あらすじ
それは、誰が助けてくれますか―― 「水頭症です」夫婦に衝撃が走った。それまで穏やかに暮らしてきた、どこにでもいるごく平凡な家族。元気いっぱいの長男と、産まれたばかりの次男。新しい家族が増え、希望に満ちた日々を過ごすはずだった。しかし、生後一カ月の次男に突然宣告された「水頭症」。その日から水頭症と家族の闘いが始まった。一刻を争う状況の中、翻弄され行き場を失っていく家族。この小さな命はどうなってしまうのか… 冷たい雨のように絶望が胸を打つ。そんな時、家族はひとりの医師のもとへ辿り着く。「この先生ならきっと…」命を託せる何かがあった。第15回文化庁メディア芸術祭〔マンガ部門〕審査委員会推薦作品に選出された、実在する一人の医師と、その「仲間(かぞく)」の物語。
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Posted by ブクログ
わが北海道で売り上げ好調な本です。
現在3巻まであります。
実在する医師というのがポイントになってるのでしょうかね。
こういった医師は少ないのが現実・・・
是非手にしてみてください。
Posted by ブクログ
コミックというと娯楽物というイメージがあり、実際に楽しむための読み物でもある。子どもの頃は「漫画番長」を自称するほど漫画やコミックが好きだったが、昭和40年代に少年時代を過ごした私にとっては漫画やコミックは「買う」のではなく「借りる」というのが一般的だった。
今でも見かけなくなったが、当時は私が生まれ育った九州の田舎にも「貸本屋」があって、子どものお小遣いでも借りられる値段で漫画や雑誌や小説が貸し出されていた。「貸本」の歴史は古くて今から300年以上前の江戸時代中期から始まったが、昭和40年代にはすでに激減しつつあったということなので、貸本屋に通ったのは私の世代が最後なのかもしれない。
昔の大人は(今でもそうかもしれないが)、つまらない出来事や可笑しい出来事を指して「まるで漫画だね」と言っていた。私が働き始めた昭和50年代後半は職場でもそういった言い方を上司や先輩方がしていたが、漫画好きの私はその言葉を聞くたびに少々カチンと来ていたことを思い出す。
「漫画がくだらないものの代名詞のようじゃないか」と一人憤慨したりしていたが、今でもその感覚は変わらない。漫画はけっしてくだらないものでない。
文字を覚える前の子ども達にとっては漫画は楽しく文字を教えてくれる媒体であり、成長してからもその年代年代でいろいろと考えさせてくれるもとでもあった。もちろん、文字どおり「くだらない漫画」はいくつもあったが、同じように「くだらない小説」もあるのだから一概に漫画だから内容が無いと思ってしまうのは早計だ。
今回読んだコミック「義男の空」は、とても感動的な内容だった。コミックという形をとっているからこそ伝わる感動があるということを、このコミックは教えてくれると思う。
北海道に実在する医師をモデルとしたこのコミックは、子を思う親の気持ちや、親を思う子の気持ちというものが表現されていて、読み進めるうちに目頭が熱くなってくる部分もある。
実在の人物をモデルとした作品の中には派手な展開や力みすぎた表現のものも時々見かけるが、この作品はある意味では淡々と事実をコミックという形で表現しているため、読んでいて肩が凝らないし白けるということもない。それだけ「事実」には重みがあるということだろうと思うし、「事実を淡々と伝える」ということの大切さも感じることができた。
コミックの最後の方にはモデルとなった医師と著者との対談も掲載されていて、他のコミックとは一線を画しているような気がした。出版社は札幌にある会社だが、地方に腰を据えているだからこそこういった思い切った物語を出版できるのかもしれない。
「義男の空」は「元漫画番長」の私としては読み続けたい一冊となった。
Posted by ブクログ
何気に手に取ったら、涙腺から心の何かから、いろんなものが持ってかれて、えぐられて、でも、気持ちいい何かが残った。巻末にインタビュー記事がのってるんだけど、義男先生がかっこいいんだっけー。あと作者の意気込みというか、設定書類の綿密さがすごい。気合入ってて、この一冊にかける意気込みが伝わってくる。