【感想・ネタバレ】バレエ・メカニックのレビュー

あらすじ

造形家・木根原の娘・理沙は、九年前に海辺で溺れて以来、昏睡状態にあった。「五番目は?」@@都心での商談後、奇妙な幻聴を耳にした木根原は、奥多摩の自宅へ帰る途中、渋滞の高速道路で津波に襲われる。理沙の夢想が異常事態を引き起こしているらしいのだが……希代の幻視者による機械じかけの幻想、全三章

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Posted by ブクログ

ネタバレ

美しい、悪い夢だなぁ。
巻き込まれる東京にとって悪夢なだけで、理沙は普通に夢を見ている。
理沙の夢に引きずり込まれて、幻想世界かと思ってたらどんどんサイバーパンクへ。
文章は美しいし、寂寥感が漂ってて好きでした。どうにかして対抗しようとしてももう、全てが手遅れな気配です。

筒井康隆先生が帯書くはずだ…と、昔々に読んで観た「パプリカ」を思うなどしました。確か空気感が全然違うけど。
幻想とSFの垣根をやすやすと行き来する津原先生の世界をもっと読みたかったです。

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2025年04月29日

Posted by ブクログ

ネタバレ

いつまでも目覚めることができない悪夢のような小説だった。
けれど流れるような美しい文章にスーッと吸い込まれていくようで、読んでいて苦にならない。語り手が冷静で、あまり感情的でない点もいい。難しくてなんのことを言っているのか分からないシーンもあるのに、読む速度が落ちないのが不思議だった。
自暴自棄のような木根原の生き方も、すべては娘の事故から始まったと分かった瞬間に嫌悪から同情に変わった。第一章の終わりで、死んでいく娘と語らうシーンは特に良かった。娘と父親だけが知っている美しいシーンだった。この別れのためにあの幻覚があったのかと納得した。
第二章で理沙が消滅していないことが判明したときは鳥肌が立ったし、第三章でまたあの浜辺の家に入るときも胸が潰れそうだった。要所で、幼い理沙の大事な思い出が鍵になっていることが切ないのだ。理沙に繋がるシーンはいつも良い。

テクノロジーが発達した世界では価値観も変化していくと思うけれど、そこに生きるのが人間である以上は根本的には変われない気がする。たとえ現実が一致していても、他人と認識が一致しているとは限らないのは今も同じだ。

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2024年08月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

読み出しは幻想小説かと思ったけど、途中からは…う~んたぶんSF。でも文章と作品全体の雰囲気はは最後まで幻想小説風。解説の言葉を借りるとサイバーパンクSF??最後まで静かに物語が流れていきました。

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2014年11月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

九年前に海辺で溺れ、大脳の機能を失い脳幹のみが機能し生存している理沙。
東京各所にて、七本肢の巨大蜘蛛が目撃されたり、
高速道路で津波に遭遇されたりなどの現象が起きる。
理沙の父の木根原は担当医の龍神から、これらは理沙の夢想が引き起こしているという話を聞き、起きている現象に心当たりを覚え動き出す。

第一章バレエ・メカニックは理沙の父親木根原サイド、
第二章貝殻と僧侶は理沙の担当医龍神好実サイド、
第三章午前の幽霊はチルドレンとなった山岸外起夫サイドで構成されている。
読み進むにつれていったい誰の語りなのかと不思議さが増していったが、なぜかその不可解さが読み進めさせているような気がした。

読んでいてすごいと感じたのは、
幻想、夢想の世界にひきこまれると同時に、
ものすごいリアルさを感じてしまうことだ。
現実なのか夢想なのか登場人物たちも判断できなくなっていくが、まさにそれを体験させられるような感覚をもたせる文章ですごかった。

ただ難解なのは間違いない。
けど、それでも読めたことについて考えると
それだけのおもしろさがそこにあったということだと思う。

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2014年08月12日

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