あらすじ
度重なる自然災害によって国土は破壊され、資本主義の行き詰まりにより、国民はもはや経済成長の恩恵を享受できない。何のヴィジョンもない政治家が、己の利益のためだけに結託し、浅薄なナショナリズムを喧伝する――「平らかに成る」からは程遠かった平成を、今上天皇は自らのご意志によって終わらせた。この三〇年間に蔓延した、ニヒリズム、刹那主義という精神的退廃を、日本人は次の時代に乗り越えることができるのか。博覧強記の思想家が、政治・経済・社会・文化を縦横無尽に論じ切った平成論の決定版。
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Posted by ブクログ
【幕引きに思う】数多くの災害等に見舞われ、「平らかに成る」という意味とは異なる様相を見せた感のある平成。波乱に満ちたその時代を精神史という形で描き出した作品です。著者は、音楽評論家としても活躍する片山杜秀。
平成、そしてその後の時代に対してもかなり悲観的な見方になっているのですが、憂世の文章にはなっていない点が見事。明治から昭和にかけての出来事から照り返す形で平成について問い直しをしていますので、広く日本史に興味がある方にもオススメです。
〜バブルの真っ只中に始まった平成は、巨大な天災と人災に同時に襲われ、その傷が癒えぬどころか、その傷から蝕まれて戦後日本のさまざまな分野の貯金を食いつぶしながら足下を危うくして終わろうとしているのではないでしょうか。〜
片山氏の作品は基本的に読んでハズレなし☆5つ