間働けますか状態では持続可能性は低いでしょう。
政治家がまともな意思決定ができるよう、そのブレーン、シンクタンクとなる官僚の方々にはよりよい働き方で成果を出してもらいたいものです。
国民にできることは、少しでもまとまな政治家に票をいれることでしょう。
自民党以外の選択肢があまりにもひどいのが日本の現状と選挙の度に感じてしまい、残念です。

#切ない #タメになる

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2022年09月18日

Posted by ブクログ

元財務官僚である著者が、平成の政治主導の改革を振り返り、霞が関の病理を説くとともに、先進国の公務員制度改革も参考に、霞が関復活の処方箋を提示。
処方箋の是非はさておき、官僚の「政治化」と、その「専門性」の欠落という問題点の指摘は当を得ていると感じた。

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2022年05月03日

Posted by ブクログ

元財務官僚の方が過去の行革を整理しつつ、処方箋を記した本。処方箋の章では、元財務官僚らしく財務省改革に多くの紙面を割いている。省庁再々編の提言では、官邸・内閣官房・内閣府と政権中枢の複雑な仕組みの見直しや、共通ミッションが見出せない総務省の分割、所管が大きすぎる厚労省の分割などが提言されている。省庁を半減させるという数ありきの行革の副作用とも言え、再度分割することには相当のパワーが必要だが、より効率的な行政体制の構築のために必要な改革は行なっていくべきだろう。

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2020年05月19日

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