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現代アートと言う不可解で全体像の見えないものを、多角的な視点から分析している。
現代アート業界に渦巻く資本や権力の問題をジャーナリスティックな視点から分析したかと思えば、現代アートに必要な要素や製作者の動機、絵画や写真といった平面的な表現方法からインスタレーションへと移り変わっていく動向についてまで技術的な観点から解説している。
大部だが、これ1冊読めばよくわからない現代アートと言うものに対する自分なりの視点を確保することができるだろう。
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現代アートは、マルセル・デュシャンが「泉」で芸術家が作品を作るという従来のものから、世の中のものから選択し意味付けを行って鑑賞者に提示し鑑賞者がその評価を完成させるというものに変化させた流れの中にある。
重要なのは、「インパクト」「コンセプト」「レイヤー」で、コンセプトは「エロス・タナトス・聖性」「世界と私」「アクチュアリティ」「制度への批判」「アート史への言及」「メディウム」「新規性」に分けて評価できる。
実際のアートの値段は、メガコレクター、公的な美術館(実際のバイイングパワーは落ちているが、箔付け)、キュレーター、アートディーラーがプレイする世界で、批評家の役割はなくなってきている。
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ヴェネチアで観て、バーゼルで買う。
アートの世界にはいるということは、
グローバル資本主義の勝ち組に加担すること。
ピノー(ケリング)
グッチ、プーマ、サンローラン、ブシュロン、
クリスティーズ、シャトー・ラトゥール
アルノー(ヴィトン LVMH 4兆円企業)
モエエシャンドン、ドンペリニョン、ヘネシー、
ロエヴェ、セリーヌ、ジバンシー、ケンゾー、
フェンディ、ダナキャラン、クリスチャンディオール、
ゲラン、タグホイヤー、ショーメ、ゼニス、ブルガリ
カール ラガーフェルド(シャネル デザインディレクタ)
デザインと建築が現代における真のアート。
ブランド知名度でアーティストを世に知らしめる。
マヤッサ王女(カタールQMA)
村上の「五百羅漢図」依頼主。
アートはビジネス。首長家の資産=国家の資産
ラリー ガゴシアン(ギャラリスト 売上1000億円)
クーンズ、ハースト、グルスキー、村上 を扱う。
POWER 100(ランキング)
批評家が力を失い、美術館に関与する建築家が存在感。
現代アートは文学、音楽、映画に比べ大衆性が低い君主制や寡頭政治。
美術館 ~アートの墓場
検閲、自己規制
コレクターとの戦い(権威によるディスカウント)
政治的資産
アメリカでは作品寄贈は会員制美術館でも非課税
美学的経験の場より「社交の場」へ退化?
他ジャンルとの組み合わせは手段でしかない。
複製技術で失われたものに対し、
「いま、ここ」出しか味わえない体験で人を集める。
MoMA 302万、ポンピドー 345万、ルーブル 926万人。
テートモダン579万人。
公的予算減少し、70%が民間から。
集客重視の展示に、量が質を変質させる。
ポピュリズムの誘惑からテーマパークに?
美術雑誌
批評が少なく、ギャラリーの広告が70%
「イズム、運動」のなくなった冷戦崩壊以降
アート史に結び付ける「欧州式アートのルール」
会田、村上も則る。
デュシャン「Fountain」1917年
現代アートは何でもありに
作家により選ばれ命名され新しい見方を示し、初めて成立する。
もはや、つくらない。選択。
「外見」から「概念」へ。コンセプチュアルアート。
ヨゼフ ボイス
「すべての人が芸術家になるべきだ。」
鑑賞者は能動的な解釈者
ヤン フート
「よいアートは答を与えてくれない。問いを投げかける。」
現代アートの3大要素
「インパクト、コンセプト、レイヤー」
時間芸術
撮影されたデジタル画像は2016年で1兆枚を超えた。
2次元静止は現代アートの担い手にはならない。
映像は3次元。
今後のアートは4次元のインスタレーションを志向する。
アートとアーティストは超社会的。
社会から孤立させなければならない。
サミュエル ベケット「死せる想像力よ、創造せよ」
茶の湯に通じる思想
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アートジャーナリストとして、今のアート界の現状について詳しく取材し、本のタイトルである、現代アートとは何かについてをわかりやすく語っている。庶民には知り得ない、アートの舞台裏(学芸員、キュレーター、富豪、政治との関わり)について、ここまでしっかり、わかりやすく書いて伝えることのできる人が他にいるだろうか?批評でありながら平易な文章で書かれていて、ぐいぐい読めてしまう。値段以上の価値がある、2018年の買ってよかった本の1冊。
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2024.05.05 なかなか読み応えのある、ある意味深くて重くて辛辣な素晴らしい本であった。それでいて割とわかりやすい。勉強になった。著者には深く感謝を表明したい。
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愛知トリエンナーレをプロデュースしたディレクターによる現代アート産業俯瞰図。現代アートを形作る画廊やオークションハウス、アート・バーゼルやベネチア・ビエンナーレの舞台裏が描かれる。一般生活ではアクセスできない美術産業界を垣間見れる貴重なモノローグではあるが、舞台の内側の人間であるはずなのに、美術産業界に対する嫌悪感が見え隠れして、エンターテイメント教材として読めなかった。
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現代アートを支えるシステムとしての金(マーケット)の話から始まり、その誤解や構造的矛盾を明らかにした上で、個々のアーティストや作品、歴史的な意義を再確認する。誰にでも使える独自の評価チャートを用いて現代アートの見方を提示する。
「あんな絵が100億?!」という疑問を納得できないにせよ理解できるようになるし、現代アートのわけわからなさにも「正史」があると思うとちょっと安心する。
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読み終わるのに時間のかかった分厚い本。現代アートとその周辺についてよくわかる。大富豪のコレクターの話にはなんだかワクワクした。「ダイナスティー」とか思い出した(古い)。ただ、著者の現代アートへの興味が立体やインスタレーションに偏っているので、そこら辺はちょっと物足りないかも。絵画が好きなので絵の話も聞きたかった。とにかく濃い本です。
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分厚い本やけど、具体的でわかりやすかった。
ややこしく書いてなくて、興味深く読めた。
現代アートとそれを取り巻く社会についてよくわかった。
現代アート好きな人におすすめしたい。
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作品の観点からだけではなく、現代の美術界全体を俯瞰してみるような内容。現代アートの現状について、背景となるゴシップも含めて広く知ることで近づくことができた。
・アートは投資対象にもなっている。アートの制作者は作品が資本主義から離れる立場を取ろうとしていると思うが、作品が売れること、興業が成功することは作者にとっても美術館にとっても必要で、ここにジレンマを感じる
・美術館も作者も、政府や公機関や大衆からの圧力にさらされ、自発的な忖度も見られるそう。この点、表現の自由は侵害されるべきではないと思うが、その内容が誰かを傷つけるものや、貶めるものである場合はどこまで自由が保障されるべきなのか、心情的に許容しきれないものもある。
・著者は、アートの作者は歴史や知識を学ぶ必要があるが、観る側にはそれを求めてはいけない、ただし知っている方が楽しさが増す、と言っている。が他の部分では、現代アートには観客にも観る力、これまでの過去のアートとのつながり、読み解く力がなければ、現代アートを成立させる柱とはなりえないということをも主張しているように思う。これは結局どちらなのだろうか。
・現代アートは、創り出すのではなく、レディメイド、あるものを選択し意味づけるという定義は非常に面白く納得できた。
・現代アートは振り幅が広く多彩なので、好きなものもああるが、やはり好きに思えないもの、嫌いなモノもある。しかし、この本で現代アートが成立するための要素、動機を知ったことで、過去のアートを参考にし、リフレインしつつ、それを越え、新しいものを生み出そうとした結果であると思いながら観ると、嫌いではあっても、何か受け止められるものが生まれるように思う。
・紹介されていたチャートで各要素、動機を評価する方法は面白い。このチャートを持参して現代アートを鑑賞したら、これまでとは違った一歩近づいた鑑賞が楽しめそう。
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マリーナ・アブラモビッチ
ヒト・シュタイエル
ハンス・ハーケ コンセプチュアル・アート
現代アート=文脈 アート史の文脈の中にどう位置づけるか?
マルセル・デュシャン 泉
サミュエル・ベケット
ジョセフ・コスース 3つの椅子
インパクト・コンセプト・レイヤーが現代アートの3大要素
視覚的にある強いもの・思考的な要素・重層的
現代アートの創作動機
①新しい視覚・感覚の追求
②メディウムと知覚の探求
③制度への言及と意義
④アクチュアリティと政治
⑤思想・哲学・科学・世界認識
⑥私と世界・記憶・歴史・共同体
⑦エロス・タナトス・聖性
鑑賞
①インパクト かつてなかったような視覚・感覚的な衝撃
②コンセプト 作家が訴えかけたい主張や思想、知的なメッセージ
③レイヤー 鑑賞者に様々なことを想像、想起、連想させる重層的に作品に組み込まれた感覚的・知的要素
想像力を刺激する
レイヤーとは連想した事柄の総体
腑に落ちるコンセプトが浮かび、インパクトなどと合わせて「イケてる!」と思えば、脳の報酬系が活性化して快感を与える。なんだかよくわからなかったりつまらないと思ったりすれば、報酬系が抑制されて不快に感じる。デュシャンやウンベルト・エーコが言う「開かれた作品」は、鑑賞者がこのように作品を受け止め、解釋することによって始めて「閉じられる」
作品の補助線
読まれるための技巧
開かれた作品のドアはどこまで開いておくべきなのか
今日のアートは選択し、命名し、新たな価値を与えること。最も重要なのは観念あるいは概念であり、本質は外見(形)にはない。
鑑賞者は能動的な鑑賞者にならなくてはならない
インスタレーションの時代
画像の膨大な増加
眼差しそのものの形成し、観客の5感に訴える時代
現代アートは美術ではなく、知術
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業界について辞書的に出来事を知るには良かったけれど、もうちょっとアートのことについて掘り下げられていたらなあ、と持ったりしました。でもこうやって表面だけ見るのが現代アートなんだよというのであれば、そうなのか、と納得します。
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どこか幕の内弁当的で一貫したテーマが見えてこなかったというかストーリーがよくわからなかったが、このメタ認知という輪郭がこの本の醍醐味なのかもしれない。
文量に比して情報が少ない。
「現代アートとは何か」を標榜しながら、蓋を開ければwikipedia からコピペしたような人名の羅列に終始し、紹介される作品も大半が画像の掲載がないため、何がなんだかさっぱりです。
文章構成が滅茶苦茶(本題なのに、後述するが~が多い)で読みづらいことに加え、筆者の自己陶酔とエリーティズム溢れた文章は読んでいて不快ですらあります。
肝心の観賞法についてもフワッとしたものであり全く役に立ちません。タイトルとは裏腹に、市民の感受性を啓蒙しようとする意思は全く感じられませんでした。
逆に、筆者自体がアート業界(自分)を特別視し、民衆は黙って口を開けていろという本心は端々から透けて見えます。芸術家でもない分際で滑稽ですね。
同じ内容なら「教養としてのアート 投資としてのアート」の方が遥かに短く理路整然としているので、そちらをおすすめします。