あらすじ
優れた厨師(ちゅうし)を輩出することで有名な斉家村(せいかそん)に生まれた見習い料理人・斉鎌(せいれん)は、ある日見知らぬ男から不思議な鍋を借り受ける。しかしそれは煮炊きをしないでいると腹を空かして動物や人間を襲い始める、とんでもない鍋であった。鍋を返すまで故郷に帰ることは叶わない──流浪の身となった斉鎌は、鍋とむらに代々伝わる霊力を持った包丁を頼りに、戦場の飯炊き場、もののけの棲み家、名家の隠居所などで腕を揮いつつ、鍋の元の主を捜し歩くが……。若き厨師と怪しい鍋が旅の途上で出会う人々と不思議、そして料理。無類の面白さに満ちた美食中華幻想譚!/解説=南條竹則
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Posted by ブクログ
中国の明時代の話?題名通り、若い厨師(料理人)がとんでもない鍋とあちこち巡って、怪しいことや不思議なことやえぐいことに遭遇する話。後の妻にも出会う。淡々と語られるのがみそだねえ。鍋は結果悪いことはせんかったよ。いかにも中国風の物語群で、面白いこと無類。勝山海百合、いいね。
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厨師、つまり料理人として渡り歩いている斎錬の持っている鍋は預かり物であるが、なんでも美味しくする不思議な鍋である。鍋だけでなく、彼の腕も確かなので、美味しそうな話が続く。色々な場所で料理をしての話が、オムニバスのように続いていって、それらのエピソードが所々で繋がっていく構成になっている。穏やかな語り口で、大きな起伏があるわけではないけれど、面白かった。
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中華×ごはん×幻想怪異の短編集で、主人公・斉鎌がほどよくとぼけた風合いなのが良かった。人情ものだけでなく、ごうつく張りが痛い目を見るとか、お話のテイストも色々、登場人物も(まさに)煮ても焼いても食えないタイプが多くて楽しく読めました。面白かった!
基本的にどれも後味の良いお話なのも、気軽に読めた一因かも。誰か頑張って漫画かアニメ化してほしいな……。
そもそも「永年さまざまを煮てきたから、水を煮ただけで美味い出汁がとれる」鍋、魅力が強すぎる(笑)
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厨師とは、厨房の師、即ちる料理人のこと。清朝時代と思われる中国で、妖異の鍋と包丁のようなものを持ち放浪の旅をする厨師、斉鎌の奇妙な体験をつづる中華ファンタジー短編集。
中島敦を今風に読み易くしたような、中華味の物語が味わい深くて面白い。スゲー怪物やとんでもない事件は起こらないものの、民話調の不思議な怪異譚がなんとも心地よい。初読の作家さんだが、面白かったので過去作を追いかけてみようかと思う。
無性に饅頭が食べたくなる。そして、解説は物語や作者ではなく、ほぼ饅頭の解説になっているっていうもの面白い
Posted by ブクログ
優れた厨師を輩出することで有名な斉家村に生まれた見習い料理人・斉鎌は、ある日見知らぬ男から不思議な鍋を借り受ける。しかしそれは煮炊きをしないでいると腹を空かして動物や人間を襲い始める、とんでもない鍋であった。鍋を返すまで故郷に帰ることは叶わない―流浪の身となった斉鎌は、鍋とむらに代々伝わる霊力を持った包丁を頼りに、戦場の飯炊き場、もののけの棲み家、名家の隠居所などで腕を揮いつつ、鍋の元の主を捜し歩くが…。若き厨師と怪しい鍋が旅の途上で出会う人々と不思議、そして料理。無類の面白さに満ちた美食中華幻想譚!
Posted by ブクログ
何とも味のある、中華幻想譚。表紙もいい味出していますよね。
厨師(料理人)の斉鎌は、何でも美味しく仕上げるけれど、長く使わないと腹を減らして人等を襲うという、便利だけど乱暴すぎる不思議な“鍋”を借り受けます。この鍋を持ち主の男に返す為、図らずも流浪の厨師になってしまった斉鎌。
彼が行く先々で起こる、不思議な出来事に関わったり、関わらなかったりする展開です。
淡々とした文体も、この作品の独特の“味わい”に一役買っているように思います。肝心と思われる部分を敢えて端折ったり、ぼかしたりしているのも読者側の妄想に任せているのかなと(多分、“敢えて”だと思います。多分・・)。
そして、“鍋”関係なく、斉鎌はなかなか腕の良い厨師なのですが、特に彼のつくる饅頭はめっちゃ美味しそう。今、読んでいるのは真夏なのに、中華まんが食べたくなりました。