あらすじ
アンちゃんがデパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働き始めて8ヶ月。販売の仕事には慣れてきたけど、和菓子についてはまだまだ知らないことばかりだ。でも、だからこそ学べることもたくさんある。みつ屋の個性的な仲間に囲まれながら、つまずいたり悩んだりの成長の日々は続きます。今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。待ちに待ったシリーズ第2弾!
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相変わらずアンちゃんがかわいかった。
バイトとしての立場で悩みながら、日々勉強したり、成長してる姿が素敵だった。和菓子や歴史について知ることができて勉強になった。
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アンちゃんのネガティブな感情がしっかり書かれていて励まされた。
和菓子の謎もいっぱい詰め込まれていて楽しい。乙女の登場も多くて嬉しい。甘酒屋の荷はどうなっていくのかな…!
読んだ後、和菓子屋さんに行って夏モチーフの羊羹を買っちゃった。美味しい。幸せだ。
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読んでておいしい本
和菓子、洋菓子、朝ご飯のお米まで、「食べる」表現が上手くて読みながら口の中に味が広がるみたい
謎解きを楽しみながらスルスル読める
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アンちゃんかわいいよ、、頑張り屋で一生懸命で繊細ででも鈍感で、、最後に盛大な勘違いしてて、もう早く続き読みなさいと私の中の乙女が言っている。
アンちゃんの、焦りとか不安、自信のなさで『頑張り』が空回りしてる感じがとても共感できる。何者にもなれない自分。特に周りが優秀な人ばかりだと焦るよね。
アンちゃん見てると(ほんとに見てる気分)元気が出る。
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一気読み!相変わらずあんちゃんと周りの人たちの人柄がステキで引き込まれる。お菓子って奥が深いしいろんなメッセージが込められててにこにこしながら読める一冊でした。
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読み返す。あーやっぱいいわタイトルも出てくる人物も、物語も全て入ってくる。坂本さんはおそらく女性だと思うけど、隈なく表現するし、1話分がちょうどいい。単行本出たんだよなあ、文庫本しか買わないので、読みたいのが迷う、買ってしまおうか
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⬛︎和菓子から紡がれる人情物語
和菓子のアンシリーズ第二弾。今回は、みつ屋でのアルバイトに慣れてきたアンちゃんが、将来の夢について葛藤する様子が主軸として描かれていました。
将来どうなりたいか…30代でもフワフワしている自分からすると、それを考えて悩んでいるだけで立派だし、決まらなくても生活は何だかんだ回るし前進するもんだよー!なんて声をかけたくなっちゃいました。笑
アンちゃんは自己肯定感が低く、常に「私なんか…」と思いがちな女の子。ですが、とても好奇心が高く勉強熱心。人の心の機微を読むのが上手で、良いところがいっぱいあります。
でも、自分のことになると悪いところばかり矢印が向く。わかるわかる…と共感。
そんな、アンちゃんの良いところ、悪いところをハッキリと言ってくれる友人や立花くん達を見て「良い人たちに恵まれてて、素敵だなあ」と、ウルウルしてしまいました。
1番素敵だったのは、立花くんが作る、和菓子に込めたアンちゃんへのメッセージと謎解き。立花くんのことを考えて必死に謎を解こうとするアンちゃんに、ジーンときました。もうね、愛だよ。それは無意識の愛!
立花くんに、嫉妬して醜いところも美しい、と言うアンちゃん。アンちゃんの、情報を結びつけて自分で考えて答えに近づこうとする行いが素敵だ、と褒める立花くん。
まだ出会って短いけれど、2人の絆というか…友だち以上恋人未満な雰囲気は、じんわり甘くて温かい、甘酒のよう。
続編で、立花くんの乙女以外の…人間らしい感情も垣間見えて、さらに好きになりました。
そんな本筋の中に、うまく和菓子の歴史や背景も織り交ぜられていて、その点でもとっても楽しめました。
ー僕が思う日本らしさは、包み込むこと。相手を尊重して、いいところはどんどん受け入れる。それもただ真似するんじゃなくて、自分たちなりのアレンジを加えて包む。それってすごく素敵でのびやかな感覚だと思うんだけど、どうかな。
立花くんのこのセリフが、とても素敵でした。
続編では、アンちゃんにとって、和菓子の栗のような「とっておきの核」が見つかるのかな。
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和菓子のアンシリーズ第2弾。
アルバイトにもだんだん慣れてきて、だからこそ思い悩んでしまうアンちゃん。自分の核がなくて足元がぐらぐらだと自信がないのは相変わらずです。
でもお客様に寄り添って、物事をしっかり考えることができて、わからないことをそのままにしようとしないで、それでもできないことは誰かに助けを求めることができる。
あなたはとっても素敵な人ですよ、と伝えたい。
「僕が思う日本らしさは、包み込むこと。相手を尊重して、いいところはどんどん受け入れる。それもただ真似するんじゃなくて、自分たちなりのアレンジを加えて包む。それってすごく素直でのびやかな感覚だと思うんだけど、どうかな」
立花さんがアンちゃんに言うセリフ。
このセリフがめちゃくちゃ良いなあと思うのですが、アンちゃんにも包み込むような優しさがありますね。そしてその包み込んだものをしっかり自分の物にしている。
私もお仕事頑張ろう、と思う一冊でした。面白かった!
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4年ぶりのシリーズ第二作目。
故郷の金沢が取り上げられていて嬉しい。
アンちゃんの人生への葛藤、自分の不甲斐なさで落ち込んでる姿が親近感。一歩ずつ成長していくアンちゃんから学ばされることがある。与えられる存在から、共に生き与えあうことのできる存在へと一回り大きくなっていく過程を陰ながら応援したい。
センシティブなテーマが意外と多いが、和菓子にまつわるその謎を解いていくからなのか重苦しすぎる印象はない。人間の良くも悪くも内在する多面性へとつながっていく和菓子が持つ意味の深淵さ。
折角和菓子が有名な地元なので、帰郷する時は目を配らせて良きものを食べたいな思う。
最後のひとフレーズでずっこけた。
ストーリーを横断するちょっとした違和感をすっきりと回収してくれるし、その結末がアンちゃんらしく微笑ましい。まだ既刊本シリーズは続くので、ほっこりしたい気分のときに読み進めていこう。
金沢もいきたくなった~!
今回も和菓子がいっぱいだし。師匠はまた和菓子の難しいことわざ出してきて勉強になるし。
アンちゃんと立花さんはこれからどうなるんですかね?
早く続きが読みたいです!!
金沢いってみたいけどまずは上生菓子を買いたいなと思いました!
Posted by ブクログ
私もアンちゃんと同じく食べること大好き。アンちゃんみたいな若い頃は、そんな自分が恥ずかしいと思ったこともあったけど、昔からの食べ好きが今の自分に繋がってて、食に拘るのは、いいことだと今は思える。アンちゃんには美味しいものたくさん食べて青春謳歌して欲しいという、親目線だった。
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またアンちゃんに会えて嬉しかった。
和菓子のアンシリーズを読むと和菓子が食べたくなる。
そして立花さん、、、やっぱりそういうことなんじゃないか〜
Posted by ブクログ
サラッと読めてほっこえいするお話ばかり。
和菓子が食べたくなるー!!
「蓬莱山」という和菓子が気になって、どんなものかと調べたけど、見た目のインパクト凄くて驚いた。
Posted by ブクログ
ハードな本ばかり続いたから、ちょっと一息つこうと手に取った本だったが、逆にところどころ突いてくる痛い内容だった。( ;∀;)w
いるいる!こういう目障りなおばさん!て、おばさんの自分が言うのも何だし、なんなら自分が若い子に言われていそうだがw。私だったら相手にせん!←いかんわ。
そこをあえて自分から挑むアンちゃん。頭が下がります。
ヘルプスタッフが桜井さんに小言言う気持ちもなんかわかるわー。しなくていい嫉妬心を感じてしまうんだよね。ほっとけばいいのに。人は人、自分は自分。でも、人って比較してしまう。これは、この本の前に読んだ『火車/宮部みゆき著』にも通じるものがあった。「自分に負けてる仲間を探してたんだと思うな」(『火車』より)
避けられない感情なのかもしれない。
Posted by ブクログ
前作『和菓子のアン』からの2作目。
主人公アンちゃんの成長が著しくて見守っていたくなる。
序盤の、日本の文化について、頷きつつ、でも国内独自で発展して生活や自然に根付いて発展していった文化もたくさんあるから、誇っていいと思う。
謎解きは、日常でもあり得そうで、背伸びしてなくて心地よい。
言葉の由来って、囲碁から来てるものもたくさんあるし、ただ使うたけじゃなくて、
これってどうしてこういう言い方になったんだろう、とか、
なぜこの場面て使うんだろう、とか調べると凄く面白い。
英語ルーツでも言葉遊びみたいなのがあって、住むところや環境は違えど人間の思考は似てくるのかも?と思ったり。
キャラ立ちがちゃんとしているし、軽調でとても読みやすい。
唯一食べられないものが餡子なんだけど、読んでいると和菓子を食べてみたくなる。
Posted by ブクログ
和菓子のアン2作目
アンちゃんが自分の立ち位置で落ち込んでいるところに親近感を覚えた。
バイトで接客業をやっていたおかげもあり、非常に話のイメージがしやすいお話だった。
みつ屋のみんないい人で心温まるお話だった。お客さんや他のお店の人はなんだこの人と思うこともあったけど、そこを上手く包みこんでまとめられてた。
Posted by ブクログ
東京デパートの和菓子みつ屋にバイトで働いているアンちゃん、こと杏子ちゃん。
同じフロアに開店した洋菓子のKのお店で働く柏木さんとちょっといい感じに。
アンちゃんの接客をお客様に注意されたら、サービス残業しがちな勤務態度に店長に叱られたり、バイトで働いている甘えを痛感したり、なかなか忙しい毎日を送ってます。
読んでてほっこりする本です。
Posted by ブクログ
アンちゃんシリーズ二作目。
今回も面白かったけど前作より重い話が多かった気がする。
結構グサグサきた。
自己肯定感低いアンちゃんに何度もそんなことないよって言ってあげたくなった。
でもラストでちょっとホッとしたしきちんとアンちゃんが成長していくのがわかるのがよい。
和菓子は相変わらず美味しそう。
個人的には立花さん頑張れって気持ち。
Posted by ブクログ
みつ屋で働き始めて1年になるアン。
シリーズ二作目のタイトル「アンと青春」ということもあり、少し甘酸っぱい乙女な立花さんのお話も多い。
二章「女子の節句」で、ライン(一線)について椿店長とアンが考えるシーンがあった。それぞれくくられた集団の「常識」というラインがあり、その一線を越えなてはいけないという社会の暗黙のルールがある。しかし、時にはそのラインを越えることも必要だったりする。
最後のアンと立花さんのシーンはまさに、みつ屋の店員という枠を越え、精神的な繋がりが強くなったように思えた。
シリーズの続きが早く読みたい。
Posted by ブクログ
シリーズ2作目
百貨店の和菓子屋さんで働くアンちゃんのちょっと成長した話
今作に登場する和菓子もどれもおいしそうで、全体的なほっこりした雰囲気ながら考えさせられるストーリーもよくて、とても読後感がよかった
1巻から間空いちゃったけど、やっぱりこのシリーズ好きだなと思った
Posted by ブクログ
あなたは、『あんこ』が好きでしょうか?
“小豆などの豆類を煮て砂糖を加え練り混ぜたもの”を指す『あんこ』という食材。和菓子に欠かせない『あんこ』は、私たちの生活に喜びを与えてくれる大切な食材です。『あんこ』をご飯の上に乗せて食べるのが好きですと話す同僚には驚きましたが、私も『あんこ』は大好きです。そもそも『あんこ』が嫌いという方に出会ったことがありません。
そんな『あんこ』は小説家の皆さんにも人気の食材のようです。お話を伺ってみましょう。
“昨年も何回か、あんこに助けられました。ものすごく疲れて、お腹がへって、でもしばらく立ち上がれないような気分のとき。大ぶりでふかふかした虎焼きにかぶりついたら、元気が出ました”
そうおっしゃるのは坂木司さん。そんな坂木さんには、『あんこの「こ」を取ったアンと呼ばれている』一人の女性を主人公とした物語があります。累計100万部を突破したと言われる大人気作なこの作品。和菓子の魅力たっぷりに展開する物語に魅了されるこの作品。そしてそれは、”個性的な仲間に囲まれながら、つまずいたり悩んだりの成長の日々”を送る主人公・杏子の物語です。
『そういえば杏子。あんた今日はお休みだったわよね』、『でも、特に予定はないんでしょう?』と母親に言われ、『…ないわけじゃあ、ないけど』と返すのは主人公の梅本杏子(うめもと きょうこ)。そんな杏子に『ヒマだったら一緒に、デパートに行かない?』、『いい催し物があるのよ』と続ける母親は『朝刊の折り込みチラシをすっと差し出』します。『これみよがしに盛り上げられたウニや蟹』の写真に『全国駅弁大会』と書かれたチラシを示して『ね?行きたいでしょ』と言われ『思わずうなづいた』杏子は、『次の瞬間激しく後悔し』ます。そして、『なんでお休みの日にまで』と思いつつも出かけた杏子でしたが、『いつもは見ないお店がいっぱいある』と、『自分の職場と違う系列のデパートを、心から楽し』みます。そんな中、『和菓子の店が出ていることに気がついた』杏子は、『へえ。「新春・和菓子フェア」かあ』と興味を抱きます。そして、『金沢和菓子・柿一』という店に『あ、これ可愛い』と『和菓子らしからぬ包装を見つけて、ふと足を止め』ます。『先に立ち止まっていた男性を接客中の店員』に『いらっしゃいませ』と言われ『ゆっくり見てますから』と答える杏子は、『店員さんは、私と同じか、ちょっと年上くらいの若い男性。接客に慣れていない感じがする。だとしたらなおのこと、急がせるのは可哀想だ』と思います。そんな時、『あのさ。小麦アレルギーの人にお菓子を買っていってやりたいんだけど、ここのには小麦粉が入ってる?』と『先客の男性がいきなりすごい質問をし』ます。『ええと、こちらなんかは大丈夫かとー』と『面食らった』店員は『とりあえず上生菓子のコーナーを示し』ます。それを見て、『確かにどら焼きや松風みたいなものよりはいい。でも、上生菓子の中にも小麦粉を部分的に使うものはある』と言う男性の言葉に『大丈夫かな』と思う杏子。『案の定その男性』が『そんな適当に指さすなよ。相手がアナフィラキシー・ショックで死んだら、責任取れるか』と突っ込みます。『取れるわけないじゃん』と『心の中で突っ込み返す』杏子は、一方で『ていうかお兄さん、あなたももうちょっと状況を見たらどう?』と思います。『す、すみません』と『強ばった表情で謝る店員』に、『まったく。自分とこの商品の成分も知らないで販売してるなんて、菓子屋の風上にもおけない』と『さらに詰め寄る』男性。そんな男性は『この店のパンフレットには、「上生は古典的なこなしで作っております」って書いてるよな。それはつまり、芋の粉や小麦粉が入ってるってことだ。だから不正解。じゃあ正解は何かわかるか?』とねちねちと絡みます。『も、申し訳ありません。わかりません』と『顔を真っ赤に』『頭を下げ』る店員に『あんころ餅』を指さす男性は『上新粉で作った団子に、小豆百パーセントの餡のかかってるあんころ餅。これが正解だ』と話します。『それを聞いた瞬間、猛烈に腹が立った』という杏子は、『この人、調べた上で言ってる!』、『絶対クレーマーだ!』と思います。『もういい』と言い放つ男性に『ああ、よかった』と思い『店員さんに声をかけようとした』杏子ですが、『男が吐き捨てるように』こんなことをつぶやきます。『ったく、いつまでこんな飴細工の鳥を置いておくつもりなんだか』。それを聞いて、『飴細工?そんなものこのお店にあったっけ?』と思う杏子。そんな中、ふと店員さんと『顔を見合わせ』る中、『大変お待たせしてしまって、申し訳ありません』と言われた杏子は『この「早春」と「うぐいす」を一つずつください』と店員さんに申し出ます。そして、『お待たせしました』と包装を終えた品を受け取った杏子は、『中身確認もせずに包装され』、『しかも、かけられた紐はゆるゆるで、包装紙はずれていた』という箱を受け取りました。『あらら』、『これはちょっと、販売員としては失格かも』、『男の態度は不快だったけど、この店員さんにも問題はあったわけだ』と思います。そして、店を後にした杏子ですが、男が語った『飴細工の鳥』という言葉に引っかかりを感じます。『あんなに店のことを調べ抜いていた男が、そこにない商品の話をするなんて…』。そんな杏子が、和菓子店でアルバイトとして働く日々に出会う身近な謎が美味しそうな和菓子の数々と共に描かれていきます。
“アンちゃんがデパ地下の和菓子屋「みつ屋」で働き始めて8ヶ月。販売の仕事には慣れてきたけど、和菓子についてはまだまだ知らないことばかりだ。でも、だからこそ学べることもたくさんある。みつ屋の個性的な仲間に囲まれながら、つまずいたり悩んだりの成長の日々は続きます。今回もふんだんのあんことたっぷりの謎をご用意。待ちに待ったシリーズ第2弾!”と内容紹介にうたわれるこの作品。坂木司さんの代表作であり、このレビュー執筆時点で4巻までシリーズ化もされている大人気作の2冊目となります。
さてそんなシリーズ第二作を二つの方向から見ていきましょう。まず一つ目はこの作品で絶対外せないもの、そう、和菓子の描写です。前作でもさまざまな和菓子の魅力を見せてくれたこのシリーズですが第一作より少なめとは言え、この作品でもそれは健在です。『うぐいす』というお菓子を見てみましょう。
『こなしで作ってある可愛い小鳥を、残酷にも一刀両断。確かに、普段私が食べているねりきりとは手応えが違う』。
その名の通り『うぐいす』を模したお菓子であることが分かります。和菓子は見た目にも映えるものが多いと思いますが食べる時には『一刀両断』、これはやむを得ないですね。
『ちなみにこなしとねりきりというのは、上生菓子の主体となる素材のことだ。つまり、あんこっぽくて変幻自在のあれのこと。乱暴な言い方をするならば、関西はこなしで関東はねりきりが主流、らしい』。
主人公の杏子も『みつ屋』で働きはじめて数ヶ月。売るためには和菓子に対する知識は必須です。前作に比べて和菓子に対する知識の差に杏子の成長を見ることができます。それを見ることのできるこんな場面も抜き出しましょう。『秋っぽいものが、いいわね』と話す『お母さんくらいの年の女性』に接客する杏子は『焚き火』というお菓子を勧めます。
『ここだけの話ですが、この「焚き火」は、軽くオーブントースターで温めてからバターを載せて食べると、ものすごくおいしいんですよ…!』、『見た目は地味なんですけど、「焚き火」は私のイチオシです!』
『焚き火』の食べ方を提案する杏子に『それ、とてもおいしそうね…!!』と女性はその気になります。
『焼き菓子は、それこそ和洋問わず、軽く温めなおすとおいしくなるものが多い。それは油脂分が溶けて、まろやかな口当たりになるからだ』。
そういったベースの知識前提にお客様に向き合いお客様のことを考えて接客していく杏子は、『きちんと向き合った方が、断然楽しい』と接客の喜びを感じます。このあたりのトータルな見せ方も絶妙で、創作とはわかっていても、杏子が働く『みつ屋』に行ってみたい!そんな思いに包まれもします。
次に二つ目は、『みつ屋』が『東京百貨店』のいわゆる”デパ地下”に入っていることに繋がります。そうです。この作品では”デパ地下”の舞台裏を見ることができるのです。一箇所見てみましょう。『百貨店の食品フロアにとっても、秋はいい』とされることについてです。
『食材が多いからフェアを組みやすいし、お中元とお歳暮の間の時期だから休みも取りやすい』。
イベントをやりやすいだけでなく、そこで働く人たちの暮らしも見えてきます。そして、そんな場で働く他の持ち場の人の仕事にも目を向ける杏子。
『百貨店の装飾係ってすごい。シャッターが下りてから一晩で、全館のディスプレイを取り替える。それまで使っていたものを外すだけでも時間がかかるのに、翌朝、シャッターが開いたときには季節が変わっているのだ』。
確かにこれはそうですね。外部の目には『装飾係』が仕事をしている姿を見ることはできませんが、その仕事の結果を見ることはできます。一方で『装飾係ってすごい』と表現できるのはあくまで同じ百貨店という場で働いているからこそですが、こういった視線を横に幅を広げていく表現によって物語に随分と奥行きが感じられるように思います。
さて、そんなこの作品は前作の延長線上に立つ作品として、『東京百貨店』の”デパ地下”に店を出している『みつ屋』でアルバイトとして働く杏子の店員としての日常が描かれていきます。登場人物は店長の椿の他、同僚の立花と桜井という布陣に変化はありません。物語は店を訪れる客との接遇とそんな客が買っていく和菓子に光をあてながら展開していきます。
『最終学歴は高卒。得意科目もなければ、専門知識も資格もない。あるのは食欲と溜め込んだ脂肪だけ』。
そんな風に自らを思う杏子ですが、アルバイトとして働きはじめたばかりの前作から大きな成長を見せます。上記した通り、和菓子に対する知識が豊富になったこと以上に店員としてこなれた姿を見せるところは彼女の接客の場面を安心して読み進めることができます。
『接客業をはじめて約一年。カウンター越しになら、「いかにも」な若い男性以外、落ち着いて対応できるようになってきたと思う』。
『もうちょっと、大丈夫になりたいな』とは思うものの自らの成長を自覚もする杏子。物語では前作同様そんな杏子が、客が発したさりげない言葉の謎と対峙していく姿も描かれます。
『ったく、いつまでこんな飴細工の鳥を置いておくつもりなんだか』
一人の客が発した一言、そんな一言を耳にした杏子は『飴細工?そんなものこのお店にあったっけ?注意してみても、それらしきものは見当たらない。それにそもそも、飴菓子すらないみたいだし』とその言葉の意味を解さない様子がまず描かれます。物語ではそんな謎を謎のままとせずに真正面から謎と向き合い、その言葉に隠された意味を探求していく姿が描かれていきます。これが物語にちょっとした謎解きの楽しみを与えてくれます。
ところで、この第二作となる物語にはこのホッコリとした世界観には若干の違和感を感じさせるトピックが挟まれています。人によっては抵抗感を感じる方もいらっしゃるかもしれないその内容はレビューで指摘されていらっしゃる方も多々いらっしゃいます。この辺りはこのホッコリとした作品世界を思うと賛否両論があるのも分かります。坂木さんの強い思いあってのことだと思いますが若干の唐突感は否めないと思いました。
そんな物語はまだまだ終わりが来ないことを確信させる中に結末を迎えます。そこには、”和菓子 × 杏子”という絶妙な組み合わせの妙を実感する物語が描かれていました。
『人生の幸せな瞬間や、不幸せな瞬間、私は椿店長のもとで、様々な瞬間を迎えたお客さまと向き合ってきた。そしてその数が増えるほど、私の中に小さなものが降り積もっていった』
和菓子屋・『みつ屋』でアルバイトとして働く杏子が健気に働く姿が描かれたこの作品。そこには、第一作と同じ地平線に立つホッコリとした物語が描かれていました。和菓子の魅力の奥深さを改めて感じるこの作品。人の心の機微を接客の中に感じるこの作品。
“おいしいものに焦点を絞って思いの丈を綴っております”と語る坂木さんの思いがたっぷり詰まった続編も楽しみな物語でした。
Posted by ブクログ
前回に引き続き安定のメンバーの登場でほっこり。あんちゃんもそうだけど、みんなそれぞれ悩んでるし、先輩だからとか出来る人だからとか関係なくてやっぱり苦手なこともあるし、自分に持っていないものを補うこの職場のチームワークが素敵だなぁ。自然と良さを最大限活かせてるし、それを周りが分かってくれてるあたたかさ。前作に比べてまた成長したあんちゃんと、乙女の嫉妬が見所かな。
Posted by ブクログ
このシリーズ好きだー!
アンちゃんの純粋さというか、優しさというかすごく癒されるし、元気がもらえる。
そんなアンちゃんだから、周りに集まる人もみんな素敵な人たちばかりでうらやましい。
性格に難ありのお客様が来ても、失敗を糧に前に進もうとするアンちゃんを私も見習わないとなと思った。
立花さん…!次回作でどうなるのかすごく楽しみ!
Posted by ブクログ
シリーズ2作目。おいしそうな上生菓子も健在。思わず、デパ地下へ走りたくなる!
今回のストーリーは、少し重い雰囲気が漂うことも。アンちゃんが将来のことを真剣に考え出したのか、情緒不安定になったり、立花さんと一悶着あったり…。少しずつ、アンちゃんも大人の階段を上りだしたってことかな。
この作品は、おいしい上生菓子とおもしろいキャラの登場人物と軽快な謎解きがあれば、それで満足なんだけどなぁ。
Posted by ブクログ
和菓子は奥が深いのね
洋菓子では商品から相手に深いメッセージなんて伝えられるものはないだろう
相手の気持ちを考えすぎて悩む杏ちゃん
次回がまた楽しみ
Posted by ブクログ
「和菓子のアン」より出てくる和菓子が少なくなってしまい、お菓子の謎より、言葉の謎が多かった。
でもやっぱり、このシリーズ読むと和菓子屋さんに行きたくなる。
蓬莱山、気になって検索してみたら…集合体恐怖症なので苦手だった…勉強になった笑
地元の五色生菓子が出てきたのは嬉しかったし懐かしかった。というか五色生菓子っていう名前を知らなかった。スーパーのお饅頭とか売ってるとこにいつもあるやつだなーって見てスルーするだけだったな。えがらもち、美味しいんだよなー。
Posted by ブクログ
立て続けにシリーズ物2作目
社会に出て1人の大人へとなるまでの葛藤が、少しの恋愛要素を散りばめて描かれている。
前作の軽妙タッチよりも、少しだけ内面描写が多かったが、杏子ちゃんの迷いながらも前を向いて歩く姿が、好感が持てる。シリーズ物の良さがある。
そんな時代もあったなぁ、と甘酸っぱい気持ちが蘇ってきました。
Posted by ブクログ
この本は勉強になるし、和菓子、文化など色んな事に興味が湧く。余計な事に頭を使う必要がないから好き。今作はアンちゃんのネガティブ爆発。途中嫌気がさすも、周りの人たちのおかげでアンちゃんも私も復活。
Posted by ブクログ
和菓子屋で販売員アルバイトとして働くアンちゃんが日々起こる出来事に悩みながら、気付きを得ていく日常を描く。
前作同様にお菓子を巡るミステリー要素もあって楽しい。
描写的に特定の地域、特に和菓子に並々ならぬ誇りを持つ街の人から反感が来そうな表現もあったので、少し残念に感じたところがあり☆3つとした。
しかしながら和菓子の描写は美しいし、その和菓子の背景にある文化的・文学的背景は知らなかったので素直に感心した。
気軽に読めて楽しい小説ではありました。
Posted by ブクログ
今作も面白かった。
和菓子とちょっとした謎の相性はやっぱりいい。
そして、お仕事小説としても、若者の成長を見守る作品としても、ちょっとした恋愛小説としても読める。
アンちゃんと立花君の関係はどうなっていくのかな
ちょっとがっかり
和菓子のアンがとてもよかったので、それと比べるとちょっとがっかり。なんとなく無理っぽい筋運びというか、すっと乗れない感じです。でもまぁ、これから先登場人物はどうなって行くのか気がかりを残すのはそれだけ魅力があるからかな。
やっぱり、ほっこり
久し振りに読んで、やっぱりほっこりしました。
好きなシリーズです。
今作で、登場人物の性格が明確に感じられて、より楽しめました。
和菓子にまつわる諺など、豆知識を知れるのも楽しいですね。
疲れた時にあんこ、わかりますー
登山の時は羊羹!
デパ地下の和菓子コーナーに行きたくなりました。